【News】11月1日〜前売りチケット発売!アーティゾン美術館・開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」

アーティゾン美術館

建て替えのため長期休館していたブリヂストン美術館が「アーティゾン美術館」と名称を変更して2020 年1月18日(土)に開館します。

アーティゾン美術館外観

開館記念展では全展示室を用い、約2,800点もの同館コレクションから初公開作品約30点を含む約200点を選りすぐり、2部構成で紹介されます。

第1部「アートをひろげる」では、近代から現代に至る東西の名品を一つの地平に並べ、時間、空間を超えた美術の風景を一望します。
第2部「アートをさぐる」では、7つのテーマからアートを掘り下げ、その歴史の奥底へと誘います。

展示面積は建て替え前の約2倍を誇るそうです

開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」

開館記念展となる「見えてくる光景 コレクションの現在地」。
本展では、合計約200点を紹介し、古代から現代までの人間の輝かしい創造の軌跡をたどります。

見どころ

(1)新収蔵作品から約30点を初公開
アーティゾン美術館を運営する石橋財団は、美術館の休館中も積極的に作品収集に取り組み、コレクションの幅を広げています。本展では新収蔵作品の中から、モリゾ、カサット、ボッチョーニ、カンディンスキー、ジャコメッティ、松本竣介などの作品が約30点初公開されます。

ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》1924 年 ※新収蔵作品

ウンベルト・ボッチョーニ《空間における連続性の唯一の形態》1913年(1972年鋳造)

(2)コレクションへの新たな視点
「創造の体感」をテーマに、第1部では近現代美術を一望し、第2部では古今東西の美術を7つのテーマで掘り下げます。2つの異なる視点により、ブリヂストン美術館を代表する作品として長らく愛されてきたモネ、ルノワール、セザンヌ、マティス、ピカソなどのコレクションに新たな光を当てます。

(3)従来に無い鑑賞体験の提供
旧美術館の約2倍の展示面積と最新機能の設備に加え、開放的な空間を創出し、現代的であたたかみのあるデザインを採用しました。さらに日本古来の美術作品を展示するための部屋を新設し、古代から現代までの人間の創造の軌跡をたどります。

3階〜5階の吹き抜け

第1部「アートをひろげる」

最初の展示室となる6階フロアでは、同館が所蔵する近代から現代までの作品の精髄を選り抜いた作品が並びます。1870年代のマネの作品から2000年代のスーラージュまでの約140年間です。美術家たちによる果敢な実験や試行の連続によって、私たちの美術の概念が次々に拡大していった歴史です。それは決して直線的に進んだものではなく、時間と空間をとびこえて様々な関わり合いが見てとれます。一つの地平のなかに並べたからこそ見えてくる風景があるでしょう。
出品作家:エドゥアール・マネ、 アンリ・ファンタン=ラトゥール、 ポール・セザンヌ、ピエール = オーギュスト・ルノワール、ヴァシリー・カンディンスキー、 青木繁、 マーク・ロスコ、ジャクソン・ポロック、 草間彌生ほか

エドゥアール・マネ《自画像》 1878〜79 年

オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》1876年

メアリー・カサット《日光浴(浴後)》1901年 ※新収蔵作品

第2部「アートをさぐる」

6階の展示室で水平に美術をご覧いただいたのち、杭を垂直に打ち込むように、7つの視点からアートを掘りさげ、アートの歴史に分け入り、私たちの心のなかにあるアートの核心に迫ります。

① 装 飾
人間の根源的な欲求に装飾があります。ヒトの最初の絵画はボディペインティングだった、と考える人たちもいます。それは今日の私たちが考える写実的な絵画ではなく、なにかしらの意味やメッセージを持つ文様だったのでしょう。人間はやがて身辺の器物、そして生活空間を装飾して楽しむようになります。機能を追究するだけでは人間は生きていけないと思われます。手の動きや営みが残す痕跡が様々な感情を生み出す力をもつことに、人間は古代から気づいていました。
出品作家:エミール・ガレ、 藤島武二、アンリ・マティス、 梅原龍三郎、 佐伯祐三ほか

2-② 古典
美術の営みのなかで、だれでもが納得できるような規範を突きつめたいという欲望が生まれてきます。ギリシア・ローマ時代につくられた筋道がその最も典型的なものでしょう。できあがった古典は、作品そのものによって、そして教育を通じて次の世代に受け継がれていきました。同時に、既存の規範を壊して新たな枠組みをつくりたいという願望も登場します。しかし、その壊そうとする営みも、古典があってこそ成り立つものです。現代でも、古典が果たす役割は小さくありません。
出品作家:ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル、パブロ・ピカソ、アメデオ・モディリアーニ、藤田嗣治、安井曾太郎ほか

