【個展】静謐さの中の躍動〜前田征紀 「溌墨智異竜宮山水図」@Taka Ishii Gallery

前田征紀 「溌墨智異竜宮山水図」

前田征紀さんの個展「溌墨智異竜宮山水図」を鑑賞するため、タカ・イシイギャラリーさんへお伺いしました。

本展は水を通し、あたらしい“波動の光景”を出現させる試みということで、静謐なギャラリーの中にピンと張った水面を息を殺してみるような緊張感がありました。

本展タイトルにある「竜宮」は、龍神が住むという想像上の宮殿で、その場所の多くは岩穴の奥や海の底、もしくは海の地平線の彼方にあるといわれる。

『古事記』によると「魚鱗のごと造れる宮室、それ綿津見の神の宮」とある一方、『平家物語』では、死者の赴く世界(巻11「先帝御入水の事」)のように記されている。

現在、作家が暮らす京都北部の里山は古代、大陸の百済から人が渡来し開村したと言われ、百済から北緯35度沿いには竜宮伝説がある。また、龍について別の視点から考察した前田は、それは縄文時代の精神であり、古代に封印され、いま解放されるものだという。そして、里山の奥にある谷の草葺屑屋の住居とアトリエを、この世とあの世のあわいのようなところと感じた前田は、そこを「竜宮」と名付けた。

今回の個展では、その竜宮と山里にある水、水晶まじりの石、屋根の茅、囲炉裏の灰などを用いたインスタレーション作品を発表する。

こういったインスタレーションを静かなギャラリーで見る贅沢ってとっても幸せですね。心が浄化されたように感じ、会場をあとにしました。

概要

前田征紀 「溌墨智異竜宮山水図」
会期: 2018年6月30日(土)- 7月28日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー 東京
オープニング・レセプション(開場):6月30日(土)16:00 – 20:00