【4人展】「2020年のさざえ堂——現代の螺旋と100枚の絵」太田市美術館・図書館

2020年のさざえ堂——現代の螺旋と100枚の絵

太田市美術館・図書館(群馬県太田市)で開催された「2020年のさざえ堂──現代の螺旋と100枚の絵」にお伺いしました。

本展は、太田市美術館・図書館が企画する、太田にゆかりの芸術文化を紹介する「太田の美術」シリーズの第3弾です。

太田市美術館・図書館〜太田駅の目の前に建っています。

本展は、展覧会会場から数㎞の場所にある「曹源寺さざえ堂(通称:さざえ堂)」が重要文化財として指定されたことをきっかけに企画されました。

「さざえ堂」は、内部が一方通行で、上りと下りが合流しない回廊式の構造になっております。平安時代には行われていたという、100カ所の観音霊場を巡礼する「百観音巡礼」にならい、三層構造の空間に3カ所(秩父・坂東・西国)計100体の観音像を安置することで、簡略化した「百観音巡礼」を実現する建築物です。

2017年に開館した太田市美術館・図書館の構造も「さざえ堂」と同じく、三層構造からなる建物です。

太田市美術館・図書館・館内

本展は、蓮沼執太(音楽家・アーティスト|1983年生まれ)、三瀬夏之介(日本画家|1973年生まれ)、持田敦子(アーティスト|1989年生まれ)の3名が異なる表現手法によって「さざえ堂」「螺旋」にアプローチしつつ、高橋大輔(画家|1980年生まれ)が「百観音巡礼」にならい計100枚の絵を各フロアに展示することで、さざえ堂の構造・意義に対して新たな光と可能性を投げかける企画です。

三瀬夏之介|展示室1(1階)

日本画家の三瀬夏之介さんが、本展のための新作と旧作によって、天井高約6メートルの展示室に絵画による螺旋空間を作り上げます。

三瀬夏之介《ぼくの神さま》2015年 540cm×420cm

同時に、壁面には画家・高橋大輔の絵画も展示され、日本画・油彩画と異なるメディウムを使用する画家同士のコラボレーションも実現しました。

展示風景

三瀬夏之介氏

三瀬夏之介《日本の絵〜らせん〜》2019年、下に並ぶ作品は高橋大輔さんの絵画

蓮沼執太|スロープ(展示室1と展示室2の間)

音楽家・アーティストの蓮沼執太さんは、マイクを転がしながら歩き、音を採集するフィールドワーク・フィールドレコーディング作品《Walking Score》シリーズの最新作を展示しました。太田市美術館・図書館と、さざえ堂という異なる2ヶ所で撮影・編集されたふたつの映像と音が、ひとつの空間で重なります。

蓮沼執太《Walking Score(spiral)》2020年

展示風景

持田敦子|展示室2(2階)

アーティストの持田敦子さんは、美術館の展示室を回転させる新作インスタレーションを展示していました。

持田敦子さんの作品《距離の問題、空間の変容、位置のゆらぎ》は、高橋大輔さんの作品を壁面に展示しながら、グルグルと回転する構造になっていました。

なお、この作品は複数人が手で押して回転する構造です。
会期中にも任意のタイミングで動くそうです。

高橋大輔|展示室1~3(1~3階)

高橋大輔さんの展示は、2019年を中心に制作された未発表作品を中心に、油彩画合計100点が展示されました。
さざえ堂の「百観音巡礼」に倣い、1階に34点、2階に33点、3階に33点の合計100点の絵画作品の展示です。

展示室1(1階)では三瀬夏之介さんと、展示室2(2階)では持田敦子さんの作品とのコラボレーション、展示室3(3階)では高橋大輔さんの作品のみで構成された個展のような空間が作り上げられました。

展示室1(1階)

1階展示作品の1作品目〜高橋大輔《Pinapples and Onionfries》2018-2019年

高橋大輔《自転車》2018年

1階展示風景

高橋大輔《電気》2018-2019年

 

展示室2(2階)

2階展示風景

左:高橋大輔《無題(k.m.m)》2019年 右:高橋大輔《無題(k.n.n)》

左:高橋大輔《無題》2019年 右:高橋大輔《無題》2018-2019年

2階展示風景

高橋大輔《無題》2019年

高橋大輔《無題(J,C,G,M)》2018-2019年

 

展示室3(3階)

3階フロアの展示風景

100点目の作品〜高橋大輔《光にかざす、ボロ雑巾》2018-2019年

《光にかざす、ボロ雑巾》※Detail

3階フロアの展示風景

3階フロアの展示風景

高橋大輔《無題(s,r)》2019年

高橋大輔さんの作品100点は小作品から大作まで見応えがあり圧巻でした。

概要

太田の美術vol.3「2020年のさざえ堂——現代の螺旋と100枚の絵」
会期: 2020年2月6日(木)~5月10日(日)
会場:太田市美術館・図書館 展示室1、2、3、スロープ、他
開催時間:午前10時~午後6時(展示室への入場は午後5時30分まで)
休館日:月曜日(2月24日、5月4日は祝休日のため開館し、2月25日、5月7日休館)
観覧料:一般300(200)円 ※( )内は20名以上の団体及び太田市美術館・図書館カード、ふらっと両毛フリーパス、本展会期中の大川美術館(桐生)の有料観覧券半券をお持ちの方。65歳以上、高校生以下、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の交付者及びその付添人1人は無料。おおた家庭の日(第1日曜日)は中学生以下の子ども同伴の家族無料。
主催:太田市、一般財団法人太田市文化スポーツ振興財団
助成:公益財団法人 三菱UFJ信託地域文化財団、公益財団法人野村財団
特別協力:曹源寺さざえ堂
技術協力:株式会社エーアイラボオオタ、株式会社セントエルモ
協力:東武鉄道株式会社
後援:太田市教育委員会、太田商工会議所、群馬テレビ、株式会社エフエム群馬、エフエム太郎、上毛新聞社、朝日新聞社前橋総局、産経新聞前橋支局、東京新聞前橋支局、毎日新聞前橋支局、読売新聞前橋支局、光ネット株式会社