宮島達男《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》
LED(発光ダイオード)のデジタルカウンターを使った作品で知られる美術作家宮島達男さん。
1988年のヴェネチア・ビエンナーレ「アペルト88(若手作家部門)」に出品した作品《Sea of Time》で注目を浴び、1999年のヴェネチア・ビエンナーレには日本代表として参加し、世界的なアーティストとして評価されました。
宮島達男さんの作品が手軽に見られる美術館が、東京都現代美術館の大きな空間に設置された作品《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》です。
コレクション展展示室の出口へと続く、最終鑑賞スペースのフロアは、スマホで写真撮影するひとや、設置されたベンチに座ってじっと佇むひとなど、多様な鑑賞スタイルが交錯する場所となっています。
20年近く経過したLEDは、時間の経過による劣化のため、個体差が生じていたようです。作品タイトルが示す意味のひとつに呼応するように、3年弱に及ぶ東京都現代美術館のリニューアル休館期間で修復されました。
LEDのデジタルカウンターは全部で1728個あり、「1〜9」の数字をそれぞれ異なるスピードで表示しています。※「0」は表示されません。
それぞれ異なるスピードでカウントするLEDは、1人の人間を表しているようにも感じます。私たち一人一人がそれぞれ送る人生の歩みのようです。
1,2,3,4,5,6,7,8,9、とカウントアップしていく数字は0を表示する代わりに暗転し、しばしの闇を迎えます。歩みが止まり、また、動き出していきます。数字が刻む静と動は、生と死のようにも思えますし、私たちに休息を促しているようにも感じます。
そして、1728個あるそれぞれの数字の関係性も、私たちが送る社会生活のようにイメージしてしまいます。
作品の外側にある空間もまた、意味のあるように見えてくる、不思議な力を持った作品ではないでしょうか・・・。
概要
作品名:それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く
(in English)Keep Changing, Connect with Everything, Continue Forever
作家:宮島達男(Tatsuo Miyajima)
制作年:1998年
サイズ:288x384x13cm
所蔵館:東京都現代美術館(Museum of Contemporary Art Tokyo)
材質/技法 赤色発光ダイオード(TIME D-R 1728 個)、集積回路、電気コード、基板、変圧器
※Light Emitting Diode, IC, electric wire, aluminum panel, steel.