【イブニングレクチャー】「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」@東京都美術館

ゴッホ展 巡りゆく日本の夢

東京都美術館で開催中の「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」に行ってきました。

近所で開催中の「怖い絵展」は相変わらずの大行列ですが、金曜日の18時過ぎに到着したゴッホ展は待ち時間も無く見ることが出来ます。さらに、この日は「イブニング・レクチャー」という企画も実施され、学芸員さんの解説が聞けるという企画も行われており、会場も満員になることなく入場することが出来ました。

ゴッホ展の見所

展覧会会場内は撮影禁止と言うことで、「イブニング・レクチャー」の写真を使って記事を書くことにします。

ゴッホ展の見所は次の3つになるようです。

  1. 日本初!ファン・ゴッホ美術館との本格的国際共同プロジェクトである。
  2. 日本の美術がファン・ゴッホに与えた影響を様々な角度から検証
  3. 日本初公開!ガシェ家に遺された3冊の芳名録

5つの展示構成

第1章:パリ 浮世絵との出逢い

展示は5つの構成です。

第1章「パリ 浮世絵との出会い」では、当時日本の美術がパリに渡ってきたタイミングで、大量に買い付けてきた画商によって、浮世絵の存在が認知され、当時の美術作家から徐々に広がっていきます。

 

第2章:アルル 日本の夢

パリから南フランスの「アルル」という地に移って作家活動を続けたゴッホは、浮世絵の作品からモチーフを展開して、様々な複数の要素を作品に投影していきます。生涯日本の地に行くことが叶わなかったゴッホですが、アルルは日本のような自然が存在し、ゴッホ自身の感覚で作品制作に邁進していきます。

アルルの風景なども映像で見ることが出来る展示です。

 

 

第3章 深まるジャポニズム

徐々に日本美術に傾倒するゴッホの作品が実際に影響を受けたであろう浮世絵などの作品と同時に展示されていました。

得に印象的だったのは、地平線の位置。日本の絵画が地平線を上の方に持ってくることが多く、それらを真似て自分のものにしていた作品が目立って多く、面白かったですね。

ゴッホは自分でも浮世絵などを収集していたようです。日本美術への愛が溢れる点が色んな所に現れていて身近な存在に思えてきました。

 

第4章:自然の中へ 遠ざかる日本の夢

ゴッホの露骨な日本美術の描写から、作品の中へ自然に取り入れていくようになるのが晩年です。作品にはゴッホの体内に消化されたかのように、色使いや構図、モチーフが含まれていて、なるほどと頷きます。

ゴッホの晩年は地平線寄りも低い、足元寄りの構図が多くなっているというお話しも印象的でした。精神的に内面に向かっているような、弱含みな心境を感じます。

※第4章の展示は「ゴッホの作品で見終わって欲しい」との意図から、続く5章の後に展示スペースを設置するという配慮がありました。

第5章:日本人のファン・ゴッホ巡礼

ゴッホの死後、日本人が合計で260人ほど結びつきの強かった担当医ガシェ家に巡礼で来るようになりました。遺されている3冊の芳名帳も展示されています。

さらに、それら日本人が遺したゴッホに関わる作品も展示されていました。

 

日本人による模写企画

ゴッホ展と同時に上映している映画「ゴッホ〜最後の手紙」で唯一日本人画家「古賀陽子さん」が参加されていますが、古賀陽子さんが描いたゴッホの作品も展示されていました。

一見ゴッホなのですが、良く見ると明らかに違うと分かります。さすがにコピーは出来ませんね。

 

古賀陽子さんは復元の過程の中でゴッホの筆力について触れ、「非常に高度な技術を使っている」というようなお話しをされていました。

また、筆者も近づいて作品を見てましたが、印象残っているほど厚く塗っているわけでは無いなぁ、と言う感じもしました。実際に間近で作品を見ると、それ以外にも色んな感情が沸いてくることに気がつきます。

おまけ

プリクラのような箱に入って「フェイスマッピング」を試すことの出来るブースが設置されていました。上手く動かないのか、入ってすぐに出てくる人がいました。そうさが難しいのかも知れませんが・・・。

まとめ

アーティスト「ゴッホ」を日本と掛け合わせて上手く見せている展覧会「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」。構想から6年の月日が流れて実現した素晴らしい内容でした。

こんなに日本を意識していたのか、ということへの理解もそうですが、だからこそ日本人が持つゴッホへの愛も同時に感じました。

こう言った「切り口で作品を見せる企画」は時として作家の意思や思いを受け止めにくい側面があるかと思いますが、作品への理解を深める点で、今後も大いに推進していって頂きたいと思います。

また、「イブニング・レクチャー」という企画についても、丁寧に整理された解説を聞くことが出来て、理解を深めることに繋がりました。今後、もっと積極的に開催していって欲しいと思います。

Burart スコア

作品点数:★★★★☆
企画・構成力:★★★★
レア(稀少):★★★★
混雑:★★★
グッズ・作品購入:★★★
コストパフォーマンス:★★★☆
オススメ度:★★★★
※あくまでも筆者の主観です。作品の評価ではありません。

概要

会期: 2017年10月24日(火) ─ 2018年1月8日(月・祝).
会場: 東京都美術館
開室時間: 午前9時30分~午後5時30分
※金曜日、11月1日(水)、2日(木)、4日(土)は午後8時まで ※いずれも入室は閉室の30分前まで観覧料 (税込) 当日 一般 1,600円大学生・専門学校生 1,300円高校生 800円65歳以上 1,000円
主催:東京都美術館、NHK、NHKプロモーション
後援:外務省、オランダ王国大使館
協賛:損保ジャパン日本興亜
協力:KLMオランダ航空、日本航空
共同企画:ファン・ゴッホ美術館

プレスリリースはこちら

イブニングレクチャー

東京都美術館学芸員による見どころ解説
日時:11月3日(金・祝)、12月1日(金) 各回18時30分~19時(開場18時10分)
会場:東京都美術館講堂(交流棟 ロビー階/定員:225名)
※聴講無料。ただし「ゴッホ展」観覧券(半券可)が必要。
※事前申込不要(定員になり次第受付終了)