【前期】現代美術に魅せられて―原俊夫による原美術館コレクション展@原美術館

原美術館

東京・品川の閑静な住宅街に佇む原美術館。

落ち着いた雰囲気と贅沢な造りで筆者の好きな美術館です。所蔵するアート作品はなんと1000点もあるそうで、その中から選りすぐりの作品が2期に分けて展示される「原俊夫による原美術館コレクション展」の前期に伺いました。結論から言うと「非常に素晴らしい!」展覧会に仕上がっております。

原俊夫氏個人の思いから立ち上がった美術館からして、同氏の展覧会におけるコメントは必ず確認しておきたい。

原俊夫のコメント
日本に現代美術館を作ろうと40歳で思い立ち、作品の収集を始めた。それからは可能な限りアトリエや自宅を訪ねて作家と会い、海外にも赴いた。表現者が何を想い制作に至るか、作品を観るだけでなく直接話を聞くことで学び、私は自分の目でコレクションを築いてきた。この姿勢は現在まで貫いている。

美術館の顔であるコレクションは、私の挑戦の軌跡でもある。ふと、自身の采配で展示したいという思いに駆られ、展覧会をキュレーションしてみることにした。

とはいえ1000点以上の作品から選ぶのは容易ではない。前期と後期に分け、前期は母体となるアルカンシエール美術財団を設立した1977年から美術館を開館して間もない1980年代前半までの収集作品を中心に、後期は美術館の活動を通して出会い購入した作品群で構成する。

原俊夫による原美術館コレクション展【前期】

内容の方は館内が撮影禁止のため、写真でお伝えできないのが残念なところですが、大御所の作家さんたちの素晴らしい作品が贅沢に展示されています。閑静な周囲の環境も含めて心地良い空気感しかありません。時間を忘れて漂うように館内を回ることが出来ました。

特に印象的だったのはインスタレーション。その空間に一歩入ると異次元に瞬間移動したような錯覚に陥ります。自分が異空間にワープしたような、そんな心地に変化させてくれるのです。作品の力と美術館の雰囲気と両者がキチンと手を組んで見せてくれるような共同作業がなせる技でしょうか。

奈良美智氏の「My Drawing Room」も常設展として展示されていました。でもこの部屋、案内もほとんど無くて、渡される展示リストにも記載されていないので、立ち寄れずに帰って行く観覧者さんが結構いると思うんですよね。あの雰囲気が良いのだと思うのですが、当ブログをご覧の方は要チェックです。2階の一番奥の部屋にある扉を開いてみて下さい。奈良美智さんの作業部屋が見られますよ!


残念ながら写真は下記のサイトなど、一部のメディアに許された写真でご了承下さい。

まとめ

鑑賞後はもちろん美術館内のレストラン「カフェ ダール」でのんびりと寛がせて頂きました。
コレクター原氏ですから、来場者側のニーズをキチンと理解してくれるところが嬉しいですね。

