【STARS展】杉本博司さん展示室〜「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」森美術館

STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ

森美術館で開催中の「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」に伺いました。

森美術館

STARS展は、2020年開催の東京オリンピックタイミングにあわせて企画されましたが、新型コロナウイルスの影響で、時期をずらしながら開催に至りました。

本展は、日本という枠を越えて広く国際的に活躍し、今日、多様な地域や世代から高い評価を得るアーティスト6名を選び、その活動の軌跡を初期作品と最新作をつなぐかたちで紹介するものです。
彼らの実践は世界からいかに評価されてきたのか。国境や文化を越えた普遍的な課題の追求、伝統や美学、テクノロジーやサブカルチャーなど、 日本固有の社会的、文化的、経済的背景を踏まえて探ります。
また、1950年代から今日まで、海外で開催された主要な日本現代美術展に関する資料も展示し、それぞれの時代の評価軸や系譜が検証されます。

杉本博司

本記事では、アーティスト6名の中では最高齢となる杉本博司さんの展示を取りあげます。

杉本博司さんの展示室では、初期の代表的なシリーズのひとつ、「ジオラマ」の最初の作品《シロクマ》(1976年)(1977年にニューヨーク近代美術館に収蔵) 、「海景」シリーズが発展した日本初公開の「レボリューション」シリーズ(1980年-)、杉本氏の創作活動集大成とも言える「小田原文化財団 江之浦測候所」(2017年開館)の四季折々が細部まで納められた初映画作品《時間の庭のひとりごと》(2020年) が展示されました。

杉本博司

1948年、東京生まれ。
1970年に渡米しロサンゼルスで写真を学んだ後、1974年にはニュー ヨークに移住。
現実と虚像の間を往来する「ジオラマ」、「ポートレート」、映画一本分の長時間露光による「 劇場 」、世界各地の水平線を撮影した「海景」など、初期から一貫して明確なコンセプトに基づいた写真作品を制作。
1977年、初めてのパブリックコレクションとして「ジオラマ」シリーズから《シロクマ》(1976年) がニューヨーク近代美術館に収蔵される。
その後、1995年から始まったメトロポリタン美術館(ニューヨーク)の個展が米国内及びハラ ミュージアム アーク(群馬)に巡回し、大きな注目を浴びる。
2005年、森美術館での個展「杉本博司:時間の終わり」 は米国3都市に巡回。固有のコンセプトと哲学、美学を兼ね備えた写真作品が美術館と市場の双 方で確固たる立ち位置を確立する。その後、彼の壮大な世界観や歴史観は写真メディア、さらに は現代美術に限定されることなく、近年の表現は建築、伝統美術、古典芸能など幅広い芸術領域 を横断している。なかでも2017年開館の小田原文化財団 江之浦測候所は、構想から20年をかけたもので、その世界観が凝縮された壮大なプロジェクトは世界から注目が高まっている。

展示風景〜Revolutionシリーズ

Revolutionシリーズは、月やその光線が写る《海景》作品を縦位置にした作品です。

杉本博司 《Revolution 008 カリブ海、ユカタン》 1990年 ゼラチン・シルバー・プリント 238.8×119.4cm

杉本博司 《Revolution 001 北大西洋、ニューファンドランド》1982年

杉本博司 《Revolution 002 北大西洋、ニューファンドランド》1982年

代表的な作品《シロクマ》の展示風景

杉本博司《シロクマ》1976年 42.3x 54.6cm 所蔵:大林コレクション

小田原文化財団 江之浦測候所をテーマとした映画作品〜《時間の庭のひとりごと》2020年

ギベオン隕石 ナミビア、グレートナマランド、ギベオン 1838年発見 オクタヘドライト(鉄隕石) 所蔵:小田原文化財団(神奈川)

ギベオン隕石〜解説

 

概要

STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ

会場:森美術館
会期:2020年7月31日(金)~ 2021年1月3日(日)
時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※ただし9月22日(火・祝)、11月3日(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30)
料金:一般 2,000円、学生(高校・大学生)1,300円、子供(4歳~中学生)700円、シニア(65歳以上)1,700円

参加アーティスト ※姓のアルファベット順 草間彌生、李禹煥(リ・ウファン)、宮島達男、村上隆、奈良美智、杉本博司

※本記事で掲載した写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています。