星山耕太郎
星山耕太郎さんの個展を見に日本橋髙島屋「美術画廊X」へ伺いました。
会期のギリギリ最終日に間に合いましたが、多くの作品は売約済みのシールが貼られている状態でした。
このたび高島屋では「FLYER 星山耕太郎展」を開催いたします。
広告の役割には商品(自己)の特性を伝達するだけでなく、消費を促進するという社会的役割があります。
星山耕太郎の描く肖像作品は、まさに個人と社会、それは恰も社会で生き抜くために抑圧されている自身の衝動を画面に定着させる事で、観るものに共感、或いは擬似体験させることにより、価値観の破壊と創造を喚起しているかの様でもあります。
マンガを描きたく絵画の世界に没入していった星山はマンガに社会のリアリティを感じたと言います。宗教、政治、社会、風俗を風刺するマンガに見られる体制と反体制といった二項対立の精神は、内と外、混沌と秩序、マンガと日本画、作品と商品。自己矛盾に抗う星山に一貫した制作理念を宿します。
日々垂れ流される広告の洪水の海で受動的に脳内に上書き保存される多くの情報の中で、虚とは、実とは何かを絵画表現によってコミットする星山耕太郎のリアルをご高覧ください。
本展では、900×2,700cm(900cmの3連)の大作から小品まで、約26点を展示いたします。
個展「Flyer」
星山耕太郎さんは広告に携わる会社員と言うことで、お仕事に関連する「Flyer」と言うタイトルを付けております。
ご自身の揺れ動く胸中をキャンバスに込めたという作品は、ペン画のごとく細い線で描かれた墨と大胆に厚塗りされたアクリル絵の具が対照的で、人間の持つ本質的な心理を描写したような作品です。
この日最大の作品はラッシュに揉まれている群衆を描いたようで、シニカルな描写の中に鑑賞者である自分を探してしまうような心持ちで見入ってしまいました。
似顔絵シリーズ
筆者の個人的な趣味嗜好で恐縮ですが、有名人の似顔絵シリーズが印象深い作品となりました。ピカソやラング、月岡芳年、E・A・ポー、フランシスベーコンなど、お気に入りの作家さんをセレクトして描かれているそうです。
最終日に伺ったという出遅れ組でしたが、次回タイミングではいち早く駆けつけたくなる作家さんでした。期待!
概要
星山耕太郎展「Flyer」
2018年2月21日(水)〜3月12日(月)
10時30分〜19時30分
東京日本橋髙島屋6F 美術画廊X