【News】「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」 東京都現代美術館

石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか

東京に生まれ、アート・ディレクター、デザイナーとして、多岐に渡る分野で新しい時代を切り開きつつ世界を舞台に活躍した、石岡瑛子(1938-2012)世界初の大規模な回顧展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が、東京都現代美術館で開催されます。

時代を画した初期の広告キャンペ ーンから、映画、オペラ、演劇、サーカス、ミュージック・ビデオ、オリンピックのプロジェクトなど、その唯一無比の個性と情熱が刻印された仕事を総覧します。

石岡瑛子 Photo by Robert Mapplethorpe Eiko Ishioka, 1983 ©Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.

石岡瑛子(いしおか えいこ)

1938 年東京都生まれ。アート・ディレクター、デザイナー。
東京藝術大学美術学部 を卒業後、資生堂に入社。社会現象となったサマー・キャンペーン(1966)を手がけ頭角を現す。独立後もパルコ、角川書店などの数々の歴史的な広告を手がける。
1980年代初頭に拠点をニューヨークに移し、映画、オペラ、サーカス、演劇、ミュージック・ビデオなど、多岐にわたる分野で活躍。マイルス・デイヴィス 『TUTU』のジャケット・デザインでグラミー賞受賞(1987)、映画『ドラキュラ』 の衣装でアカデミー賞衣装デザイン賞受賞(1993)。2008年北京オリンピック開会式では衣装デザインを担当した。2012年逝去。

石岡瑛子 ポスター『西洋は東洋を着こなせるか』(パルコ、1979年) アート・ディレクション

石岡瑛子 映画『Mishima: A Life in Four Chapters』(ポール・シュレイダー監督、1985年) プロダクション・デザイン Mishima ©Zoetrope Corp. 2000. All Rights Reserved. / ©Sukita

展覧会のみどころ

コラボレーションを通したデザインのプロセスに迫る展示

自伝『私デザイン』にも克明に記述されているように、石岡瑛子の仕事は、マイルス・デイヴィス、レニ・リーフェ ンシュタール、フランシス・フォード・コッポラ、ビョーク、ターセム・シンら名だたる表現者たちとの緊張感に満ち たコラボレーションの連続で生み出されてきました。展示では、集団制作の中で個のクリエイティビティをいかに発揮 するかに賭けた「石岡瑛子の方法」を、デザインのプロセスを示す膨大な資料とともに紹介し、その秘密に迫ります。

全世界から集めた壮麗な映画衣装などによる、圧倒的な石岡瑛子デザインの体感

人間の身体の躍動感を根源に宿しつつ、「赤」をキーカラーとし、視覚的なインパクトとエモーションを併せ持つ石岡瑛 子の仕事を、現在進行形のクリエーションを体感できる、熱量の高い展覧会として提示します。アカデミー賞を受賞し た『ドラキュラ』(1992)や、『落下の王国』(2006)、『白雪姫と鏡の女王』(2012)、オランダ国立オペラ『ニーベルン グの指環』(1998-1999)など、ハリウッド・アカデミーをはじめ世界各国のアーカイブから集められた映画・舞台衣装 の展示も必見です。

Timeless, Original, Revolutionary… 時代を切り拓き、境界を横断していくクリエーションの力

前田美波里を起用したデザイン史の金字塔とも言うべき資生堂のポスター(1966)や、1970-80 年代のパルコの広告などの一連の仕事において、石岡瑛子は、解放された女性像を提示し、東洋と世界の諸文化を対照・混合させながら、新しい時代を切り拓いていきました。
1980年に海外に拠点を移してからは、「サバイブ」を口癖に困難に立ち向かい、あらゆるデザイン領域に挑戦していきます。「Timeless, Original, Revolutionary」の3つのテーマをデザインの根幹に掲げ、「私」の可能性を拡張し続けた石岡瑛子の仕事は、2020 年の現在を生きる私たちに力強いメッセージを投げかけるはずです。

石岡瑛子 映画『ドラキュラ』(フランシス・F・コッポラ監督、1992年)衣装デザイン  ©David Seidner / International Center of Photography

石岡瑛子 オペラ『ニーベルングの指輪』 (リヒャルト・ワーグナー作、ピエール・オーディ演出、オランダ国立オペラ、1998-1999年)衣装デザイン ©ruthwalz

石岡瑛子 コンテンポラリー・サーカス『ヴァレカイ』(シルク・ドゥ・ソレイユ、2002年)衣装デザイン    Director: Dominic Champagne / Director of creation: Andrew Watson / Set designer: Stéphane Roy / Courtesy of Cirque du Soleil

