【個展】AKI INOMATA「貨幣の記憶」MAHO KUBOTA GALLERY

AKI INOMATA「貨幣の記憶」

動物との共働によって作品を制作する現代アーティストAKI INOMATAさんの個展「貨幣の記憶」に伺いました。
会場はMAHO KUBOTA GALLERYです。

展示風景

本展「貨幣の記憶」は、近代以前には貨幣としても使用された貝殻を現代の通貨と結びつけ「貨幣の化石」を作りだす試みです。

真珠貝に福沢諭吉、エリザベス女王、ジョージ・ワシントンなど、諸国の通貨を象徴する人物像を型取った小さな核を挿入し、真珠質が核の表面を覆うことで人物の形の真珠が出来上がります。本展はこれらの真珠化した人物像から成る真珠貝の作品とそれらを巡る映像と写真の作品で構成されています。

AKI INOMATA《貨幣の記憶(エリザベスⅡ世)》2021

AKI INOMATA《貨幣の記憶(福沢諭吉)》2021

長旅から帰国し、空港で両替をする。ひさしぶりに手にした日本円の紙幣は、どこか懐かしく、そしてなんだか “とてつもなく昔のもの” のように思われた。日々、私たちは考古遺物を手にしている。そんな妄想をして、くすりと笑った。日常の支払いはSuicaやクレジットカードであらかた済まされている。両替した紙幣は、しばらく私の長財布のなかで悠々と眠りつづけた。そこには福沢諭吉が描かれていた。

貨幣の化石をつくりたい。
そう思ったのは、国境を超えて、両替をしたあの日のことがきっかけになっているのかもしれない。紙幣に描かれた肖像を取りだし、真珠貝の核としてそこに挿し入れた。古くから貝殻は加工され、装飾品として用いられたり、貝貨として交易で使用されてきた歴史がある。紙幣の肖像を貝殻に入れ、海へかえす。それは、貨幣の歴史を掘りおこすと同時に、生物種の存在にたいする内省でもある。

貨幣の本質は、譲渡可能な「信用」であるといわれる。とりわけ紙幣は、国家を象徴する肖像画が描かれていることからも伺えるように、国の信用をベースに成りたっている。でも、この仕組みがいつまで続くのか、本当のところは誰にもわからない。貨幣という複雑なシステムは私たちの理解を超えてきているのかもしれない。

<AKI INOMATA 個展に寄せて>

展示風景

展示風景

モチーフに倣った通貨で価格設定されていました。

 

展示風景

AKI INOMATA《貨幣の記憶(マルクス)》2021

展示風景

貨幣の記憶は、2020年に出版された初の作品集「Significant Otherness 生きものと私が出会うとき」にも取り上げられています。2018年からはじまったプロジェクトです。

電子マネーや仮想通貨などの登場により、貨幣の価値観を問うような企画でした。

メイキング的な映像は以下より参照ください。

概要

AKI INOMATA
「貨幣の記憶」

会場 MAHO KUBOTA GALLERY
会期:2021年4月13日~5月22日

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