【アートバーゼル香港】初参加コレクターが語る「バーゼル香港2019」の感想と振り返り

アートバーゼル香港2019

アートコレクターとして初めて、海外開催アートフェア「アートバーゼル香港」に行ってきました。
アートバーゼルは、知名度、参加ギャラリーのレベル、著名作家の出品など、誰が答えても世界で最高峰のアートフェアと言えるでしょう。最初に海外遠征するなら「バーゼル」!と決めていました。

アートバーゼル香港2019

アートバーゼルの開催は1年で3回。スイスのバーゼル(6月)を筆頭に、マイアミ(12月)、香港(3月)です。
最初に行くとすれば、日本からのアクセスが容易な「香港」であろう、ということで訪問を決意し、2泊3日のスケジュールで行くことを決意いたしました。

今回の1度の訪問で感じた幾つかの点をまとめております。

上記は筆者のレポートとなりますが、本記事はアートコレクターとして参加した感想を他のコレクターさんによるコメントも含めてお届けしようと思います。

3人のコレクターが振り返るバーゼル香港

今回の記事は筆者を含む3人のアートコレクターが、いずれも初参加となった「アートバーゼル香港」訪問を振り返る企画です。※個人の感想ですのでご参考程度に参照下さい。

アートバーゼル香港2019参加者

今回の記事作成にご協力頂いたコレクターの方は筆者を含む下記の3名です。
いずれもアートフェア東京には既に複数回行っており、今回のアートバーゼル香港訪問が、最初の海外アートフェア参加となりました。

  1. H氏・精力的にコレクションする40代の現代アートコレクター
  2. M氏・平面作品を中心にコレクションする30代の現代アートコレクター
  3. Bur@rt管理人
参加日時

アートバーゼル香港は5日間のか開催です。前半はVIPだけ、後半は一般入場に開かれる流れになります。

H氏:3月26日~3月28日 2泊3日 3月26日:アートセントラル香港 3月27日:アートバーゼル香港
M氏:香港滞在は2.5日でバーゼル2回(一般入場)、セントラル2回、コンラッドホテルでのAsia Contemporary Art Showを1回と周辺のギャラリーを巡った。寝る時間を削って朝と夜に観光もした。
Bur@rt管理人:2泊3日の渡航で、一般入場日にバーゼル1回、セントラル2回、Asia Contemporary Art Show1回と周辺のギャラリー巡り。

バーゼル香港の当日券は早々に完売となりました。

参加目的

それぞれのコレクターの参加目的からご紹介していきたいと思います。

H氏:今回はお付き合いのあるギャラリーさんからのお誘いもあり、 また、やはりアートバーゼルと言う、世界的なアートの一大イベントを実際に体感したいと思い参加しました。海外のアートフェアは初参加です。

M氏:現代アートは欧米が中心。以前から世界規模でギャラリー及びフェアを見てみたかった。また様々な方にBaselの話しを聞くと、絶対に行った方が良いと勧められる。
昨年まではSNS等で会場内写真等を見ており、今年はその熱気を現地で体感したいとう想いを抑える事が出来なかった。

Bur@rt管理人:海外のアートフェア訪問経験が無く、自身のコレクション作品が世界の中でどういった位置を占めるのか?ということの確認。最新のトレンドウォッチ。
また、直前のアートフェア東京で散剤してしまったため、予算的には「0」という鑑賞目的だけで乗り込んだ。あくまでも勉強という姿勢で臨んだのが今回の目的。

参加成果

H氏:バーゼルで立体作品2点、セントラルで平面作品1点を収蔵。

M氏
:購入品は無し。懇意にしているギャラリーでコレクションしている作家の貴重な作品が3点程出品されていたが、First Choice(VIPのみ入場可能日)で完売していた。

Bur@rt管理人:某ギャラリーの商談テーブルに置かれていたジュリアンオピーのアクリル製のオブジェ(個展開催時に制作されたプロモーション用アイテム)が500香港ドルで2体販売されていた。購入意向を示したものの、現金以外の対応が取られておらず断念。

アートセントラル香港でも現金決済しているシーンを見ました。

参加して良かった点

バーゼル香港に参加して良かった点を複数回答で頂きました。

・オープニング終了後にギャラリーの皆様やアーテイストさんとアフターパーティーに参加させていただいた事がとても光栄であり記念になった。(H氏)
・VIPパスをいただいたギャラリーさんの展示が大盛況だった事、また大盛況だった作品を所蔵することができた事はとても嬉しく、光栄に思います。(H氏)
・ビクトリア・ハーバーで巨大KAWSを見たときは嬉しくて興奮しました。(H氏)
・世界基準で現代アートの熱気を体感でき、その場にいる海外のセレブ達のオーラを目の当たりに出来た事はとても刺激になった。(M氏)
Baselに行った事で、国内のギャラリーの方にこの人は本気でアートと向き合っているんだと感じとって貰えたこと(M氏)
・アートで満ちあふれた会場の空間が最高。とにかく楽しい!(Bur@rt管理人)
最新のアートの傾向を肌で感じることが出来た。また、アートフェア開催地域によって出品作品を変えてくるというギャラリーの戦略も知ることが出来た(Bur@rt管理人)

