【AFT2019】アートコレクターが見た「アートフェア東京2019」とコレクションの現場

はじめに

「アートフェア東京2019」が閉幕しました。
招待日を含めた4日間はあっという間に過ぎ去り、過去最多となる「60,717 人(前年比101%)という形で終わりました。
※入場無料エリア「World Art Tokyo」は39,594 人、「Future Artists Tokyo」はFAT:36,854 人が来場。

アートフェア東京2019の会場風景

関係者のコメントや参加したコレクターの一部のコメントを参照しながら、本展を振り返りたいと思います。

アートフェア東京のポジション

アートフェア東京を含めて、アジア地域には約「35」の国際的なアートフェアが開催されているそうです。
最も大きな規模を誇るのがご存じ「アート・バーゼル香港」。
世界最大級の現代アートフェア「アートバーゼル」がスイス(6月)とマイアミ(12月)とあわせて開催するアートフェアのアジア開催です(例年3月末に実施)。
この「アートバーゼル香港」開催時に計上される売上規模は、およそ「65億円〜70億円」とも言われているそうですが、アートフェア東京の売上金額は「29.2億円」と発表されています(2018年開催実績・主催者発表)。

この「29.2億円」という金額は「アジア開催のアートフェアで売上2位」と言う数字になります。
アートフェア東京2019の開催初日に行われたプレス向けの説明会で、來住尚彦(きしなおひこ)エグゼクティブプロデューサーはこうお話しになっていました。

アートフェア東京エグゼクティブプロデューサー來住尚彦氏〜プレス説明会にて

「4、5年前の売上は9億〜10億程度でした。この数時は着実に伸びてきており、昨年が29億。2019年は40億を目指し、2020年は50億を目標として掲げていきたいです」〜來住尚彦氏

一方で、来場者数については「昨年の来場者数が6万人でした。この数字についてはあまり変わらないと思います。」と、売り上げ数字の強い言葉とは裏腹にトーンを抑えて発言されていました。この意味はどういったものなのでしょうか・・・?
次項より、実際に会期4日間中、3日間参加した筆者が思う所感をレポートいたします。

データで見るアートフェア東京

入場料について

以下に記載したのは、直近5年間のアートフェア東京「1DAYパスポート料金(価格は当日券・税込)」です。
いかがでしょうか?ここに来て急激に値上がりしている状況が分かります。

  アートフェア東京「1DAYパスポート料金」5年間推移  

2015年:2,000円
2016年:2,500円
2017年:2,800円
2018年:4,000円
2019年:5,000円
※価格は当日券・税込

入場料は誰の目にも明らかで、一目瞭然で急上昇していますよね。5年前の2,000円から2.5倍になっています。

入場者数と売上の関係

一方で、入場者数と売り上げ数字の関係性が面白いですね。
入場者数はあまり変わらない(5年間に6000人増)のに対し、売上は約20億円上昇という驚くべき数字です。

  アートフェア東京「入場者・売上」5年間推移  

2015年:54,850人・10.2億円
2016年: 56,300人・11.3億円
2017年:57,800人・24.5億円
2018年: 60,026人・29.2億円
2019年:60,717人・29.7億円
※主催者発表数字(出展者任意アンケートによる推計)

これは、推測するまでもなく「入場料金を上げたことで来場者が変化し、アート購入に繋がる顧客へのアプローチに成功した」と言えるのではないでしょうか。チケット代の値上げは、売上に繋がるとなる購入者層(アートコレクター)の集客に繋がっているのかも知れません。

会場内最高額「9億円!」はジャコメッティ作品《A Giacomettiの刻印》1956−1957 ブロンズ ※エディション6

出展料金と配布チケット

次の表をご覧下さい。アートフェア東京2019に出展するギャラリーが支払うブースの料金です。かなりの高額ですよね。

「アートフェア東京2019」ブース出展料

ここで注目しておきたいのが、出店ギャラリーに対する「AFTカード」や「1DAYパスポート」の提供枚数です。※AFTカードについては下記記事をご覧下さい。

出店ギャラリーは多数の招待券を預かることになり、これが一気に顧客であるコレクターに流れていきます。
筆者の周辺にいるコレクター仲間を中心に、作品購入によって出展ギャラリーとの関わり合いが有ると、無料チケットやAFTカードが複数から届く事象が見られました。そして、会期直前には一部の人間に多くのチケットが余っている状況が発生していました。
年間予算の大きいコレクターであればあるほど、1人のコレクターに複数枚のチケット集中していく現象が生まれたのはこのシステムです。
※どの様な出品者か分かりませんが、メルカリなどのフリマサービスでは招待券が多数出品されていました。

