不確かな存在を表現する〜若手作家「小谷くるみ」に注目

小谷くるみ

結露した窓ガラスに指で軌跡を描く〜誰もが経験のある行為をモチーフとして作品制作を行っている小谷くるみさんの作品を拝見しました。
京都造形芸術大学に通っている小谷さんとして、初の東京での発表となったのが「shibuyaスタイル」。
出品された作品9点が全て完売するなど、注目の作家さんです。※9点完売後に数点追加作品投入しこちらも完売。

ホラーな世界やオカルト趣味から来る表現手法で描かれた世界観は、モチーフの特殊性も相まって鑑賞者の想像力を喚起させます。

《21g(グラム)》F50号 2018年

50号作品のタイトル《21g(グラム)》は、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の映画『21g』から引用されています。

魂の重さを図ろうとした学者が実際に行った研究では、死ぬ間際の患者の体重を測ったところ、死亡時に「21g」軽くなったのだそうです。魂の重さが「21g」という解釈から作られた映画は、小谷くるみさんの作品に大きな影響を与え、「窓シリーズ」制作の切っ掛けとなりました。
目に見えないものや、不思議なものの象徴としてこのタイトルが使われています。

《21g(グラム)》部分

《untitled》F3号 Acrylic on panel 2018年

《untitled》部分

《untitled》円形500mm 2018年

ツヤ感を出すためにニス、細かい粒子にはスプレーを使用

展示外の作品も用意され販売されていました。

作品リストには全て赤丸シールが付いていました。

懇意にしているギャラリー担当者とも話しましたが、Facebook経由で参加が決まったり、開催期間中に関西から新幹線を使って2往復して在廊されるなど、エネルギッシュな若手作家さんらしいエピソードを聞くことが出来ました。

2019年3月に大学院を修了して本格的な作家の道を歩んでいる小谷くるみさん。
今後の活躍を楽しみに応援していきたいと思います。