バーゼル香港では「ミラーを使った作品や厚塗りのペインティングが多かった」と分析している人(若手作家)がいましたが、筆者も同じように感じました。

鏡を用いた作品

反省点

初参加と言うこともあり、初経験の連続でした。以下、反省点をまとめております。今後訪問を計画している方のヒントになればと思います。

服装がカジュアル過ぎた格好だったため、コレクターとして相手にして貰えなかった気がする。TPOを考えて最低限ジャケットを羽織るなどした方が良い。ただし、足元は歩き易いスニーカーがおススメ。(M氏)
・本気で購入目的の場合はやはりFirst Choiceに参加するべき。(M氏)
・本当に疲れた。(帰国後体力回復に1週間ほど要した) もう一日あれば大分楽になったと思う。(M氏)
・同時期に開催される周辺のアート関連イベント企画が盛り沢山のため、事前に情報収集しておくべきだった。(Bur@rt管理人)
・現地の情報を収集しておらず、現地グルメや空き時間の観光などが中途半端だった。(Bur@rt管理人)

アートオークションはサザビーズ以外にもたくさん開催されていたようです。

アートフェア東京との違い

日本最大のアートフェア東京にはコレクター諸氏も経験済みでした。両社の違いを語って頂きました。

・メインはアートバーゼルと思い香港に行った訳ですが、アートセントラル香港を見た時点ですでに圧倒されました。(H氏)
・日本のアートフェアに比べ、一つ一つの作品が大きかったり。また、ブース自体も大きかったです。(H氏)
・様々な国籍の方が鑑賞に来てるのを実感しました。セレブ感が半端ないような方も多かったです。やはり世界的なイベントだと改めて感じました。(H氏)
・セントラル、バーゼルともオープニングに参加したのですが、日本のアートフェアのオープニングに比べ若年層の方の比率が高いように感じました。(H氏)

会場には休憩スペースも用意され、飲み物や軽食などが用意されていました(有料)。

・会場の規模、ブースの広さ、作品の大きさ、全てが大きかったです。(M氏)
・チケットがsold outになるなど、東京よりも来場者が明らかに多いと思われる。(M氏)
・一般公開日からは購入目的ではない地元の若者が多く来場しマイナス的な要素もあったが、これはBaselに来る事がイケていると言うブランディングによる結果であると思う。(M氏)
・アートフェア東京とは規模が違いすぎる。比較するのが申し訳ないレベル。(Bur@rt管理人)
高価格帯の作品が多く、一般のアートコレクターには敷居が高く感じた。(Bur@rt管理人)
・日本で人気のある「美人画」は1点も見なかった。完全にローカルムーブメントなのだと実感。(Bur@rt管理人)

インスタレーション作品も幾つか展示されていました。塩田千春の巨大作品も登場。

まとめ

以下、最後に各自のまとめを載せて締めたいと思います。

H氏:とにかく日本のアートフェアとは違いスケールの大きさに圧倒されました。
反省点としては香港に行ってまでも、日本のギャラリーさんメインの鑑賞や購入になってしまったところがあり、もう少し下調べをして海外の作家さんやギャラリーさんに触れてこれば良かった思います。
何はともあれ、初のアートバーゼル香港。反省するべき点あれど、得るものも大きかったと思い、来年も参加できればと思ってました。

M氏:国際的なギャラリーやバーゼル出品作は好みはあれど全てがレベル高く質の良い物しか無い。でも全部高い(僕にとっては圧倒的に)その中にあって日本のギャラリー及び作品は世界を舞台に全然引けを取っていなかった。むしろ、優ってると思ったし一部に於いては牽引している。しかも上記に対して割安な印象を受けた。
今回Baselに初参加して今後も日本のギャラリーで日本の作家の作品を買いたいと思った。とはいえ、スイス、アメリカ、イギリス等他の市場を見た訳では無いのでまだまだ勉強が必要だとも感じた。

Bur@rt管理人:初の海外アートフェア、それもバーゼル!ということで会場内ではテンションが高く、とても楽しく過ごすことが出来ました。場内を行ったり来たりして、予想以上に体力を使ってしまいましたが、一般公開日に訪問したため、致し方が無いところでしょうか。最も印象的だった点は、若い女性を中心としたスマホで撮影する来場者でした。日本のアート事情とは異なる雰囲気に圧倒されましたが、購入目的で来場する方とは違った行動になりますので、購入目的の方は会期の前半にいくことをオススメいたします。

※アンケートにご協力頂いたコレクターの方に感謝申し上げます。他のご意見も募集しております→こちらへ。

概要

アート・バーゼル香港2019
会場:香港コンベンション&エキシビション・センター(Hong Kong Convention And Exhibition Centre)

会期:2019年3月27日(水)〜31日(日)
Private View (招待限定)
2019年3月27日(水)14:00〜20:00
2019年3月28日(木)13:00〜17:00
Vernissage
2019年3月28日(木)17:00〜19:00
Public Days
2019年3月29日(金)・30日(土)13:00〜20:00
※それぞれ12:00〜13:00※VIP限定公開
2019年3月31日(日)11:00〜18:00

入場料
Single Day Ticket
2019年3月29日(金)前売:300香港ドル・当日:375香港ドル
2019年3月30日(土)前売:400香港ドル・当日:475香港ドル
2019年3月31日(日)前売:400香港ドル・当日:475香港ドル