【三越×藝大】プラモからのアート〜 大森記詩「After the festival」@日本橋三越

MITSUKOSHI ✕ 東京藝術大学 夏の芸術祭 2018

東京藝術大学の大学院在学生および40歳未満の卒業生約100名による作品を日本橋三越本館6階の美術フロアにて発表する企画「MITSUKOSHI ✕ 東京藝術大学 夏の芸術祭」。2018年で5回目を迎えるイベントです。

様々なジャンルの作家が1フロアに集結するのは見応えもありますしラクですね。出品されている方は幅広い作家さんが大集合しております(文末リスト参照)。

様々なアート作品が集合する中で気がつくことは、「あぁ、自分はこんなに沢山の作品がある中で好きな作品はこういうものなんだ!」と自覚できることです。藝大という日本最高峰の精鋭アーティストが居並ぶ中、自分の好みや嗜好を改めて認識し確認することが出来るのです。

その中で、思わぬ気付きにも出くわすこともあるでしょう。プラモやフィギュアに慣れ親しんでいる世代だからなのか、今回出会った彫刻家「大森記詩」さんの立体作品には目を奪われました。

大森記詩

大森記詩さんが出品されていた作品は「After the festival」。今回の全体テーマ「祭り」から独自の世界観を表現したようです。

「祭」をテーマとした展覧会に、「祭」が終わった後の世界を想像したモノがあってもいいのではないかと思い制作しました。それがどのような「祭」であったのかを顧みることが重要なのです。〜大森気詩

国籍識別マークはプラモのデカール(シール)で作られ、目の代替物のように見えます

黄色のラッカー塗料で塗装された立体作品「軍用機のボディに付けられる国籍識別マークはイギリスとアメリカ軍の2つ。戦争を想起させる作品です。祭りの後とは・・・。

なんじゃこりゃ!っていう横からのカット〜不安定だけどしっかりと立脚しているバランス感に萌えます。スゴイす!

大森記詩さんの特徴的な技法は、複数の異なる部品を組み合わせて任意の形状を作り出す「ミキシングビルド」という技法。今回の作品は鉄で作られているようですが、この複雑な作品はどのようにして制作されたのかは気になるところです。

背中の哀愁感、半端ないです。まさに「祭りの後」が表現されているよう。人ではないモノに人格を感じます。

激しい争いの後で残った、鉄の溶けた遺物は何かを想起させるようでもあります。本作品は、筆者が目にしたタイミングでは残念ながら売約済みでした。

大森記詩さんは2017年「架空の断片-プラスチックモデルから着想した彫刻表現-」という論文を出されていて、ご自身の彫刻作品制作において「プラスチックモデルからの着想」という点を挙げていらっしゃいます。

次世代の彫刻家、大森記詩さんの今後の活動を期待しております!

概要

MITSUKOSHI ✕ 東京藝術大学 夏の芸術祭 2018
日本橋三越本館6階 美術フロア
2018年8月15日(水)~20日(月)最終日は午後5時閉場

出品作家
●日本画
伊東春香、岩谷晃太、澤﨑華子、椎野倫奈、島田沙菜美、杉山佳、古山結、森 友紀恵、山田雄貴、田侑加
●油画
内田 麗奈、大杉 祥子、川田 龍、竹村 麗良、立原 真理子、中村 研一、沼田 愛実、野澤 聖、長谷川 銀、春田 紗良、Sabrina Hedwig Horak、許允、牧山 雄平、茂木 瑶、吉田 潤、李 菲菲、渡邉 光
●彫刻
赤穂進、大森記詩、川島大幸、北山翔一、小塚照己、猿渡真緒、鈴木弦人、森 木ノ実、諸岡亜侑未
●彫金
遠藤久美子、古賀 真弥、水谷 奈央
●鍛金
阪上 万里英、三木 瑛子、宮﨑 瑞土、久野 彩子、杉村 紗季子
●漆芸
小田 伊織、田中舘 亜美、松﨑 森平
●陶芸
佐々木 誉斗、茂田 真史、髙岡 太郎
●染織
海老塚 季史、桂川 美帆、関水 美穂
●ガラス
内田有、榎本夏帆、奥田 康夫
●工芸基礎
猪腰 真咲、樋口 拓
●木工芸
小石崇之、村尾信太郎
●デザイン
青沼 優介、ICHASU、大城 喜彬、金丸 遥、唐澤 絵里、小金澤 京、下村 奈那、高橋 祐次、田中 慶、中屋 明子、にとうしん、藤村 駿斗、鉾井 喬、細田 麻理奈、mollydomon、山田 勇魚、山田 だり、鷲野 愛未
●建築
秋田亮平、fujirooll、町田恵、
●先端
表良樹、折原智江、神谷紀彰、菊地良太、知念ありさ
●美術教育
野村 紀子、迎 星二
●文化財
大野 直志、小椋 聡子、小島 久典、鈴村 敦夫、武田 裕子、中野稚里、向井大祐、山田 亜紀