【News】磯村暖個展「LOVE NOW」がEUKARYOTEで開催!!

磯村暖「LOVE NOW」

社会とアートを繋ぐアイコンとしても注目を集めるアーティスト磯村暖さん。
本サイトでもここ最近の活動をたびたびレポートしております。

そんな磯村暖さんの個展がギャラリー「EUKARYOTE」にて開催されることになりました。
LGBTQや移民等をテーマにした作品を未知の異物との横断的な関わりとして総括する 「LOVE NOW」です。

《LOVE NOW》(ワットパイローンウア寺、タイ王国)

磯村暖さんは、2017年オン・サンデーズ(ワタリウム美術館)での個展、台北關渡美術やタイのワットパイローンウア寺院での滞在制作、キース・ヘリング(Keith Haring)生誕60周年記念イベントでのコラボレーション、香取慎吾の呼びかけによる「NAKAMA de ART」など、ここ最近の国内・国外問わず積極的に活動されています。

キースへリング生誕60周年記念イベントより〜撮影:海野林太郎

オン・サンデーズ(ワタリウム美術館)での個展から1年ぶりとなる本展は、磯村暖の直近2年間の活動を凝縮した内容となります。本展で会期中にも追加されていく地獄の亡者像は、磯村が近年継続して制作に取り組んでいる重要なアートワークの一つです。

オン・サンデーズでの個展「Good Neighbors」(2017年)

「同性愛の罪」、「国籍を持たない罪」といった罪状を表面に書かれた亡者像たちはどこか柔らかな佇まいを持ちながら、私たち鑑賞者と同じ地表に設置され、善悪が反転する可能性を示唆しています。
また、タイにおいて1970年代から急速に定着したコンクリートを素材とする仏教像制作は、タイ社会とそれに相対する世界の背景を浮かび上がらせるのと同時に、日本におけるありえたかもしれない仏教美術や美術の受容について提示しているようにも見えてきます。

TAVギャラリーでの個展「地獄の星」(2016年) 撮影:松尾宇人

その他、新作のドローイング作品と、在日ネパール人との協働作品「HOME PARTY, 2017」の再インストールや、LGBTQの当事者でもある磯村暖が台湾での同性婚をテーマに制作した「Joss Paper for the lovers, 2018」、そこから展開されていった「LOVE NOW, 2018」を展示します。

キースへリング生誕60周年記念イベントより〜撮影:海野林太郎

かつての社会的な違和感を取り上げる作風から発展し、LGBTQや移民、宗教といったキーワードを組み込んで制作してきた近年の活動を、未知の異物とのtrans=横断的な関わりとして総括する本展「 LOVE NOW」は、「LOVE」が制約される現代の社会通念・パラダイムをアップデートし、不可能を可能にする為の呼びかけでもあります。

《Joss Paper for Lovers》 撮影:黃湧恩

《Joss Paper for Lovers》 撮影:黃湧恩

– 2016年以降、磯村が継続して制作に取り組んでいる地獄の亡者像は、タイで1970年代以降に定着し た新しい地獄表現である「地獄寺」に着想を得ている。地獄寺とは、立体像で構成された地獄空間 をもつ寺院のことである。タイにおける地獄表現はもともと壁画などの平面に描かれているものであったが、それが現代になり、私たちが実際に足を踏み入れることのできる地獄空間としてあらわされるようになったのである。
パラダイムにおける異質なものを表象することは国や時代を問わず行われ、そのメディアとして 「地獄」は大きな役割を担ってきた。その時代の最も新しい手法によって、地獄は何度も繰り返しあらわされ、その度に時代の特性を炙り出してきたのである。 そして今、磯村はまさにその役割を担っているように思う。
国と国、性別や国籍、また生と死といった既存の「境界」は磯村の解釈でやわらかく崩され、混ざり合い、なくなっていく。その過程を、今回開催される“LOVE NOW”では目の当たりにすることができるだろう。

椋橋彩香氏(早稲田大学大学院美術史研究科博士課程在籍・研究テーマ:タイ仏教美術における地獄表現)からのメッセージ

《LOVE NOW》(濕地venue、台湾)

概要

磯村暖
​LOVE NOW
会場 : EUKARYOTE (東京都渋谷区神宮前3-41-3)
営業時間 : 12:00 – 19:00 休廊:月曜日
会期 : 2018年11月30日 (金) – 12月24日 (日)
Opening Party : 2018年11月30日​(金) ​18:00 – 20:00
Talk Event:2018年12月1日(土)19:00 – 21:00
磯村暖(アーティスト) × 椋橋彩香(早稲田大学大学院美術史研究科博士課程在籍。研究テーマはタイ仏教美術における地獄表現)