平子雄一さんアトリエ訪問
美術作家、平子雄一(Yuichi Hirako)さんのアトリエに訪問する機会を頂きました。
お伺いしたタイミングは、日本全国猛暑の2020年8月。ちょうど7月に完成したばかりの新しいアトリエ(東京)です。
平子雄一さんは、植物と人間の関係性をテーマに、ペインティングやドローイング、彫刻、陶などを発表している美術作家です。
平子さんは、植物と人間との関係性に着目した作品を描いており、両者の関係における曖昧な部分や興味深い部分をピックアップして制作しています。
花瓶や壺がモチーフの中でも多く登場するのは、植物を育てる機能的な存在から、美術的な価値を持つようになっていった独自の発展に着目しているからだそうです。
植物と人との関係性のなかで、元々の目的から独自の発展を遂げ、どんどん関係が曖昧な様子になってきていることへの視点や問いかけのような眼差しを感じます。
また、猫や犬も比較的よく描かれるモチーフです。
猫や犬は、もともとは自然に住んでいて現代では人間と一緒に生活している動物ですが、自然界と人間社会を行き来して、クロスする象徴的な存在として描いているとのお話でした。
植物を中心とする普遍的なモチーフが描かれているということもあり、平子さんの作品は世界中のコレクターや美術関係者から支持されています。
イギリスはロンドンの美術学校に通うなど、5年間イギリスに滞在したキャリアを下敷きに、海外のギャラリーへ積極的にアプローチを行ってきました。そうした歩みを止めないキャリアが現在のポジションにも繋がっています。
平子さんの使用する画材は主にアクリル絵具です。
目的に応じて、光沢のない3種類のアクリル絵具(スクールガッシュ、アムステルダム、ホルベイン)を使い分けているそうです。
発色を抑える絵具や彩度の高い絵具を使い、時にはそれらを混色してながら色彩のコントロールをしています。また、絵筆は柔らかな豚毛と硬めのナイロンの2種類を使い、時には筆先をカットするなどの加工をしながら、制作意図に応じて使い分けています。
アトリエ内は、遊び心に溢れたアイテムが備え付けられていました。
2020年春からのコロナ禍にあり、展覧会のスケジュールが大きく変動していたようですが、2020年秋以降のスケジュールは過密を極めており、個展、アートフェア、エディションフィギュア企画など、多種多彩なアーティスト活動が予定されているようです。
先ごろギャラリーの移籍を発表し、さらに活動の幅が広がっていくような期待があります。
今後もさらにたくさんの作品を発表し続けて、私たち鑑賞者を楽しませてくれることでしょう!