【みちのおくの芸術祭】山形ビエンナーレが素晴らしい!7つの理由。

みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2018

2年に1回開催される、みちのおくの芸術祭「山形ビエンナーレ」。
東日本大震災をきっかけに2014年に生まれた芸術祭ですが、3回目となる2018年の開催に伺ってきました。
金曜日〜日曜日・祝祭日開催というわずか13日間の変則開催でしたが、非常に面白い芸術祭でしたのでレポートしてみたいと思います。

筆者が訪問したのが開催終了直前のタイミング、最後の2日間でした。2日間楽しませて頂いて気がついた点を整理してみました。主に次の7つが挙げられると思いました。

  1. アクセスが容易、滞在環境も良し。
  2. 1~2日で見られる適度な開催規模
  3. 無料で観覧出来、混雑も少ない
  4. 若手からベテラン作家までバランスの良い内容。歴史と現代をクロスオーバーさせる見せ方もあり。
  5. ボランティアスタッフの献身的なホスピタリティによる居心地良い場作り
  6. 世代を超えて楽しめるコンテンツ
  7. 食の充実-山形グルメの魅力
それぞれについて以下、レポートしていきたいと思います。

山形ビエンナーレが素晴らしい!7つの理由。

【1】アクセスが容易、滞在環境も良し。

地理的に遠く感じる方も多いでしょうが、山形は東京から新幹線1本で繋がっており、時間にして約2時間40分強で到着します。筆者が出発したのは東京発午前7時過ぎ。山形駅に到着したのは朝の10時ですから、余裕を持って一日を過ごすことが出来ます。
芸術祭会場も2エリアに集約されて開催されていて、いずれも無料のシャトルバスで繋がっていますから、日帰り鑑賞も可能かと思います。ただし、芸術祭をゆっくりと楽しみたい方はもちろん、せっかく来訪した山形の良さを満喫しておきたいところです。後ほど触れる「山形グルメ」を満喫したいところですから、1泊2日の余裕を持ったスケジュールがオススメです。

シャトルバスは無料運行しています。

筆者はJRのビューツアーで1泊2日ホテル付き往復新幹線を24,000円(税込)と言う価格で押さえました(ツアー日の1週間前に予約)。

【2】1〜2日で見られる適度な規模の芸術祭

山形ビエンナーレはJR山形駅から徒歩で20分ほどの場所に位置する山形県郷土館「文翔館」及び周辺エリアと東北芸術工科大学の敷地内の2つのエリアで行われた芸術祭です。

山形県郷土館「文翔館」は山形駅から徒歩で15〜20分の距離。

文翔館から徒歩数分内にある「とんがりビル」、「長門屋ひなた蔵・塗蔵」、「gura」など小規模施設での展示もありますが、コンパクトにまとまっていて移動距離のストレスは有りません。

文翔館からシャトルバスで15分の距離に「東北芸術工科大学」はあります。

東北芸術工科大学は山形駅から歩くのは距離があり困難です。

東北芸術工科大学では「100ものがたり」と言う100のアート企画が開催されていました。

たくさんの印象的な展示がありましたが、その中でも「ニュ〜サクラダの湯」は楽しく鑑賞出来ました。

JR山形駅から2エリアを結んで無料の循環バスが運行しており、来場者は時刻表を見ながら鑑賞時間を調整していました。時刻表はパンフレットにも記載されています。

ピンク色のカラーが山形ビエンナーレのアイコンです。

【3】無料で観覧出来ること(混雑も少ない)

山形ビエンナーレは全ての展示が無料で鑑賞出来ます。巡回バスの乗車料も無料なのでお金を使うところがありません、太っ腹!
使わないお金はエリア内のグッズ売り場やカフェコーナーでできる限りお金を使って運営に貢献するとか、山形グルメに投入して地域にお金を落とすなどそれぞれの考えで行動すると言うことではないでしょうか。
※一部の単発イベントは有料

無料で参加出来るスタンプラリーの景品は「山のヨーナ」の缶バッヂです(1個)。

【4】若手からベテラン作家までバランスの良い内容。歴史と現代をクロスオーバーさせる見せ方も

学生や若手の作家が参加する一方で、ベテランのアーティストや歴史的芸術品、歴史的建造物を含み開催されていました。
単なる地域振興を狙う表層的な芸術祭では無く、キチンと企画構成されている芸術祭という印象でありました。

風神雷神像(大江町雷神社・江戸後期)と、大山龍顕(1976年生)による光背画「雷電光背、竜巻光背」〜「現代山形考」展示風景より

【5】ボランティアの献身的なホスピタリティによる居心地良い場作り

会場となる各施設には視覚的に分かりやすいピンク色のサインとともにボランティアスタッフが常駐し、来場者への丁寧な応対がありました。
ボランティアスタッフに限らず、山形の人々はどなたも親しみやすい方ばかりで、温かく迎えて頂きました。日常のストレスから解放され、芸術を満喫することができました。

