【藝大卒展】先端4年・小野沢峻が操る「ジャグリング作品」の極意とは?

Movement act

2019年1月28日〜2月3日に開催された「第67回 東京藝術大学卒業・修了作品展」。
会場のひとつである東京都美術館の一角に展示されていた作品《Movement act》が非常に面白かったのでご紹介したいと思います。

まずは下の動画をご覧下さい。

いかがでしょうか?

筆者は肉眼で見たのですが、見事の一言に尽きます。
16個のボールが物理的に弾かれて交差を繰り返す動きは、ギリギリの距離を交差しつつも木製のレールが醸し出す不安定感が鑑賞者に緊張感を与え、ドキドキ、ハラハラとさせます。

白い球は見事なほどにぶつからず交差していきます。

制作者の小野沢峻さんがこの作品を制作することに至ったのは、もともとジャグリングが好きで、自らがパフォーマーとして活動していることがきっかけです。

2019年2月5日放送、日本テレビ系情報番組「スッキリ」でも取り上げられました。

ジャグリングが好きだからこそ、想いの詰まった作品に仕上がっているのです。そのキーワードは「失敗することも含めた設計」です。

100%完全に成功するために導かれるのは、工業製品のような機械的なもの。小野澤さんはあえて木製の土台を使うなど、ボールの制御をあえてファジーにすることで失敗も含めた作品に仕上げているのです。

ジャグリングを作品にしたいという強い思いが作品に繋がりました。※画像はNTV系「スッキリ」より

失敗を含めた設計について、「それって言い訳ですか(笑)?」と冗談っぽく突っ込んでみましたが、キチンとした受け答えで「ジャグリングのハラハラドキドキ感を表現したかったんです。」という回答がありました。

ジャグラーとジャグリングボールが生む「リアルで偶然性を孕んだ、あのライブ感を表現したかった。」というように、ジャグリングが大好きだからこそ、その楽しさや緊張感を飲み込んだ作品として発表されていました。

東京藝術大学 先端技術学科4年  小野沢峻さん

1時間に4回行われるパフォーマンスは、4回のうち1回失敗するかしないか、という精度に設計されています。
前半に掲載した動画は、その貴重な失敗シーンを撮影することが出来た動画です。

見事なタイミングで吐き出されるボール。※画像はNTV系「スッキリ」より

序盤から中盤の完全に制御されたようなボールの動きは、最後は崩れてしまいます。
デジタル世代の若き学生がアナログで生っぽさを表現として伝える作品は、確かにアートとして成立していました。
作品は見事に「大学買い上げ作品」として、芸大に保管される事になりました。

アートフェア東京2019のパートナーイベント「3331 ART FAIR 2019」でも展示されていました。
少しお高めですが、受注生産もしているようですね。

今後は大学院に進まれ、次の新しい創造に進んで行くそうです。
これからの作品にも期待しています。

概要

第67回 東京藝術大学卒業・修了作品展
会期:2019年1月28日(月)〜2月3日(日)会期中無休
時間:午前9時30分 – 午後5時30分(入館は午後5時まで)
※ 最終日は午前9時30分 – 午後12時30分(入館は午後12時まで)会場
学部:東京都美術館・大学構内
大学院:大学美術館・大学構内
観覧料:無料
主催:東京藝術大学