約160のギャラリーが出展していた「アートフェア東京2019」。1ギャラリー150枚の無料招待券が発行されたとして、ギャラリー配布分だけでも「約24,000枚」の無料チケットが流通していたことになります。※実際には美術関係者にそれ以上の招待券が流通。
合計来場者数6万人のうち、およそ半数が招待客なのではないでしょうか・・・。

現場に入ってみた〜招待日

「アートフェア東京2019」開催初日は招待客だけが入場できる日です。
しかし、この初日が最も盛り上がっているのではないか!?というほど、熱気に溢れます。

アートフェア東京2019会場風景

会期初日の7日は平日の木曜日です。14時からの「プライベートビュー」はAFTカード所有者などVIPが来場するタイミングです。
14時の開場タイミングには来場者による行列が出来ており、開場と同時に目当てのギャラリーへ我先にと散っていきます。

「プライベートビュー」開場の1時間前の13時から始まる「プレスビュー」タイミングで会場入りし、混雑前に写真を撮り溜めておこうと目論んでいた筆者。会場内のスピーカーから14時を告げるアナウンスを聞いたのは、完売間違いない人気作家がいるギャラリーで撮影しておりました。すると、14時を越えてすぐにお客さんが列をなし、出品作品を確認するため販売リストを手に取るお客さんが殺到したのです。

招待日のプライベートビューには、最も意欲的なコレクターが集まるタイミングです。
人気作家の作品購入には、AFTカードを入手しなければ購入することは不可能だというルールが存在しました。

現場に入ってみた〜無料エリア

会場となった東京国際フォーラムの地下1階スペースは、入場チケットが必要のない無料エリアです。
その一角の「Projects」コーナーは、注目すべき作家を個展形式で発表するブースセクション。招待券を持たなくても良いルールでして、誰でも初日から訪問することが可能です。

※こちらのギャラリー出展費用は、先ほどの料金表とは別の設定となっており、27万円というかなり割安な設定です(審査があります)。

「Projects」コーナーの一角〜彫刻作品が展示された「TAV GALLERY」ブース

この無料エリアは、他にも19大学の各校代表学生101名の中から選抜された38名と、アートプロデュースを学ぶ7名の学生が参加した「Future Artists Tokyo」、各国駐日大使の推薦の元、将来グローバルな活躍が期待される自国を代表する現代アーティストの国際展「World Art Tokyo」という企画も組まれました。
さらに「Crossing」という企画も行われ、百貨店の美術画廊を招聘し、間口を広げてアートへの恩顧を開く取り組みを行っていました。特に大きく展開していたのは西武そごうが企画山口歴さん他3名による展示でした。

アートに興味の薄い層を取り込む意図で招聘したと思われた、お笑いの「吉本興業ブース」は滑っていた感もありましたが、多くの通行人が行き交う無料エリアには、高い入場チケットを払うまで興味の薄いライト層をアートの世界に引き込むことに成功していたように感じました。

作品争奪戦

アートフェアの招待日、AFTカードを使って一番乗りで会場に着けば作品購入できるという世界ではありません。
1点ものが原則のアート作品は、基本的には「先着順販売」が一般ルールとして存在しますが、会期の開始前には既に購入が決まっているケースが多くあります。

今回も、ある百貨店系美術画廊は優良顧客に優先案内され、あるギャラリーは日時を決めて一斉に作品リストが配信されるなど、販売元によって様々な形式が取られていました。会場内で抽選販売されたケースもありましたが、アート作品の売買は一般人にはまだまだ難解な業界ルールが存在しているようです。

人気の作品は事前にギャラリーに問い合わせがあった顧客やウェイティングリストに名前を入れている人などに「事前案内」されています。
少し風変わりな展示はGALLERY TARGETによる「KYNE」の個展でした。事前に受付していたコミッションワークの完成披露展示という企画展です。「販売無し」というアートフェアの場所ではあまり見られない取り組みです。「飢餓感をあおる」という作家のブランディングでしょうか?

