【第5回】MITSUKOSHI ✕ 東京藝術大学 夏の芸術祭 2018

MITSUKOSHI ✕ 東京藝術大学 夏の芸術祭 2018

東京藝術大学の大学院在学生および40歳未満の卒業生約100名による作品を日本橋三越本館6階の美術フロアにて発表する企画「MITSUKOSHI ✕ 東京藝術大学 夏の芸術祭」。2018年で5回目を迎えるイベントです。

様々なジャンルの作家が1フロアに集結するのは見応えもありますしラクですね。出品されている方は下記の通り幅広い作家さんが大集合しております。

●日本画
伊東春香、岩谷晃太、澤﨑華子、椎野倫奈、島田沙菜美、杉山佳、古山結、森 友紀恵、山田雄貴、田侑加
●油画
内田 麗奈、大杉 祥子、川田 龍、竹村 麗良、立原 真理子、中村 研一、沼田 愛実、野澤 聖、長谷川 銀、春田 紗良、Sabrina Hedwig Horak、許允、牧山 雄平、茂木 瑶、吉田 潤、李 菲菲、渡邉 光
●彫刻
赤穂進、大森記詩、川島大幸、北山翔一、小塚照己、猿渡真緒、鈴木弦人、森 木ノ実、諸岡亜侑未
●彫金
遠藤久美子、古賀 真弥、水谷 奈央
●鍛金
阪上 万里英、三木 瑛子、宮﨑 瑞土、久野 彩子、杉村 紗季子
●漆芸
小田 伊織、田中舘 亜美、松﨑 森平
●陶芸
佐々木 誉斗、茂田 真史、髙岡 太郎
●染織
海老塚 季史、桂川 美帆、関水 美穂
●ガラス
内田有、榎本夏帆、奥田 康夫
●工芸基礎
猪腰 真咲、樋口 拓
●木工芸
小石崇之、村尾信太郎
●デザイン
青沼 優介、ICHASU、大城 喜彬、金丸 遥、唐澤 絵里、小金澤 京、下村 奈那、高橋 祐次、田中 慶、中屋 明子、にとうしん、藤村 駿斗、鉾井 喬、細田 麻理奈、mollydomon、山田 勇魚、山田 だり、鷲野 愛未
●建築
秋田亮平、fujirooll、町田恵、
●先端
表良樹、折原智江、神谷紀彰、菊地良太、知念ありさ
●美術教育
野村 紀子、迎 星二
●文化財
大野 直志、小椋 聡子、小島 久典、鈴村 敦夫、武田 裕子、中野稚里、向井大祐、山田 亜紀

印象に残った作品

今回伺って印象に残った作品を幾つかご紹介したいと思います。まずは、川田龍さんの展示を発見。ずっと見ている作家さんですが、これは良いなぁ…と言う手応えを感じる作品でした。

川田龍 「Parade2 」〜パレードもしくは何かの祭りにしか見えないイメージを元に描きました。

杉村紗季子さんの作品は、以前JINENギャラリーさんで拝見してから好きになりました。繊細でスマートな作風の割に、意表を突く作品を提示してくれるので楽しませてくれるところが好きな作家さん。比較的手にしやすいお値段でもあって、タイミングを狙っているところでもあります。

杉村紗季子 〜夜空に咲く花火。のような姿をしたお花のようなもの。素材とお話をするような気持ちで制作をしています。 金属がとける姿は美しく、制作をする中で出会う素材はどれもとても魅力的です。 今回は、先を溶かした真鍮線をピューターで”鋳からめ”(金属を型に仕込み、別の金属を流し込むことで絡みつくこと)ています。

内田有さんはガラス素材を使ったポップアーティスト。いまにも溶けそうなアイスキャンディーが良かったです。

内田有〜 ガラスを主な素材とし鋳造技法でアイスキャンディーをモチーフに制作。 白くまをキャラクター化した[ cool it ]シリーズでは消えゆく環境保護の代名詞と日本のポップカルチャーに通じる” かわいい” を 融合した大量消費社会がコンセプト。現代社会に潜む矛盾とアイロニックな作品を試みている。

