【アートフェア東京2018】Asian Art Award 2018 @TERRADA ART COMPLEX

Asian Art Award 2018

「Asian Art Award 2018」は主催を「一般社団法人 アート東京」がつとめる国際的なアーティスト育成を目的にした企画です。2018年開催の今回が2回目となっています。

天王洲アイル「TERRADA ART COMPLEX」で開催されているファイナリスト4名の展示会は、アートフェア東京2018開催期間と重なるタイミングで開催されており、筆者も足を運んできました。

レジ袋やショッピングバッグ(ショッパー)を再構築してインスタレーション作品を構築していたのが冨井大裕さん。最もシンプルで、あっという間の時間でした。

和田昌宏

和田昌宏氏の「黒い廊下、あるいは2人の男と21人のネルシャツ」はなかなか面白く拝見しました。

ベニヤ造りの黒い廊下をぐるっと巡り、何回か曲がってたどり着く先はベンチが2つ設置されたミニシアターになっております。

流れている映像から放たれる「得体の知れないエネルギー波」が鑑賞者を離さず、スペースにしては大きな画面に釘付けになっておりました。
これをアートと呼ぶのか分かりませんが、味のある映像が良かったです。

特別賞:AKI INOMATA

AKI INOMATA(猪股あき)さんの 「やどかりに『やど』をわたしてみる」と言う作品は、写真では表現しきれない美しさがありました。

作者の思惑通り、透明の宿を受け渡されたヤドカリがきちんと宿に収まっていて、なかなかコレは美しい光景だなぁと感心してしまいました。

鑑賞中に横から作品の解説をしてくれる女性がいました。なんと作家さんご本人!明朗快活かつ上品で美しい方でした。ご説明も優しく丁寧にして頂きました。

アサリの貝殻を100倍に拡大した断面図

アサリの貝殻の100倍断面図は、3.11の大震災時期や工事に掛かるタイミングでのストレスが分かりやすく画像化されていて、生物と自然の関係性が分かりやすく明示されていました。

またタコがアンモナイトに入っていく映像は素晴らしく神秘的です。

アンモナイトとタコ

AKI INOMATA(アキ イノマタ)

1983年東京都生まれ、東京都在住。2008年東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。生き物との協働作業によって作品制作をおこなう。主な作品に、都市をかたどったヤドカリの殻をつくり実際に引っ越しをさせる「やどかりに『やど』をわたしてみる」、飼犬の毛と作家自身の髪でケープを作ってお互いが着用する「犬の毛を私がまとい、私の髪を犬がまとう」など。 近年の展覧会に、「Coming of Age」(Sector 2337、シカゴ、2017)、「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」(2016)、「ECO EXPANDED CITY」(WRO Art Center、ヴロツワフ、ポーランド、2016)などがある。2017年ACCの招聘でニューヨークに滞在。

大賞:小金沢健人

大賞を受賞したのは小金沢健人氏の作品です。

映像と空間がクロスオーバーしていて、時間の表現方法も面白かったのですが、時間があまり無かったのこともあり、理解が不十分のままその場を後にしました。

鑑賞者に負荷を掛ける〜時間を強制して右脳を試させるような作品は個人的に好きでは無いので、少し苦手な作品という印象です。アカデミックな香りも少し感じました。作家さんの解説を伺いたいなぁ・・・と思いつつ会場を後にしました。

 

「崩壊する新建築」

「追跡のドローイング」

大賞の受賞者は賞金として100万円が贈られ、作品は11月に上海にて展示後、2019年3月のアートフェア東京でも展示されます。

なお、審査は非公開で、受賞の経緯は明らかになっておりません。

小金沢健人 Takehito Koganezawa

1974年東京都生まれ、広島県在住。武蔵野美術大学映像学科卒業後1999年ベルリンへ渡り、同地で18年を過ごしたのち2017年に帰国。時間への興味を振り出しに、日用品の使い方からシャーマニズムまで、幅広く“意識の変容”に関心を持ちアプローチしてきた。映像、ドローイング、パフォーマンス、立体製作、インスタレーションと制作のメディアを拡張している。「Manifesta 4」(フランクフルト、ドイツ、2002年)、「あいちトリエンナーレ2010」(2010年)などの大型国際展に参加多数。主な個展にKOGANEZAWA(Haus Konstruktiv, Zurich 2009年)、Luftlinien(Haus am Waldsee, Berlin 2012年)、煙のゆくえ(スパイラル 2016年)など。

ファイナリストに残られた4名の方にはアジアのみならず、世界に羽ばたいて頂きたいと思います。

概要

名称 Asian Art Award 2018 supported by Warehouse TERRADA
主催 一般社団法人 アート東京
特別協賛 寺田倉庫
協賛 TERRADA ART ASSIST株式会社
株式会社イープラス
協力 文化庁


大賞 賞金100万円
副賞 上海での受賞作展示 及び 作品制作場所の提供[半年間-1年間]※
特別賞 作品制作場所の提供[半年間-1年間]※
※TAC ART STUDIO (TERRADA ART COMPLEX 2F)

展示巡回
ファイナリスト展 2018年 3月 TERRADA ART COMPLEX 4F(東京)
大賞受賞作品 2018年11月 上海
大賞受賞作品 2019年3月アートフェア東京2019(東京)

展覧会
名称: Asian Art Award 2018 supported by Warehouse TERRADA – ファイナリスト展
概要
会期: 2018年 3月3日(土) – 3月18日(日)
月 – 金曜日 13:00 – 19:00
土曜日・日曜日 12:00 – 20:00
会期中無休
3月7日(水)は審査会開催のため一般入場はできません。予めご了承ください。
会場: TERRADA ART COMPLEX 4F
東京都品川区東品川 1-33-10
入場無料
審査員(敬称略)
秋元雄史 東京藝術大学大学美術館 館長・教授/金沢21世紀美術館 特任館長
長谷川祐子 東京都現代美術館 参事/東京藝術大学 大学院国際芸術創造研究科 教授
Joyce Toh シンガポール美術館 キュラトリアルチーム共同代表
尤洋 ユーレンス現代美術センター 副館長
包一峰 ART021 共同創設者
林洋子 文化庁 芸術文化調査官
特別審査員(敬称略)
隈研吾 建築家/東京大学 教授
ファイナリスト選考委員(敬称略)
小澤慶介 本アワードディレクター/アートト 代表/インディペンデント・キュレーター
金澤韻 インディペンデント・キュレーター/十和田市現代美術館 学芸統括
国枝かつら 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 学芸員
服部浩之 インディペンデント・キュレーター
山峰潤也 水戸芸術館現代美術センター 学芸員