コレクターがアートフェアに期待するもの

コレクターが期待するアートフェアの機能は目的の作家が発表する新作を鑑賞(確認)することやコレクション(購入)することです。
また、未知の作家を知ること(発見)や、初めて触れる作品との出会いにも期待しています。

人気急上昇の大久保紗也さんも在廊。特徴的な作品制作の説明を直接ご本人から伺うことが出来ました。

美術館に展示されるような作家の作品が「購入出来る」こともありますし、購入出来なくとも作品価格を確認することが出来ます。
歴史上の美術家の作品も「売り物」として展示販売されています。
出品作家とも直接対面で話しが出来るなど、アートが身近な存在になる貴重な現場です。

素晴らしいアート作品を自分の目で見て美術眼を鍛えることも重要です。
作品を見る目が養われ、自分なりの「コレクション軸」が成長することもあるでしょう。

コレクターの反応

筆者の繋がりでお声がけした現代アート中心コレクターさんに、今回のアートフェア東京2019を振り返って頂きました。
※筆者の周辺取材です。偏りがあるかも知れませんのでご了承下さい。

数名によるアンケートですので、定量的な調査ではありませんが、ヒアリングした範囲では概ね好評だったように思います。
アンケート内でもコメントされていますが、改善希望点がありながら、一定の評価と見て良いような印象を持ちました。

コレクターY氏

参加日数:2日間

参加の目的:贔屓作家の新作購入。コレクション予定もしくは所有している作家の価格、売れ行きなど調査

作品購入:ギャラリー玉英「野口哲哉作品」の抽選に参加(落選)

例年との相違点:趣味が変わったのか好みの作家さんが多く出展されていました

良かった点、改善希望点: クロークがないため手荷物をコインロッカーへ預けるしかなかったのが残念。また、通路が狭いため停滞する箇所などあり改善して欲しい点です

全体の総評:各ギャラリーの一押し作家が一ヶ所に集まっている貴重な機会が年一回あるのは良い。他のアートフェアと重なる日程ということもあり予算の配分が難しいのが難点。1日で回ることができるという利点もあるが来年の開催日程に期待する。あとはプライスリストや作家のプロフィールなどAFTのスマホアプリなどで確認できたりするサービスなどあれば良かったです。

コレクターH氏

参加日数:1日のみ(3月7日 14:00〜20:00)

参加の目的:購入目的と言うよりは、コレクションしている作家さんや 日頃お世話になっているギャラリーさんへの挨拶がメインでした。作家さんには開催前に事前アポをとりました。

作品購入:大久保紗也(WAITINGROOM) 平面作品を1点購入※事前予約品

良かった点: プライベートビューの日だったからか、作家さんの在廊率が高く、多くの方にご挨拶することができました。また、普段触れる事のない作品や作家さん、ギャラリーさんを一同に知り得た事はとても有意義でした。

改善希望点
・会場が広く、多数のギャラリーが密集しており、会場は迷路のようになっていました。お目当てのギャラリーを探し出すのが大変でした。 ギャラリー名の表記をもう少し大きくするなど、分かりやすくして欲しかったです。

コレクターとしての一言:コレクターは受け身では作品を収蔵できませんので、積極的にギャラリーさんや作家さんとコミニュケーションを図っていました。次のポイントを押さえることが重要だと思っています。
・InstagramやTwitterなどのSNSを通じて情報収集する。
・決断力も大事〜考えあぐねている間に先に購入されてしまうなども多々あります。※筆者注:私がまさにこのパターンです・・・
・コレクターは孤独との戦い〜積極的に価値観の同じコレクターさんと交流する。
※情報収集もそうですが、同じ価値観の方たちとの会話は楽しいです。

全体の総評
若手の注目アーティスト2名が印象的でした。
山田航平さんの制作に対するストイックさは半端ないですね。技術力も抜群ですし、作品も一貫性を貫いています。今後の活躍がとても楽しみです。
磯村暖さんの展示は、彼の生きざまそのものが作品になっているようでした。一見奇抜に見える風貌とは異なり、素晴らしい人格者であると感じました。間違いなく世界に打って出る逸材になると思います。

