額装とは何か?
アート作品を購入したとき、「額装する」という選択をされる方は多いと思います。
せっかく高価な買い物をして、気に入って迎え入れた作品。購入時の箱に入れたまま保管するのではなく、きちんと額装して飾りたい――そう思うのは自然なことです。
では、「額装」とはそもそも何を意味するのでしょうか?
額装とは、アート作品を飾るために額(フレーム)を用いて装丁することを指します。ただし、それは単なる“飾り”にとどまりません。見た目の美しさだけでなく、保存や展示の観点からも重要な役割を果たします。

なぜ額装をするのか?
このシンプルな問いに、きちんと答えられる方は意外と少ないかもしれません。額装の意味をあらためて整理すると、主に次の3点に集約できると思います。
- 展示する状態に整える
- 作品を保護する(劣化を防ぐ)
- 作品が映えるように装飾する
(1)展示する状態に整える
これは言うまでもなく、作品を壁に掛けるなど「飾れる状態」に整えるという目的です。
たとえば画用紙に描かれたデッサン作品を、セロハンテープで壁に貼ることも不可能ではありませんが、紙にも壁にも優しくありません。
筆者自身も最近、デッサン作品を収蔵する機会があり、「紙を美しく、かつ安全に保存するにはどうしたらいいのか?」という疑問を持ち、額装店に相談したことがありました。
そこで改めて知ったのが、「酸化」の問題です。
紙は酸や湿気、空気中の成分と反応してどんどん劣化していきます。

(2)作品を保護する(劣化を防ぐ)
筆者としては、この「保護する」という役割が最も重要だと感じています。
多くの方が購入した作品を、共箱のまま押し入れや物置に保管しているかもしれません。けれど、それでは作品は傷んでいきます。
額装には、以下のような要因から作品を守る機能があります。
- 熱や光(特に紫外線)
- 空気中のホコリや油分
- 湿気
- カビ・細菌
- 虫害
(3)作品が映えるように装飾する
見た目の美しさも額装の大きな役割の一つです。特にマット(マットボード)の存在は重要です。以下のような効果をもたらします。
- 作品に広がりと奥行きを与える
- 色味によって展示空間との調和を図れる
- 表面カバー(ガラスやアクリル板)との直接接触を防ぐ
- 湿気や密着による劣化を防ぐ
たとえば写真やドローイング作品など、表面が繊細なものは、直接ガラスに触れてしまうと張り付きやすく、剥がれなくなることも。マットを挟むことで、そのリスクを大きく軽減できます。
ちなみに筆者も以前は、アクリル板だけのシンプルな額装にハマっていましたが、最近は「装飾しないことが最適な装飾」という考えも一歩引いて見直すようになりました。

額装時に注意すべきポイント
- フロント面はUVカットのアクリル板を使用すること。
- 裏蓋はトンボを使わずに密閉すること。
- 裏蓋の素材は「シナベニヤ」を採用すること。
- 中性紙やスーパーバリアシートなど保護剤を使用すること。
- マット紙を活用しつつ、使う場合は慎重に(ヤケに注意)
- 酸化を防止するための資材を出来るだけ活用すること。

さいごに
この記事を読んで興味を持ったら、まずは身近な額装店に相談してみてくださいポイントを理解してくれて色んな相談に応じてくれる額装屋さんを見つけると世界が広がると思います。見栄えだけで無く、保存にも配慮した額装を行い、素敵なアートライフを過ごしてください。
筆者のオススメ額屋さんはこちらです。
コメントを残す