藝大コレクション展2019
東京藝術大学は、その前身である東京美術学校開校に先だって、様々な芸術資料を収集してきました。
そこには、東京美術学校および東京藝術大学の歴代在学生・卒業生たちの作品(学生制作品)や、歴代教員の作品、そして、学生の教材として用いられた美術資料が含まれており、その総数は約3万件にのぼります。そして、この多様なコレクションを紹介するのが「藝大コレクション展」です。
今年の藝大コレクション展では、コレクションの多様な側面をご紹介します。
第1期、第2期ともに、いわゆる「名品」として知られる作品をご覧いただくだけでなく、「Collection in Focus」と題したコーナーで、これまで紹介される機会の少なかった作品・資料を、新しい視点から展示します。
この展覧会で特に注目されるのは、藝大の近世絵画コレクションの優品である池大雅《富士十二景図》連作です。
全12幅のうち、藝大蔵 が7幅、他館で4幅の存在が知られていましたが、このたび最後の1幅が発見され、収蔵されることになりました。この1幅の収蔵を記念した特集展示が行われます。
みどころ1〜池大雅《富士十二景図》全点展示
1976年、東京藝術大学は、江戸の文人画家池大雅(1723-1776)が妻玉瀾のために描いたとされる《富士十二景図》のうち7幅を収蔵しました。それ以外の4幅は兵庫の滴翠美術館が所蔵していますが、のこりの1幅《九月 緑陰雑紅》は長い間所在不明となっていました。このたび、その最後の1幅が発見され、新たに藝大のコレクションに加わりました。本展では、特別に滴翠美術館所蔵の4幅を借用し、全12幅が一堂に展観します。
みどころ2〜 藝大コレクションの名品たち
藝大コレクションは、東京美術学校(現在の東京藝術大学美術学部の前身)が創立された明治 20 年(1887)に先立って収集された、教材としての美術品や、卒業制作をはじめとする学生作品、そして歴代教員の作品・資料によって構成されています。
130 年にわたって続いた収集活動の結果、収蔵総件数は3万件を超え、日本近代美術の流れをたどることができる体系的なコレクションに成長しました。このセクションでは、藝大コレクションの絵画コレクションより、近世以前の古画、そして近代以降の日本画・洋画代表作品を紹介します。
みどころ3〜Collection in Focus ~藝大コレクションを深く知る
藝大コレクションには 130 年にわたる歴史があり、これまでの東京美術学校/東京藝術大学の多岐にわたる芸術教育の成果が蓄積されています。“Collection in Focus”と題したセクションでは、これまで紹介される機会の少なかった作品を、多様な視点から考察します。
1. イギリスに学んだ画家たち (通期)
明治以来、多くの洋画家がヨーロッパ各国へ留学しました。近代洋画ではしばしばフランス留学とその成果が注目されますが、本特集では原撫松や南薫造、牧野義雄など、イギリスに学んだ画家の作品にスポットを当ててご紹介します。
2. 起立工商会社工芸図案 ※第2期のみ
1873 年のウィーン万国博覧会での成果を受けて、翌年に設立され、ジャポニスムの流れにも一役買った、日本の貿易会社である起立工商会社。世界に送り出した数々の工芸品の図案(総数約2,000枚)の中から厳選してご紹介します。
3.東京美術学校日本画科の風景画 ※第2期のみ
画学生の卒業制作から、松岡映丘、小村雪岱、山口蓬春など大家の作品まで、大正から昭和初期の画壇との影響関係を窺わせる、日本画科ゆかりの風景画を紹介します。
本展「藝大コレクション展2019」は会期が第1期、第2期に分かれ、大幅な展示替えが行われるとのこと。
それぞれ約1ヶ月間の開催となり、余裕を持って2期制覇して頂きたいと思います。
概要
藝大コレクション展 2019
会場:東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1
会期
第1期:2019年4月6日(土)〜5月6日(月・休)
第2期:2019年5月14日(火)〜6月16日(日)
※ 大幅な展示替えがございます。
時間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(ただし、4月29日、5月6日は開館)
観覧料:一般430円(320円)、大学生110円(60円)、高校生以下及び18歳未満は無料
※ ( )は20名以上の団体料金
※ 団体観覧者20名につき1名の引率者は無料
※ 障がい者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料