注目したギャラリーは以下の3つでした。
WAITINGROOM 将来有望な平子さん、川内さん、大久保さんなどの所属もありますが、 ディレクターさんの手腕が素晴らしいギャラリーです。プロデュース能力、顧客に対する応対など他のギャラリーから頭一つ抜きんでている感じがします。 今後目が離せないギャラリーさんだと思います。
104GALERIE キュレーターさんのセレクトする作家さんが素晴らしい、 目利きの鋭い、感度の高いキュレーターさんの存在 今後、彼女がどんなアーティストをキュレーションするのか興味が絶えません。
Over The Influence LAと香港にギャラリーを構える、ストリート系のアーティストさんをコマーシャルする、まだまだ若いギャラリーさんです。世界的に著名なINVADERなどが所属する、勢いを感じるギャラリーさんです。近いうちにバーゼルなどにも出展するのは間違いないと思います。 荒木経惟さんや下田ひかりさんなどの日本人作家さんも所属してます。 因みに香港のギャラリストさんは日本語が堪能です。

国内大手コマーシャルギャラリーも多数出展していましたが、焦点は香港バーゼルであることが分かってしまうようなお付き合い感を感じてしまいました。
また、出展すらしてない大手ギャラリーが多数見受けられましたが、まだまだ活性化してない日本のアート市場を顕著に捉えているようにも感じました。香港バーゼルにも引けを取らないアートフェアになって欲しいと思いました。

コレクターM氏 

参加日数:2日間

参加の目的:毎年参加している為、コレクターとしての自身の力量を図れる良い機会として考えている。今年は特に作家及びギャラリストとのコミュニケーションを計る事に重点を置いた。

作品購入:大久保紗也(WAITINGROOM) 平面作品を1点購入※AFT開始2週間程前に問い合わせ顧客向けに送られたリストを見た段階で購入。また、様々なギャラリーで図録や、作家が書いた小説などを購入。

例年との相違点:趣味が変わったのか好みの作家さんが多く出展されていました

良かった点:現代アートと古美術、近代美術のブースを例年に比べごちゃ混ぜにした所はAFTの良さを引き出している。

改善希望点:クロークが欲しいのと、ラウンジが小さく席が足りていないのは購買意欲が下る為、直すべき。

全体の総評:例年に比べ購入目的で来場している方が多い様に感じた。作家の在廊も多い事が功を奏し、作品に対する理解を深めようとする方々も多く見受けられ、マーケットとして良い動きもあった。今年はNYのアートフェア”Armory Show”と日程がほぼ同じである事から、世界規模のコレクターを取り逃がしていると感じ、マーケットが国内に留まってしまう危険性も感じた。
とはいえ、コレクター仲間や、地方で中々お会い出来ないギャラリーの方、久しぶりに会う作家さんと1会場で会えるのは一つのお祭り感覚として毎年楽しみにしている。

※M氏のtwitterアカウントはこちら

新米コレクターA氏 

参加日数:プライベートビューの初日のみ。

参加の目的:新たに出会うアーティストとギャラリーのチェック。今のアート状況の勉強のために参加しました。

作品購入:今回気になった作品はありましたが、予算オーバーのため購入等はしていません。

例年との相違点:趣味が変わったのか好みの作家さんが多く出展されていました

良かった点:ギャラリー数が多く、見応えがありました。海外のアーティストやギャラリーにも興味深い作品があり、多様性を感じました。アートフェア東京はガラパゴス化せず海外のギャラリーも今後増えて、香港バーゼルのようになって欲しいです。

改善希望点:初日は雨だったため傘などの荷物が多く、すぐロッカーも埋まってしまっていたのが残念でした。クロークの完備を期待します。プライスが聞かないと分からないギャラリーもありました。現在の金額を知る事も大事なので、見やすいところにプライスリストがあると良いなと思いました。

全体の総評:今回入場金額を上げたことで、売上向上に繋がったと聞きました。しかし将来の若手コレクターを育てるためには高すぎる金額だと感じます。今後のコレクター育成のためにも、アートは購入出来るものなんだと知ってほしいです。数万円代から購入出来る作品もあるので、もっとハードルを低くしてコレクターを増やす啓蒙も大事かと思います。
新米コレクターとしては、ギャラリストやアーティストの方から直接話しを伺える素晴らしい機会でした。
知らないギャラリーに入るのはなかなか勇気がいる事です。アートフェアは一同に会するので、まとめて観られるのが最大の利点です。
アートフェアで気になったアーティストやギャラリーをSNSなどでチェックし、今後伺えるチャンスでもあります。
また今回先輩コレクターの方々とお話出来る機会に恵まれました。一人で好みの個展やアーティストを調べるには限りがあるため、色々教えて頂ける素晴らしい時間でした。

