【News】「未来を担う美術家たち〜21st DOMANI・明日展 文化庁新進芸術家海外研修制度の成果」が開催!

21st DOMANI・明日展〜平成の終わりに

1998年からスタートした「DOMANI・明日展」が2019年1月23日~3月3日国立新美術館で開催されます。
DOMANI展は、文化庁による新進作家育成プログラムで海外に送り出した人材を、日本のアートシーンへプレゼンする機会として知られています。
第21回DOMANI展は「平成の終わりに」をサブタイトルに、国立新美術館の豊かな空間を生かし、研修を終えて比較的時間の浅いフレッシュな作家たちのショウケースとなるようラインナップされています。
昭和50年代に生まれ、平成時代に表現者を目指した9人の作家による展覧会となり、あわせてイタリア・フィレンツェでの滞在制作経験を持つ三瀬夏之介氏をゲスト作家に迎え開催されます。

出品作家

本展の出品作家9名の作家とゲスト作家をご紹介します。
いずれも現代アート界の次代を担うアーティストたちです。
※50音順、作家情報として、名前、表現領域、派遣年・派遣国及び都市

加藤 翼 Tsubasa KATO(現代美術 )

2015年派遣2年間・アメリカ〈シアトル〉

加藤 翼《Pass Between Magnetic Tea Party》
2015 Courtesy of Toyota Municipal Museum of Art and MUJIN-TO Production

《Pass Between Magnetic Tea Party》2015 Courtesy of Toyota Municipal Museum of Art and MUJIN-TO Production
1984年、埼玉県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画 修了。現在、東京都を拠点に活動。 パブリックな場所に寝かせた巨大な建造物を、ロープを使って大勢で引っ張り上げる「引き倒し」あるいは「引き興し」と呼ばれる参加型のアートプロジェクトをおこなう。 一連のプロセスに多くの人を巻き込むことで同じ達成感を共有し、建造物が内包する物語に想いを馳せる時間を通して人どうしの関係をつくり、アーカイブを展示する。アメリカから帰国後初の個展では、移動と距離をテーマに現地の人々と共同 で行ったプロジェクトがすべて公開され、「今いる場所」から様々な土地への距離に 対する想像力をうながす新たな展開を発表している。
主な展覧会に、「カタストロフと美術のちから展」(森美術館、東京、2018)、 「TARO賞20年/20人の鬼子たち」(岡本太郎記念館、東京、2017)、「蜘 蛛の糸」(豊田市美術館、愛知、2016)、「3・11とアーティスト:進行形の 記録」(水戸芸術館、茨城、2012)、「六本木クロッシング:芸術は可能 か?」(森美術館、東京、2010)。

川久保 ジョイ Yoi KAWAKUBO(写真・現代美術 )

2016年派遣・イギリス〈ロンドン〉

川久保 ジョイ《千の太陽の光が一時に天空に輝きを放ったならば I》2013 ※参考作品

1979年、スペイン生まれ。筑波大学人間学類卒業。現在、ロンドンを拠点に活動。 神経心理学を学び、金融トレーダーという経歴も持つ川久保は、写真や言語、 空間インスタレーションなど多様なメディアで個人の体験と歴史上の様々な出来 事を普遍的な問題へと媒介していく作品群を制作する。近年は経済、原子力の 問題や信仰など人間の営みに焦点を合わせたプロジェクトが増え、時間や価値 観の軸の中のかけ離れた点を提示することで観客を是と非の間へと誘う。
主な展覧会・受賞歴に、 「ヨコハマトリエンナーレ2017」(横浜美術館、神奈川、 2017)、「第19回岡本太郎現代芸術賞展」(川崎市岡本太郎美術館、神奈川、2016)、「フォール」(資生堂ギャラリー、東京、2016)、「Stella Maris was a name I found in a dream」(大和日英基金、ロンドン、 2016)、「VOCA2015」(大原美術館賞、上野の森美術館、東京、 2015)。

