奈良美智(Yoshitomo Nara)「Drawings: 1988-2018 Last 30 Years」
奈良美智さんの個展「Drawings: 1988-2018 Last 30 Years」。
350点という圧倒的な作品数の数々に魅了されました。30年間積み重ねられたキャリアの集大成は、全ての作品を消化したと思っても、作品から読み取れるメッセージが自分の中からこぼれ落ちそうなくらい示唆に富んでいて充実の内容でした。
作品購入
今回の個展の会場は「Kaikai Kiki Gallery」。ご存知村上隆さんがマネジメントするギャラリー。奈良さんの今回の個展は入場券などの販売はなく無料で開催されています。そう、この場所は作品の売買によって運営が成立する通常のマーケットプレイスなのです。
筆者が訪問したのは初日。早速スタッフの方に購入に関する問い合わせを行ってみましたが、セールス担当のギャラリストは3名いらっしゃるようです。あいにく全てのスタッフの方は接客中と言うことで、担当者の時間が空くまで少し待つことにしました。
作品の価格は?
奈良美智さんの作品はオークション市場を中心に高値で売買されています。その価格はもはや庶民の手に渡るものではなく、億単位の値段が付くこともある人気ぶりです。
今回の個展で出品されていたのは約350点。そのうちの50作品ほどが販売可能作品と言うことです。
高価格であることは認識済みでしたので、あまりよろしくない確認方法ではありますがセールスの担当者に「1番手に入れやすい(価格の低い)作品はどれでしょう?」と言う確認をさせて頂きました。こちらの意はすぐに伝わり、「2つあります」という小声ですが、明快な回答です。ギャラリストの方が作品の場所へ連れて行ってくれました。
作品1
1つめは1996年の作品です。
上の写真では良く分かりませんが・・・、下写真の赤丸でくくられた作品です。
もちろん3作品セットでは無くて、この中の1作品です。
こちらです。
販売対象の作品は一番左の作品「たまねぎ」です。
破られた紙に小さく書かれた「たまねぎ」。奈良さんらしい可愛らしいモチーフと色、文字です。鉛筆とクレヨンや水彩で描かれたような柔らかな作品です。
スタッフに価格を聞きました。
はい、驚きました。
100万円!!
はい、気を取り直して2つ目の作品に行きます。
作品2
2つ目の作品は2005年の作品です。
どの作品でしょうか?
下の写真の赤丸です。遠景だと良く分かりませんね。
はい、こちらの作品です。
マット紙にくり抜かれたように浮かび上がる子供のキャラクター2体。
アップにしてみました。こちらの金額も一応確認してみます。
はい、100万円!!
奈良さんらしいキャラとコピーがセットになったドローイングならまだしも、極小作品に100万は厳しいっす。庶民ですみません・・・。
念のため分割払いは可能か?確認してみました。
「3週間後に請求書を発行して、一括払いになります」という無情のアナウンス(;。;)
その他作品は?
あまりにも小さな作品に驚きの価格ということで、この上の作品を聞いてみましたがいきなり「400万」という価格に上昇する模様です。「だ、大丈夫です・・・」という一言を発するのが精一杯。もしかしたら買えるかも?と言う淡い夢は脆くも崩れ去りました。いわゆる普通のドローイングは基本的に500万位からと言う料金設定の模様です。
奈良美智さんの個展に伺う。ダメ元で作品の価格を伺って腰が抜けそうになった( ; ; )
女の子を描いた作品は可愛くて大好きだけど、価格は全く可愛げがない…。#分割払いもNG pic.twitter.com/qOUk0l6P6j— ぶらアートβ版 (@burart_jp) 2018年2月9日
少女ドローイング
2020年の夏に開催された、BLUM&POE(東京)でのグループ展でも、奈良美智さんのドローイングが出品されました。
そこでは、少女が登場する奈良さんらしいドローイングが出品されていました。
さて、こちらの作品はお幾らでしょうか…?
75,000ドル → 約800万円!
大型作品
2020年10月、豊田市美術館が奈良美智さんの大型作品の購入を発表しました。220cm×195cmの大型作品《Through the Break in the Rain》です。
購入価格はなんと1億1000万!
1枚の絵画としては破格の金額ですが、奈良さんの代表的な正面向きの少女像モチーフです。一般に流通されれば、一気に値が上がるような素晴らしい作品です。
一般庶民は、ポスターや画集を買って楽しみましょう