STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ

森美術館で開催中の「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」に伺いました。

森美術館

STARS展は、2020年開催の東京オリンピックタイミングにあわせて企画されましたが、新型コロナウイルスの影響で、時期をずらしながら開催に至りました。

本展は、日本という枠を越えて広く国際的に活躍し、今日、多様な地域や世代から高い評価を得るアーティスト6名を選び、その活動の軌跡を初期作品と最新作をつなぐかたちで紹介するものです。
彼らの実践は世界からいかに評価されてきたのか。国境や文化を越えた普遍的な課題の追求、伝統や美学、テクノロジーやサブカルチャーなど、 日本固有の社会的、文化的、経済的背景を踏まえて探ります。
また、1950年代から今日まで、海外で開催された主要な日本現代美術展に関する資料も展示し、それぞれの時代の評価軸や系譜が検証されます。

草間彌生

本記事では、アーティスト6名の中では最高齢となる草間彌生さんの展示を取りあげます。

草間彌生さんの展示室では、ニューヨークを拠点にしていた1960年頃の初期作品から、1993年の第45回ベネチア・ビエンナーレに日本館代表として出品した《天上よりの啓示(B)》 (1993年 )や《ピンクボ ー ト》(1992年)、鏡を用いたインスタレーション《 Infinity Mirrored Room―信濃の灯》(2001年) 、さらに最新の絵画シリーズ「わが永遠の魂」(2009年〜)までが展示されました。

草間彌生

1929年長野県松本市生まれ。1957年に渡米。
画面全体に網目を描くネットペインティングや、布製の突起物が表面を覆うソフト・スカルプチュアを発表し注目される。これらの作品にみられる反復性は、幼少期から続く幻覚症状や脅迫観念の影響であり、草間の作品に通底する特徴を表している。
1960年代後半にはファッション・ショーや反戦運動などのハプニングで話題となり、ニューヨークのアート・シーンにおいて重要な存在となる。
1973年に帰国後も精力的な活動を続け、1990年代以降はパブリックアートや大型インスタレーションを数多く発表し、ポップな色彩と南瓜や草花など親しみやすいモチーフの作品は絶大な人気を博している。
1993年第45回ベネチア・ビエンナーレに日本館代表として参加。
1998年のロサンゼルス・カウンティ美術館とニューヨーク近代美術館の共同企画による個展「ラブ・フォーエバー:草間彌生」を皮切りに、世界各地で大規模な個展を開催している。
2011年から2012年にはテート・モダン(ロンドン)やホイットニー美術館(ニューヨーク)など欧米4都市を巡回する回顧展を開催。
2016年タイム誌で「世界で最も影響力のある100人」に選出された。

草間彌生《ピンクボート》 1992年 詰め物入り縫製布、ボート、オール 90x350x180cm 所蔵:名古屋市美術館

草間彌生《ミシガン湖》1959年 墨汁、白胡粉、紙 62x75cm

草間彌生《No.A》1959年 油彩、キャンバス 72.4×89.8cm 所蔵:武田安正

左:草間彌生《季節に涙を流して》2015年 アクリル絵具、キャンバス 194x194cm 所蔵:有限会社ティーパーティ
右:草間彌生《女たちの群れは愛を待っているのに、 男たちはいつも去っていってしまう》 2009年 アクリル絵具、キャンバス 130x162cm 所蔵:武田安正

草間彌生《芽生え》1992年 アクリル絵具、キャンバス 145x336cm 所蔵:武田安正

コレクターの宮津大輔氏が著書「現代アートを買おう!」で紹介していたコレクション作品《無限の網》が展示されていました。

草間彌生《無限の網(Infinity Nets)》1965年 油彩、キャンバス 132x152cm 所蔵:宮津大輔

Infinity Netsシリーズ初期の作品です。
50年以上前の作品ですが、コンディションの良さがとても印象的でした。また、近年の同シリーズとの違いも興味深く鑑賞することができました。

《無限の網》※Detail

《無限の網》※Detail

直前で開催されたOKETA COLLECTION展では、2012年のInfinity Nets作品が展示されていました。見比べてみると筆致が変化していて、違いを楽しむことが出来ました。

 

草間彌生《Infinity Nets TMPQ》2012年 ※Detail〜OKETA COLLECTION展より

アクリル板などでの保護をしていない額装でした。

展示風景

草間彌生《たくさんの愛のすばらしさ》2019年 アクリル絵具、キャンバス 100.3×100.3cm 所蔵:有限会社ティーパーティ

展示風景

 

概要

STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ

会場:森美術館
会期:2020年7月31日(金)~ 2021年1月3日(日)
時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※ただし9月22日(火・祝)、11月3日(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30)
料金:一般 2,000円、学生(高校・大学生)1,300円、子供(4歳~中学生)700円、シニア(65歳以上)1,700円

参加アーティスト ※姓のアルファベット順 草間彌生、李禹煥(リ・ウファン)、宮島達男、村上隆、奈良美智、杉本博司

※本記事で掲載した写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。