大槻香奈 Kana Ohtsuki
イラストレーターで活躍されている大槻香奈さんの個展「生の断面 / 死の断片」に行ってきました。場所はアートコンプレックスセンター(信濃町駅)です。
とても興味があったので初日の午前中に駆けつけました。幸いギャラリーにはまだ来訪客は少数といった状況で、ゆっくりと観覧する事が出来ました。入口には下写真のように、タイトルと説明が書かれてありました。
大槻香奈
1984年生。京都府出身の美術作家。2007年より活動を開始し、国内外問わず展覧会を開催している。主にアクリル絵具を使用した平面作品を中心に、少女・蛹・家など、自身の興味の対象である「から」(空・殻)を感じるモチーフを通して、空虚さを孕んだ現代日本の情景を捉えようとしている。
生の断面、死の断片
少女をテーマにした作品が多い大槻香奈さんですが、今回は「家」をテーマにした作品を多く揃えていました。
今回の個展は、私たちが生きていく場所としての「家」というテーマを通して、自身の生の実感と、家族や身の周りの他者の死生観を受け入れる事について考え、我々の住む家やこれから在るべき家について、作品によって問いかけます。
私は主にアクリル絵具を使用した平面作品を中心に、少女・蛹・家など、興味の対象である「から」(空・殻)を感じるモチーフを通して、空虚さを孕んだ現代日本の情景を捉えようとしてきました。今回の個展は、私たちが生きていく場所としての「家」というテーマを通して、自身の生の実感と、家族や身の周りの他者の死生観を受け入れる事について考え、我々の住む家やこれから在るべき家について、作品によって問いかけます。
「生の断面」とは、私たちの生きる実感がどこにあるのか確かめる為に、自分の構造を割って暴き出すようなイメージであり、「死の断片」とは、自分とは違う他者の気配をどこに感じて生きているのか、またそれをどう受け入れて生きていくのかについてのイメージであります。後者はたとえば家族の遺品や、また受け継がれてきた思想など、先祖が残した何かしらのものの事を言っています。私たちは自分とは違う価値観を持つ人達の思いを「家」という空間を通して感じながら、それをどこかで受け入れる事について考えてきたはずです。目に見えない気配を閉じ込めてきた「家」を解放し、いま一度向き合うこと。家にまつわる主観と客観とを行き来しながら、作品化し、発表致します。
解説を読むと、根本にあるモチーフはそれほど変わってはいないようです。
ありがとうございます!生死といっても単に直接的な、肉体的なものを表現しているわけではなくて。自分が何によって生かされているのかや、先祖などの死者から知らずのうちに自分は何を受け取ってしまっているのか、という間接的な「気配」がテーマなのです。 #生の断面 #死の断片 https://t.co/lnfiDqxUML
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) November 5, 2017
入口を抜けると左手に大きな「ゆめしかちゃん」が中央に大きく展示されています。
そして「ゆめしかちゃん」の周囲にはポートレートなど少女を描いた作品がずらっと並んでおります。
そして入口から向かって右手を見ると広いギャラリーの奥に大きな作品が展示されています。
手前から見て進むと、今回のテーマ「家」を描いた作品が並んでいます。
家の描き方も大槻さんらしさがそのまま出ていて嬉しくなります。
「呼吸している家」というタイトルの妙。素晴らしいいですね!
絵を感情移入の装置として作ろうってよりかは、風景画のような、客観的な目線で何か拾えないかなという姿勢なので、自分の感情と向き合うんでなくて、絵を観て人とあれこれ喋ったりしてもらう方が楽しめるかも…何かを連想したり思い出すことがあったり、そこが本質に近いかも #生の断面 #死の断片
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) 2017年11月5日
まとめ
とにかく広いギャラリー内に多くの作品が展示されて飽きません。受付近くにある旧作のドローイングファイルも、彼女の歴史を振り返るようで楽しい企画です。旧作を振り返ることで、明らかに「大槻香奈史上最高の展示会」になったことを感じるはずです。
未成熟な少女をテーマにしてきた以前に比べ、ステージを変えて勝負したような今回の展示会。親しみやすい作品の裏側にしっかりとしたテーマが掲げられていて、アーティストとしての主張もある反面、ポップな色使いと大槻さんらしい描写力は変わらず、とっても良いバランスを感じました。
暴力的で尖った部分、ノイズのような荒々しさがもっと出てくると、さらに面白そうな可能性を感じますが、果たしてこの先どういった作品を提示してくれるのか?楽しみが尽きませんね。
概要
大槻香奈個展「生の断面 / 死の断片」
期間:2017年11月3日~12月3日(※月曜休み)
時間:11:00~20:00
場所:The Artcomplex Center of Tokyo – Artcomplex Hall -(B1F)
※Burart スコア
作品点数:★★★★☆
企画・構成力:★★★★
レア(稀少):★★☆
混雑:★
グッズ・作品購入:★★★★
コストパフォーマンス:★★★★★ ※無料
オススメ度:★★★★☆
※あくまでも筆者の主観です。作品の評価ではありません。