木村 悟之 Noriyuki KIMURA(メディアアート)

2016年派遣 ・ドイツ〈ケルン〉

木村 悟之《POLINKI》2017

1977年、群馬県生まれ。情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現研 究科修了。現在、石川県を拠点に活動。 撮影者を時間と場所、方向を決定するルールによって拘束し、移動によって変化する環境と撮影者の身体的反応によって展開する実写映像作品「軌跡映画」シリーズや、部屋を遮光したピンホールカメラの中で太陽光により長時間かけて投影される文字を収録し100倍速で再生した作品《CINEMA》(2015)など、パ フォーマンスとその記録映像によって構成される作品を発表。
主な上映・受賞歴に、「第18回文化庁メディア芸術祭上映『CINEMA』」(審 査員推薦作品選定、国立新美術館、東京、2015)、「第60回オーバーハウ ゼン国際短編映画祭『UNSER HAUS FOR THE NEW ERA』」(Muvi Award(ミュージックビデオ部門)、2nd Prize、ドイツ、2014 )、「FILM BY MUSIC コンペティション」(審査員特別賞、YCAM、山口、2013)。

志村 信裕 Nobuhiro SHIMURA(現代美術)

2015年派遣2年間・フランス〈パリ〉

志村 信裕《Nostalgia, Amnesia》2019 Courtesy of Yuka Tsuruno Gallery

1982年、東京都生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科映像コース修了。現在、千葉県を拠点に活動。 「光をあてる」をテーマに、映像プロジェクションによるインスタレーションを国内外で 多数発表。身近なものを題材にした実写映像を日常風景に重ねあわせることで、 見慣れた風景に新たな関係性をつくりだし、光がもたらす記憶や場所性を主題に してきた。近年では、グローバリズムから隔絶された離島の生活誌を記録するプロ ジェクトや、美術作品による歴史の記述・読み直しを試みるなどの新たな表現方法にも取り組んでいる。
主な展覧会に、「物の気」(ウォーナンブール美術館、オーストラリア、2018)、 「六本木クロッシング2016」(森美術館、東京、2016)、「未見の星座〈コンス テレーション〉-つながり/発見のプラクティス」(東京都現代美術館、2015)、 「ヴァンジ彫刻庭園美術館コレクション展 この星のうえで」(ヴァンジ彫刻庭園美 術館、静岡、2013)。

白木 麻子 Asako SHIROKI(現代美術)

2015年派遣 ・ドイツ〈ベルリン〉

白木 麻子《Liquid path – Buoyancy and dynamic》2017 Photo : Hong Cheolki

1979年、東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科後期博士課程 美術専攻修了。現在、ベルリンと東京都を拠点に活動。 「物事の記憶の再生」と「形式や主体からの忘却」が絶えず繰り返される緊張関 係の中で開かれた世界を再び読み解くことを自身の表現とし、重力や質量のバラ ンスによって自立し解体可能なパーツで構築された緊張感ある立体作品およびそれらを構成した空間インスタレーションを発表。立体作品は椅子や机など既存の家具や建築の部分を連想させるフォルムでありながらも、本来ならばそれに含まれ る機能性は持ち合わせず、抽象化されていることにより新たなかたちとして認識される。
主な展覧会に、「まちと美術館のプログラム アートが街を表現する−循環するコモンズたちの都市」(森ビル、森美術館、西新橋エリア、東京、2018)、「The Other Face of the Moon」(Asia Culture Center、光州、韓国、2017)、 「56th October Salon-The Pleasure of Love」(ベオグラード市美物館、 ベオグラード・セルビア、2016)、「4th Moscow International Biennale for Young Art – Time for Dreams」(モスクワ美術館、モスクワ・ロシア、 2014)、「On the Floor, Behind the Window」(クンストラーハウス・ベタニ エン、ベルリン・ドイツ、2014)。

蓮沼 昌宏 Masahiro HASUNUMA(現代美術)