「山のヨーナ」エリアの女子ははまり役で素晴らしいキャスティングでした

【6】世代を超えて楽しめるコンテンツ

靴を脱いで身体を使って楽しむ作品や、視覚的に分かりやすいアート作品、インタラクティブに遊べる仕掛け、こどもを対象にした企画から、古い蔵を使った歴史的建造物を会場に使った企画まで、幅広い層を受け入れる懐の深い芸術祭でした。特にファミリーや若いカップル、女性などアート分野に新しいユーザーを捕まえたのではないでしょうか。

顔検出からPCに読み込み、自分の顔がプロジェクションマッピングとして投影される仕組みです

読み込まれたかお写真は左から2番目のこけしに投写されました。映像は動きます。

【7】食の充実〜山形グルメ

県外から来訪される方にとっては、旅路での食について興味関心が沸いてくることでしょう。山形は沢山のグルメ資源に恵まれており、私たちを魅了します。

蕎麦、山形牛、玉こんにゃく、芋煮・・・色々ありますが、筆者的には「肉そば」が印象深く残っています。

物価もそれほど高くないので、お財布的にも無理しない範囲で楽しめる街だと思います。山形駅の駅ビル1階〜2階には総菜コーナーやお土産コーナーがありますので、帰りの新幹線用にお弁当や飲み物の購入が便利です。

あと一息!なポイント

良い所ばかり紹介したいところですが、以下、少し気になった点も残しておきます。次回に繋げていただき、さらにバージョンアップした山形ビエンナーレを見せて頂きたいと思います。
  • 山形美術館が一切絡んでいない点。
  • ボランティアの意識に温度差があり、理解の低いボランティアに当たり、知っていなければならない情報についての理解が全く無かった。※対応は最高でしたよ。
  • 屋外での展示がほぼ無く、自然との関わり合いを問うような作品、スケールの大きな作品が少なかった。

まとめ

今回は山形ビエンナーレの全体感を「まとめ記事として分かりやすく記事化する」と言うことで記事を作成してみました。細かい個々のコンテンツについては別に記事をお作りしたいと思っておりますが、まずはその魅力をなんとなく感じ、次回の参考にして頂きたく思います。
大地の芸術祭のようなエリアが広くて回るのに大変!と言う芸術祭でもなく、ひとつの会場で「一気見で終了!」と言うことでも無く、地域の特性を感じながらゆったりと過ごし、それでもしっかりとした内容でアートに触れ合う事の出来る希有な芸術祭ではないでしょうか。

次回2年後は2020年、東京五輪の開催年ですね。楽しみにしております!

概要

みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2018
会期:9月1日〜9月24日(期間中の金、土、日、月祝のみ開催)※合計13日間開催
会場:文翔館(旧県庁舎および旧県会議事堂)、とんがりビル、郁文堂書店、BOTA theater、gura、長門屋ひなた蔵・塗蔵、東北芸術工科大学キャンパス
芸術監督:荒井良二(アーティスト/絵本作家)
プログラムディレクター:宮本武典

<参加アーティスト>
荒井良二、アカオニ、いしいしんじ、大原大次郎、川村亘平斎、空気公団、坂本大三郎、spoken words project、寺尾紗穂、トラフ建築設計事務所、ながさわたかひろ、ナカムラクニオ、野村誠、ミロコマチコ、茂木綾子、森岡書店、山フーズ、WOW、和合亮一、池永正二、ワタナベアニ、石巻工房、小島麻貴二、坂本弘道、前田エマ、沖潤子、橋本雅也、サカキトモコ、山形交響楽団

●企画展「山のような100ものがたり」<参加者・出品者>
杉の下意匠室+中島彩、狩野宏明、東北画は可能か?、ハタユキコ、浅野友理子、大槌秀樹、井戸博章、坂本大三郎、坂田啓一郎、鈴木慎吾、藤原泰佑、後藤拓郎、武谷大介、是恒さくら、五百澤智也、清水大典、新海竹蔵、新海覚雄、新海竹太郎、菊池新学、高橋由一、高橋源吉、久松知子、渋谷剛史、金子富之、春原直人、氏家昂大、水野健一郎、とんぼせんせい、高木真希人、よシまるシン、奥田栄希、都築潤、武居功一郎、武田鉄平、堀田知聖、渋谷七奈、永岡大輔、熊谷幸治、井口和泉、佐藤恒平、金子拓、AGAIN-ST、L PACK.、石原葉+ゲッコーパレード、OF THE BOX.、山のようなヤタイ祭り、保田井智之、番場三雄、長沢明、深井聡一郎、屋代敏博、青山ひろゆき、鴻崎正武、金子朋樹、吉賀伸、大山龍顕、三瀬夏之介、原高史、今村直樹、LLP アメフラシ、村上滋郎、山形キャラ調査班
(順不同/個人、団体名、プロジェクト名等を含みます)