③ 原始
人間は、生物としての記憶を身体の中に深く刻み込んでました。文字を持つ以前の記憶、そして 5,000 年前に文字を手にしてからの記録。美術の痕跡には、双方にまたがる記憶が現れています。ときに美術には荒々しい表現が噴出しますが、動物としての人間が持つ、本来的な、ぬぐい去れない特質が潜んでいるといえるでしょう。原始以来の人間の歴史がたたみ込んできた衝動が、古今東西を問わず、ときに噴出するのです。
出品作家:ポール・ゴーガン、 青木繁、コンスタンティン・ブランクーシ、ヘンリー・ムア、柄澤齊ほか

青木繁《海の幸》1904年

④ 異界
手の届く目の前の現実世界だけでは、人間は生きていけません。いまここにないもの、内面にしかないもの、空間や時間を超えて遠くにあるものをつかみ取って理解し、そしてそれを造形で表現しようとします。ときには文字ではなく造形でしか表すことできないものもあるでしょう。それは決して私たちに優しく語りかけてくるものばかりではなく、畏怖や憧憬、渇望が混じり合うものかも知れません。同時に美術以外の分野の芸術、文学や音楽などへの接近も見逃せません。
出品作家:オディロン・ルドン、 パウル・クレー、古賀春江、 浜口陽三、 ヴォルスほか

⑤ 聖俗
世界各地の、様々な時代の宗教美術に見られるように、人間の存在を超越した聖なるものを眼前に定着させたい、現実のなかから聖性を掘り起こして確認したいという願望は、人間に普遍的なものです。人間には聖なるものを希求する心が備わっています。また逆に、聖性と対蹠的な俗性に惹きつけられる性質も、ぬぐいがたく人間はもっています。そうした聖と俗が、実は自在に往き来するところに美術の面白さがあるでしょう。
出品作家:ジョルジュ・ルオー、パブロ・ピカソ、オシップ・ザツキン、ゲオルグ・グロス、アルベルト・ジャコメッティ、《洛中洛外図屏風》ほか

《洛中洛外図屏風》江戸時代(左隻)※新収蔵作品

《洛中洛外図屏風》江戸時代(右隻)※新収蔵作品

⑥ 記録
世界は渾沌としています。言語によって世界を分節化できるようになった人間は、同時にその分節化した世界をイメージとして定着させることに取り憑かれました。「世界」には、私たちの視覚の前に存在する世界も、あるいは私たちの内側にある世界もあります。あるいは外と内を往き来する部分もあります。私たちの生を支える社会の記録、時間の推移をともなう出来事の記録、あるいは、美術家自身の刻々と変化する内面世界の記録が、美術の大きな部分を占めています。
出品作家:ジャック・カロ、ベルト・モリゾ、 中村 彝、岸田劉生、 松本竣介ほか

ベルト・モリゾ《バルコニーの女と子ども》1872 年
(新収蔵作品)
⑦ 幸福
過去に積み上げてきた美術作品の一つひとつが、私たちの生活を豊かに彩っています。私たちは美術作品から、人間が何を感じてきたのか、何をあらわそうとしてきたのかを感じとろうとします。いわば、生きる意味を探ろうとしているといってよいでしょう。そうした作品を、秩序だてた組合せや方法でみなさまに示している美術館は、人間がつくりだした最も先鋭的な仕組みです。美術作家と美術館が様々に協働してつくりあげる空間が、みなさまの生を支え励ますものになっています。
出品作家:メアリー・カサット、坂本繁二郎、エミリー・カーム・ウンワリィ、 ピエール・スーラージュ、ザオ・ウーキーほか

予約制鑑賞券

アーティゾン美術館は日時指定の予約制です。
来たる2019年11月1日(金)から前売りのチケットが販売されます。

日時指定予約制とは、入館までの待ち時間の緩和、より快適な鑑賞環境をご提供するために、1日を以下の入館時間枠に区切り、その時間枠内にご入館頂きます。

以下の枠を選んで公式サイトより購入するシステムです。
❶10:00-11:30  ❷12:00-13:30  ❸14:00-15:30  ❹16:00-17:30 ❺金曜日のみ 18:00-19:30(但し 3 月 20 日を除く)

なお、大学生・専門学校生・高校生は無料ですが、入館時間枠の予約が必要です。※入館時に学生証または生徒手帳を提示。また、中学生以下の方は無料です。なお、入館時間枠の予約は必要ありません。

また、当日券については、ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ、美術館窓口でもチケットを販売スルトのことです。

開館直後は混み合うことが予想されますが、予約制だと安心ですね。
新しい美術館で新旧の美術作品を堪能してみて下さい。

概要

開館記念展 見えてくる光景 コレクションの現在地
会 場:石橋財団アーティゾン美術館 (東京都中央区京橋 1-7-2)
会期:2020年1月18日(土)〜3月31日(火)
開館時間:10:00~18:00(毎週金曜日は 20:00まで / 但し3月20日を除く)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日にあたる2月24日は開館)、2月25日(火)