2016年派遣 ・ドイツ〈フランクフルト〉

蓮沼 昌宏《豊島》2018 Photo:椎木静寧 ※参考作品

1981年、東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科美術解剖学研究室博士課程修了。現在、愛知県を拠点に活動。 イメージの自律性、夢の不思議さに関心を持ち、19世紀後半に考案された、パ ラパラ漫画(フリップ・ブック)の原理で絵が動く装置「キノーラ」によるアニメーショ ンを中心に、写真、絵画を制作する。前回の「20th DOMANI・明日展PLUS」 (日比谷図書文化館)でもキノーラを出品し、今回国立新美術館での新たな展開が期待される。
主な展覧会に、「20th DOMANI・明日展PLUS」(日比谷図書文化館、東京、2017)、「瀬戸内国際芸術祭」(香川、岡山、2016)、「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟、2015)。

松原 慈 Megumi MATSUBARA(インスタレーション・建築 )

2013年派遣・モロッコ〈ラバト〉

松原 慈《接触化石》2016 愛知県陶磁美術館蔵 ※参考作品

1977年、東京都生まれ。ロンドン大学バートレット建築学校MA修了。現在、 フェズ(モロッコ)と東京都を拠点に活動。 写真・音・テキスト・光の現象など様々な表現で構成された空間についての物語 を提示し、存在/不在のバランスを問いかける。夢や意識として体験されるイメー ジを視覚世界に重ね合わせるかのような独特の空間感覚を、インスタレーション、 パフォーマンスの実践、言葉とイメージを軸にしたアーティストブックの制作など多様 な活動を通して追求する。2002年に有山宙と設立した建築スタジオ ASSISTANTでは建築作品《33年目の家》《IT IS A GARDEN》も発表している。
主な展覧会に、「あいちトリエンナーレ2016」(愛知県美術館、2016)、「マラ ケシュビエンナーレ6」(エル・バディ宮殿、マラケシュ、モロッコ、2016)、「A proposal for a textbook to learn Braille, English, and other languages」 (Fonderia Artistica Battaglia、ミラノ、イタリア、2015)、 「The Blind Dream」(Duiria Mouassine Museum、マラケシュ、モロッコ、 2014)。

村山 悟郎 Goro MURAYAMA(絵画)

2015年派遣2年間・オーストリア〈ウィーン〉

村山 悟郎《自己組織化する絵画<樹状多層構造>》2017

1983年、東京都生まれ。東京藝術大学美術研究科博士後期課程美術専 攻油画(壁画)研究領域 修了。現在、東京都を拠点に活動。 雪の結晶やアリの巣、細胞膜の形成運動など有機的な構造に見られる自己組 織的なプロセスやパターンを、絵画やドローイングを通して表現する。麻紐からカンバスを織り上げ、下地とドローイングを施すというプロセスを繰り返していく織物絵 画など、長期的に持続する制作の中で成長していく作品構造によって、ウィーン滞在時に得た「人の創造性は複数プロセスの非同期性やプロセス自体の時間変化によってもたらされるのではないか」という構想を展開する。
主な展覧会に、「Emergence of Order」(大和日英ジャパンハウス、ロンドン、 2018)、「監獄のファンタジー」(小金井アートスポットシャトー2F、東京、 2015)、「生成のヴィジュアル-触発のつらなり」(Takuro Someya Contemporary Art, Kashiwa、千葉、2013)、「成層圏 vol.6 私のゆくえ 村山悟郎」(ギャラリーαM、東京、2012)、「第4回シセイドウアートエッグ ・ 絵画的主体の再魔術化」 (資生堂ギャラリー、東京、2010)。

和田 的 Akira WADA(陶芸)