この素晴らしい展覧会は2期に分かれています。
きっと後期も内容の濃い展覧会になるはずです。非常に楽しみにその日を待ちたいと思います。

出品作家/作品

■玄関
タキス 「シグナル」 1956 | 鉄 | 120 x 20 x 90 cm
■エントランス
ジャクソン ポロック 「黒、白、茶 」 1952 | カンヴァスに油彩 | 91 x 70 cm
■1階 ギャラリー I
工藤哲巳 「平板な環体での増殖性連鎖反応」1958 | 板にミクストメディア | 151.5 x 152.1 cm
ジャン デュビュッフェ 「二人の機械工」 1944 | カンヴァスに油彩 | 74 x 61 cm
三木富雄 「Ear 1972 WA32」 1972 | アルミニウム | 72.1 x 60 x 3 cm
草間彌生 「自己消滅」 1980 | ミクストメディア |サイズ可変
■中二階
ジョージ リッキー 「さざ波」 1965 | ステンレス |24.5 x 106.7 x 25.4 cm
■1階 廊下
アンディ ウォーホル 「撃たれた大統領」 1968 | シルクスクリーン(11枚組) | 各53 x 53 cm
ジェームス ローゼンクイスト 「エキスポʼ67 ミューラル ファイアポール」 1967 | リトグラフ、イタリア紙 | 83 x 43 cm
■1階 ギャラリー II
菅井 汲 「月」 1957 | カンヴァスに油彩 | 130 x 97cm
アントニ タピエス 「無題」 1961 | カンヴァスに油彩, 砂 | 162 x 130 cm
李禹煥 「線より」 1979 | カンヴァスに顔料 | 181x 227cm
マーク ロスコ 「赤に赤」 1969 | カンヴァス上の紙にアクリル絵具 | 134.4 x 101.4 cm
ロバート ラウシェンバーグ 「間に合わせもの」1964 | カンヴァスに油彩、シルクスクリーン | 147x 101.5 cm
ロイ リキテンシュタイン 「フレーム IV」 1968 | カンヴァスに油彩 | 140 x 170 cm
ルチオ フォンタナ 「空間概念」 1953 | カンヴァスに油彩、ガラス | 46.0 x 54.5 cm
バックミンスター フラー 「星状双対正四面体」1980 | 熱可塑性プラスティック、ブロンズ、アクリル、エポキシ樹脂 | 211 x 211 x 183 cm
宮脇愛子 「無題」 1964 | 板に油彩、大理石の粉、鏡 | 162 x 242.8 cm
ジム ダイン 「オバーリン A.R. #7(同じカーテン)」1966 | カンヴァスにエナメル、ゴム、アルミニウム |214 x 122 cm
ジョセフ アルバース 「四角形へ捧ぐ」 1961 | メゾナイトに油彩 | 40 x 40 cm
セザール 「バレンタイン」 1956 | 鉄 | 29 x 80 x59 cm
艾未未(アイ ウェイウェイ) 「毛像組1」 1985 | カンヴァスにアクリル絵具 | 167.4 x 146.5 cm
■階段
トム ウェッセルマン 「海景 No.13」 1966 | カンヴァスに油彩 | 219.5 x 181.5 cm
■階段ホール・2階廊下
ナム ジュン パイク「キャンドルテレビ」1980/ テレビ、ろうそく 33 x 41 x 24 cm
トゥンガ 「編んだ髪」 n.d. | 鉛 | 162.5 x 10 x 5 cm
イヴ クライン 「モノクローム、赤」 n.d. | カンヴァスに顔料 | 44 x 34 x 1 cm
ロバート メイプルソープ 「花」 1981 | ゼラチンシルバープリント | 35 x 35 cm
ロバート メイプルソープ 「花」 1977 | ゼラチンシルバープリント | 48.3 x 38.3 cm
ロバート メイプルソープ 「花」 1979 | ゼラチンシルバープリント | 34.5 x 34.5 cm
■ギャラリーIII
杉本博司 「仏の海」 1995 | ゼラチンシルバープリント(48枚組) | 各41.9 x 53.7 cm
■ギャラリーIV
クリスト & ジャンヌ=クロード 「ストアフロントプロジェクト」 1964 | 木、プレキシグラス、メゾナイ
ト、紙、電光、エナメル塗料、木炭 | 70.2 x 60.9 x10.3 cm
ジャスパー ジョーンズ 「0から9まで」 1976 | 鉛レリーフ | 79.5 x 60.0 x 3.3 cm
ジャン ティンゲリー 「ペリカンの卵」 1958 | 板、鉄、モーター | 79 x 71.7 x 20.4 cm
アルマン 「なまゴミ」 1969 | ゴミ、その他 | 102.2x 50.8 x 11.6 cm
エドワード ルシェ 「Nothing and Everything」1990 | カンヴァスにアクリル絵具 | 91.8 x 121.8 cm
河原温 「18 JUN. 1984」 1984 | カンヴァスにアクリル絵具 | 25.8 x 33.1 cm
■ギャラリーV
今井俊満 「黒い太陽」 1963 | カンヴァスに油彩 |195.1 x 129.8 cm
篠原有司男 「モーターサイクル ママ」 1980 | 段ボール、アクリル絵具、ポリエステル樹脂 | 117 x130 x 66 cm
ジェームス ローゼンクイスト 「4人の1949年の男たち」 1962 | カンヴァスに油彩 | 152.7 x 120.1 cm
エロ 「チェ ゲバラ」 1976 | カンヴァスに油彩 | 200x 300 cm
カレル アペル 「広島の子供」 1958 | カンヴァスに油彩 | 158 x 128 cm
ヴィレム デ クーニング 「無題」 1970 | 紙に油彩 |59 x 47 cm

出品リストはこちら(PDFダウンロード)

概要

『現代美術に魅せられて―原俊夫による原美術館コレクション展』
2018年1月6日(土)~6月3日(日)
前期:2018年1月6日(土)~3月11日(日)
後期:2018年3月21日(水・祝)~6月3日(日)
会場:東京都 品川 原美術館

時間:11:00~17:00(祝日を除く水曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(1月8日、2月12日、4月30日は開館)、1月9日、2月13日、3月12日~3月20日、5月1日
料金:一般1,100円 大高生700円 小中生500円
※原美術館メンバーは無料
※学期中の土曜は小中高生無料

後期の出品予定作家には、安藤正子、荒木経惟、ヤン・ファーブル、加藤泉、ウィリアム・ケントリッジ、森村泰昌、奈良美智、名和晃平、蜷川実花、野口里佳、マリック・シディベ、杉本博司、束芋、ミカリーン・トーマス、アドリアナ・ヴァレジョン、やなぎみわらが名を連ねている。