青沼優介さんの綿毛作品は展示している時間の中でどんどん変化(劣化)している作品。この状態を楽しんで行くのがセオリーなのでしょうね。息や空気などの存在が重要であります。

青沼優介〜 蒲公英の種を使い、私は息を吹きかけられると細やかに揺れる建築を建てる。 せいぜい蟻の雨除けとしての役割しか果たさないが、そこに建てられているのはまさに息である。 息が建築および構造に具現化される。 それにより、息の物理的なものとしての性質や建築の「建てられたもの」という基本的な意味が再定義されるだろう。

ICHASU(イチャス)さんは今回のテーマ「祭り」に最も近付いている素直な作品ではないでしょうか。赤丸シールが人気を示していました。

ICHASU〜祭りは感謝や祈りを捧げ、神・霊・鬼・獣などを祀る儀式です。 普段は目に見えないものが年に一度だけ目の前に現れ、祭りを楽しませてくれます。 妖しげな中にも可愛さや愛嬌がある、そんな神秘的な存在を描き、今回の展示がハレの日になれば良いなあと思い制作しました。

一瞬色々と考えてしまったのが2つのフォークをつなぎ合わせた作品。いや、もともとこうあるべきだったかのようなごとく堂々と佇む存在感です。そう、2つでひとつなのです。

藤村駿斗〜世の中の全てのものは2面性を持っています。その性質は相反するものでありながら、どちらか1つで存在はできません。 まるで鏡に映したような真逆の、それら2つが1つなのです。

山田勇魚さんの作品はこれまで見た中で最も透明度が高い作品のような印象がありました。

山田勇魚〜付喪神をテーマに、沈没船がクジラの姿となって母港へ戻るというコンセプトの作品。

表良樹さんの作品は秀逸でした。ペットボトルの中に油絵の具と樹脂を入れ固め、落下させて破壊してしまいます。それが再構成されてひとつの作品となる訳ですが、もうこの一連の作業が「祭り」なのです。切れ味鋭い断面に心が躍ります。

表良樹〜これはポリタンク等の既製品を型取った型に、樹脂と油絵具を混ぜた素材を積層し、塊にすると地面に落下させ破壊、破片を再構成した作品である。 タイトルの「Tectonics」とは地質学用語で岩石圏の運動を意味する。 地面の下でおこる、大きな運動や幅広い時間を身体的な大きさに置き換えようとこの作品を制作した。

田中慶さんの作品は彫刻というより絵画的なものを意識するようなものでした。立体的な絵画という印象。

田中慶〜留まりのないこの気持ちを遠く、誰かに。

作品を見たときに感じた男性的なエネルギーは女性作家、久野彩子さんのものでした。マテリアルやバランス感の質感が良い感じですね。

久野彩子〜様々な情報や物事が複雑に絡みあい氾濫する現代社会、人間が作り出しているものの儚さ、脆さ、混沌とした様相、 そこから生まれる力強さや希望、生命力といったポジティブな思いを、金属で緻密な表現を可能とするロストワックス精密鋳造技法を主に用い、 シルバーや真鍮、ブロンズ等の金属に置きかえて作品を制作している。

これはアートなのか・・・?折原智江さんのぶっ飛び作品には白旗降参。同時出品の「おにぎり作品」についても危ない志向が感じられて今後の作品に期待ですね(褒めている)。

折原智江〜頭に思い浮かんだ人の名前を一粒一粒書いて握って食べる。※写真とは別作品のコメントです。

 

お得!10,000円均一コーナー

会場内には10000円均一コーナーが設定されていて、好調な販売をあげていました(税込は10800円)。作家さんによっては考えられない安価な金額で出品されていて、お得感満載のコーナーでした。

特別に印象深かった作品

今回の企画で気になったのは、なんと言っても大森記詩さんの作品です。下記ページよりご覧下さい。

しかしこの企画は良い企画ですね!是非とも継続して進めて頂きたいと思います。

概要

MITSUKOSHI ✕ 東京藝術大学 夏の芸術祭 2018
日本橋三越本館6階 美術フロア
2018年8月15日(水)~20日(月)最終日は午後5時閉場
出品作家