Bur@rt管理人

参加日数:3日間

参加の目的:年中恒例行事なので行かない選択肢がありません。コレクションしている作家さんへの挨拶とお話することが主目的の1つです。新しい作品との出会いも大きく期待しているポイントのひとつです。

作品購入:欲しい作品が2点有りましたが、悩んでいるうちに別の購入者が現れて購入出来ませんでした。そのうちの1つはギャラリーと作家さんのご厚意でコミッション制作を打診されて、現在依頼中です。また、画集などのグッズ関連を数点購入しました。

例年との相違点:どの作品も例年以上に売れている印象を受けました。作家ご本人が在廊されている割合が高かったように思いました。滞在時間や滞在回数など、質も量も上がったような気がしております。

良かった点、改善希望点: B1階の無料ゾーンが来場者に注目され、活性化していたように思いました。芸術大学生の企画「Future Artists Tokyo」では作品販売が出来無かったようで残念でした。

全体の総評:とても楽しく過ごすことが出来ました。会場内はぎっしりとアート作品が詰まった密度の濃い空間ですので、注意深く見ていても1日だけでは見逃す作品が沢山有りました。作家によるライブドローイングや、ギャラリーによる展示替えなども幾つか確認することが出来ました。WEBやアプリで細かい情報発信が出来ると一層盛り上がるイベントになりそうです。今後にも期待しております。

人気作家・平良志季さんによるライブドローイングも注目されていました。

まとめ

コレクターの意見を集めてみましたが、作家との関わりに評価ポイントを置いていた方が見られました。
何より印象的だったのは、何人もの作家自身が非常に良い顔をしていたということです。
作家にとっては、ギャラリーでの展示とは異なる雰囲気だったとは思いますが、沢山の鑑賞者、購入者を目の前にする大舞台だったと思います。
作家の皆さんが生き生きとしている姿でいることは、コレクターとしてもとても嬉しい光景に映りました。

チケット代が高騰している面について少し気になっておりました。
前述した売上との相関関係データと会場内の混雑度を見ると、まだまだ高騰する可能性を含んでいると思います。コレクターを増やしていくためには敷居を下げる必要があると思いますが、無料ゾーンでの取り組みによって、一定の門戸が開かれていることに理解が及びました。

また、年を追うごとにアートを購入する目的で来場しているアートコレクターが増えているように感じました。人数もそうですが、熱量も上がっているような気がします。「最近は若い人がコレクションを始めている」というギャラリー関係者の話を聞きました。こういった潮流を広げて行くような取り組みにも期待するものであります。

街全体がアートの雰囲気を作る国際的なアートフェアには及ばないものの、東京におけるアートフェアの形が定着していくような予感を感じました。
一方で、アートフェア東京2019の取引額は29.7億。前年から微増に留まりました。
国内主要の一部コマーシャルギャラリーが出展を見送り、アートバーゼル香港で盛大にブースを構えている状況を見ると、そのマーケット的ポジションは高くはないようです。今後に期待ですね。

なお、次回「アートフェア東京2020」は2020年3月19日(木)〜22 日(日)の4日間、東京国際フォーラムで開催が予定されています※3月19日(木)は招待制。これは、ニューヨークの国際的なアートフェア”Armory Show2020”が行われる3月4日〜7日の直後、また世界的なアートフェア”アートバーゼル香港2020”においては3月17日〜21日に開催されるのでちょうど重なるタイミングです。
本年以上に国際的な存在感をアピールして頂きたいと思います。素晴らしい作品と出会えますように・・・。
2020年3月を楽しみにしております!

概要

アートフェア東京 2019

会場:東京国際フォーラム・ホール E
会期:2019年3月7日(木)〜 3月10日(日) 4日間 (最終入場は各日終了30分前)
プレスビュー:3月7日(木)13:00-14:00
プライベートビュー:3月7日(木)14:00-16:00
ベルニサージュ:3月7日(木)16:00-20:00
パブリックビュー:3月8日(金)・9日(土)11:00-20:00・10日(日)11:00-17:00
入場料:前売券 /1DAY パスポート4,000 円 (税込) 当日券 /1DAYパスポート5,000円(税込)(小学生以下は、大人同伴の場合に限り入場無料)