2007年特別派遣・フランス〈パリ〉

和田 的《白器「牛」》2015 個人蔵

1978年、千葉県生まれ。文化学院陶磁科卒業。現在、日本工芸会正会員、 千葉県を拠点に活動。 白磁の粘土をろくろで整形し、乾燥させたあとに彫刻刃で削り出してから焼成した 陶磁器を発表するほか、樹脂や金属を素材とした作品も手掛ける。手による彫りを重要とし、動と静、光と影、直線と曲線のコントラストが静謐な佇まいに確かな 存在感を与え、新たな陶磁器表現として注目される。スライドレクチャーやワークショップなど後進の指導も精力的におこなっている。
主な展覧会・受賞に、「東美アートフェア 和田的展」(東京美術倶楽部、 2017)、「進化する磁器-1980年代から現在まで-」(茨城県陶芸美術館、 2017)、「第64回日本伝統工芸展」 白器「ダイ/台」東京都知事賞(日本 橋三越本店、東京、2017)、「REVALUE NIPPON PROJECT展」(パナソ ニック汐留ミュージアム、東京、2016)。

【ゲスト作家】三瀬 夏之介 Natsunosuke MISE(絵画)

1973年、奈良県に生まれる。京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。2006年度に五島記念文化賞を受賞し、2007年に五島記念文化財 団の助成によりフィレンツエに滞在。現在、東北芸術工科大学芸術学部美術科 教授、山形県を拠点に活動。 和紙や墨、金箔など伝統的な日本画の素材のほか、アクリル絵の具やインクジェットプリントのコラージュ、ハトメ穴と糸によって荒く継ぎ足された巨大な旗状の 作品群など、既存の日本画の範疇を超えた作品を発表。具象・抽象を織り交ぜ た多様なイメージが渾然一体となり、「日本画とは何か」を問いかけながら絵画の可能性を追求し続けている。フィレンツェでの滞在制作後は山形を拠点にし、 2009年より東北における美術を考えるチュートリアル活動「東北画は可能か?」 を展開している。
主な展覧会・受賞に、「高橋コレクション・マインドフルネス2017」(山形美術館、 2017)、「山形ビエンナーレ2016 山形の絵-小盆地宇宙-」(洗心庵、山形、 2016)、「日本の絵ー執拗低音ー」(京都市美術館別館、2015)、第32 回京都府文化賞奨励賞(2014)。

三瀬 夏之介《日本の絵》2006 文化庁蔵

参加作家さんの作品に大きく期待しております!

概要

未来を担う美術家たち〜21st DOMANI・明日展 文化庁新進芸術家海外研修制度の成果
会期:2019年1月23日(水)~3月3日(日)
休館日:毎週火曜日
会場:国立新美術館 企画展示室2E
時間:午前10時~午後6時 ※毎週金・土曜日は午後8時まで
※入場は閉館の30分前まで
料金:一般1,000円(800円)、大学生500円(300円)
※( )内は前売および20名以上の団体料金
主催:文化庁、国立新美術館
協力:日本航空、株式会社映像センター
■出品作家
(※50音順、生年・表現領域・派遣年度・派遣国及び都市)
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加藤翼 Tsubasa KATO
1984年・現代美術・H26年度二年・アメリカ〈シアトル〉
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川久保ジョイ Yoi KAWAKUBO
1979年・写真・現代美術・H28年度・イギリス〈ロンドン〉
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木村悟之 Noriyuki KIMURA
1977年・メディアアート・H28年度・ドイツ〈ケルン〉
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志村信裕 Nobuhiro SHIMURA
1982年・現代美術・H27年度二年・フランス〈パリ〉
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白木麻子 Asako SHIROKI
1979年・現代美術・H27年度・ドイツ〈ベルリン〉
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蓮沼昌宏 Masahiro HASUNUMA
1981年・現代美術・H28年度・ドイツ〈フランクフルト〉
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松原慈 Megumi MATSUBARA
1977年・インスタレーション、建築・H24年度・モロッコ〈ラバト〉
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村山悟郎 Goro MURAYAMA
1983年・絵画・H27年度二年・オーストリア〈ウィーン〉
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和田的 Akira WADA
1978年・陶芸・H19年度特別・フランス〈パリ〉
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○ゲスト作家
三瀬夏之介 Natsunosuke MISE
1973年・絵画