【個展】裸足で描くチカラ〜白髪一雄「Kazuo Shiraga : a retrospective」東京オペラシティ アートギャラリー

白髪一雄「Kazuo Shiraga : a retrospective」

白髪一雄さんの個展「Kazuo Shiraga : a retrospective」に伺いました。会場は東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーです。

東京オペラシティ アートギャラリー

隣接するミュージアムショップでは、白髪一雄さんの制作風景を撮影した貴重な動画が上映されていて、入場前に見ると非常に参考となる内容でした。

フットペインティングで制作中のアトリエ内映像(1993年7月26日≪神獣≫制作時)@Gallery5

白髪一雄さんは、天井からロープを吊るし、 キャンパスを床に広げ、 足を使って絵を描く「フットペインティング」有名で、アクション・ペインターとも呼ばれる世界的美術作家です。
映像撮影された70歳の白髪一雄さんは、天井から吊られているロープに掴まりながら、体を回転させ、キャンバスに絵具を塗りつけるように足を滑らせていきます。

動きは決して軽やかでなく、ご自身でも制御できない偶然性の高い芸術表現です。

本展は、日本全国の美術館や個人コレクターから約100点の作品を集め、関連資料とともに展示されています。

白髪一雄《作品》1954年頃 東京都現代美術館蔵

山村コレクションの作品も展示されていました。

白髪一雄≪天異星赤髪鬼≫ 1959年 兵庫県立美術館(山村コレクション)蔵

白髪一雄≪天異星赤髪鬼≫※Detail

展示風景

白髪一雄≪長義≫1961年 東京オペラシティ アートギャラリー蔵

展示風景

展示風景

白髪一雄≪地暴星喪門神≫1961年 兵庫県立美術館(山村コレクション)蔵

白髪一雄≪地暴星喪門神≫ ※Detail

白髪一雄さんの作品はフットペインティングだけでなく、スキー板やスキージ(ヘラ)を使った作品も含まれています。

白髪一雄≪色絵≫ 1966年 兵庫県立美術館蔵

白髪一雄≪色絵≫ ※Detail

展示風景

白髪一雄≪貫流≫ 1973年 東京オペラシティ アートギャラリー蔵

左:白髪一雄≪酔獅子≫1999年 個人蔵 右:≪天女の舞≫2000年 尼崎市蔵

白髪一雄≪游墨 一≫1999年 東京オペラシティ アートギャラリー蔵

白髪一雄≪游墨 一≫ ※Detail

展示風景

白髪一雄≪うすさま≫1999年 個人蔵

再び、制作風景の映像に話を戻します。
同じく美術作家だった富士子夫人の協力によって二人三脚で進んで行く様子が記録されていました。それぞれが黒と白の衣装を纏って行為を行うさまは、儀式的にも感じます。事実、神棚に向かって拝む様子も紹介されていました。

制作途中、富士子夫人が白髪一雄さんの汗を拭いてあげるシーンなども映っていました。

吊り下ろされたロープを握りしめながら足で絵具を塗りつける行為は、天からのパワーを地面に向かって解放していくような宗教的印象を受けます。

白髪一雄作品は、ダイナミックで、ナチュラルで、エネルギーのほとばしる強い力がありました。

概要

白髪一雄
Kazuo Shiraga : a retrospective

会期:2020年1月11日(土)〜 3月22日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
時間:11:00〜19:00 (金・土は11:00 ─ 20:00/いずれも最終入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、2月9日(日)
入場料: 一般 1,200円(1,000円)、大学・高校生 800円(600円)、中学生以下無料