展示構成

1 Timeless:時代をデザインする

ジェンダー、国境、民族といった既存の枠組みの刷新、新しい生き方の提案を、ヴィジュアルな言語から社会に 投げかけた石岡瑛子。グラフィック、エディトリアル、プロダクト等のデザインを通して、1960年代の高度経済 成長期から80年代に至る、消費行動を通した日本大衆文化の成熟を辿る。時代をデザインしつつ時代を超越しようとする姿勢は、その後の彼女の展開を予言するものとなる。

Projects

– 資生堂、角川書店、パルコ広告キャンペーン(ポスター、CM 1960s-1980s)
– 角川書店『野生時代』(雑誌 1974-1978) ほか

2 Fearless:出会いをデザインする

1980年代半ば以降、石岡瑛子は、クリエイターたちとの新たな出会いによって、日本から世界へと活動の場を広げるとともに、グラフィック・デザイン、アート・ディレクション、コスチューム・デザイン、さらにはプロダクション・デザインと、デザインの表現領域を超えていく。エンターテイメントという巨大な産業のなかで個人のクリエーションのアイデンティティをいかに保ち、オリジナリティを発揮するかという問いに向き合いながら、コラボレーションによるデザインの可能性を拓いていく。

Projects

– レニ・リーフェンシュタールとのコラボレーション(展覧会、書籍など 1980/1991)
– マイルス・デイヴィス『TUTU』(レコード・アルバム 1986)
-『M.バタフライ』(演劇 1988)
-『忠臣蔵』(オペラ 1997)
-『Mishima: A Life in Four Chapters』(映画 1985)
-『ドラキュラ』(映画 1992) ほか

石岡瑛子 アルバム・パッケージ『TUTU』(マイルス・デイヴィス作、1986年)   アート・ディレクション ©The Irving Penn Foundation

3 Borderless:未知をデザインする

オペラや映画、サーカスのコスチュームやオリンピックのユニフォームを通して、身体を拡張し、民族、時代、地域などの個別的な属性を乗り越えた、未知の視覚領域をデザインしていく仕事を総覧する。永遠性、再生、夢、冒険といった普遍的なテーマを足掛かりに、人間の可能性をどこまでも拡張していく後半生の仕事は、常に新たな領域へと果敢に越境し続けた石岡自身の人生と重ねられる。

Projects

-『ザ・セル』(映画 2000)
-『落下の王国』(映画 2006)
– グレイス・ジョーンズ『ハリケーン・ツアー』(コンサート・ツアー 2009)
– シルク・ドゥ・ソレイユ『ヴァレカイ』(コンテンポラリー・サーカス 2002)
– ビョーク『コクーン』(ミュージック・ビデオ 2001)
– ソルトレークシティオリンピック(ユニフォーム 2002)
– 北京オリンピック(開会式 2008)
-『ニーベルングの指環』(オペラ 1998-1999)
-『白雪姫と鏡の女王』(映画 2012) ほか

石岡瑛子 映画『落下の王国』(ターセム・シン監督、2006年)衣装デザイン ©2006 Googly Films, LLC. All Rights Reserved.

石岡瑛子 映画『落下の王国』(ターセム・シン監督、2006年)衣装デザイン ©2006 Googly Films, LLC. All Rights Reserved.

石岡瑛子 『北京夏季オリンピック開会式』(チャン・イーモウ演出、2008年)衣装デザイン  ©2008 / Comité International Olympique(CIO) / HUET, John

石岡瑛子 映画『白雪姫と鏡の女王』(ターセム・シン監督、2012年)衣装デザイン  ©2012-2020 UV RML Films dba Relativity Media. All Rights Reserved.

石岡瑛子 映画『白雪姫と鏡の女王』(ターセム・シン監督、2012年)衣装デザイン ©2012-2020 UV RML Films dba Relativity Media. All Rights Reserved.

概要

石岡瑛子
血が、汗が、涙がデザインできるか

会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F/地下 2F
会期:2020年11月14日(土)- 2021年2月14日(日)
休館日 月曜日(11月23日、2021年1月11日は開館)、11月24日、12月28日-2021年1月1日、1月12日 開館時間 10:00-18:00(展示室入場は閉館の 30 分前まで)
観覧料 一般 1,800円/大学生・専門学校生・65歳以上 1,300円/中高生 700円/小学生以下無料
主催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会
協賛 ライオン、大日本印刷、損保ジャパン、日本テレビ放送網、パルコ ほか(予定)
協力 公益財団法人 DNP 文化振興財団、劇団四季、資生堂、七彩 ほか(予定)
※最新情報は美術館ウェブサイトをご確認ください。