【ICOM京都大会/二条城・世界遺産登録25周年記念】 「時を超える:美の基準」

時を超える:美の基準

世界文化遺産である京都・二条城の⼆の丸御殿台所と御清所(重要⽂化財)で、森美術館館長の南條史生氏と名和晃平氏がアドバイザーを務める展覧会「時を超える:美の基準」が開催されました。

二条城の⼆の丸御殿台所

日本が誇る古き建築物と日本の現代美術シーンを牽引する美術作家による競演のような本展、非常に素晴らしい企画でした。

名和晃平

会場である二条城の⼆の丸御殿台所に入った入り口の土間に置かれたPixCellシリーズの鹿作品は、暗所でのライティングによって守護神のような存在にも映り荘厳な存在に見えました。

名和晃平《PixCell-Deer#60》2019年

名和晃平《PixCell-Deer#60》部分

また、靴を脱いで板張りの床上段に上がると、巨大なスクリーンに投射された映像作品が上映されていました。
板に座って、浴びるように映像と音の世界に入り込んでしまいました。外の暑さを忘れるような心地良い体験でした。

名和晃平・白木良(プログラム)原摩利彦(サウンドスケープ)《Tornscape》2019年

宮永愛子

ナフタリンを使った作品で注目されている宮永愛子さんは、時計をモチーフに「歴史」について問いかけているようなメッセージが込められているように感じました。

展示風景

宮永愛子《夜に降る景色-時計-》2018年

伊藤若冲

京都の画家、伊藤若冲の作品は、京都の細見美術館によるレプリカ(複製品)でした。

伊藤若冲《鶏図押絵貼屏風》※レプリカ 2013年(オリジナル1797年)

RINne Associe

伊藤若冲と初音ミクのコラボ作品は、RINne Associe(リンネ・アソシエ)によるものです。
RINne Associeは、細見美術館が組んだプロジェクトチームです。

RINne Associe《初音ミク×伊藤若冲》

青木美歌

畳の上に並んだ青木美歌さんによるガラス作品は静謐な佇まいで素晴らしかったです。

青木美歌《煙庭》2019年 ガラス

小林且典

小林且典さんによるブロンズ彫刻《山の標本》は、外の景色とも調和融合してグッとくるものがありました。

展示風景

小林且典《山の標本》2019年

向山喜章

向山喜章さんの作品は、自然光と融合して色調が微妙に揺れ動いているようでした。その様子は、光だけではなく、風や時間や私たちの踏む足からの振動などにも呼応しているようで、ミニマルだけれど、とても大きな存在感でした。

向山喜章《ヴェンタータ53ー薫風/くんぷう》2018年

西川勝人

大広間に付属した小部屋は、薄暗い室内でした。その中にひっそりと置かれている彫刻が西川勝人さんの《Courant ascendant Ⅰ》。 フランス語で「上昇気流」という意味だそうです。
上昇気流と言う作品名と対照的に、空気の流れが止まったような空間で、厳かな時間が刻まれているように感じました。

西川勝人《Courant ascendant Ⅰ》1995年

team Lab

team Labの映像作品も大広間に付属した小部屋でした。
畳に座ってじっくりと鑑賞する方が多かったです。素敵な映像作品でした。

team Lab《生命は生命の力で生きている》2011年 degital work 6min23sec

須田悦弘

精巧な造りの《霞草》は、須田悦弘さんの作品。展示場所に溶け込んでいる感じが良かったです。

須田悦弘《霞草》2019年 木に彩色

ミヤマケイ

ミヤマケイさんの出品作は、屏風に描かれた平面の器と、そこから飛び出してきたような実物の器で構成したインスタレーションでした。

ミヤマケイ《誰が袖》2017年

わずか4日限りで会期を終了した本展「時を超える:美の基準」。

二条城という、場所の力がとても強い場所で、「歴史との対話」を感じることが出来ました。

冒頭に展示されている名和晃平さんの2作品で、本展の空気が作られているような印象でした。才能のある作家の力を見せつけられたように思います。PixCellシリーズの鹿作品は、今までで見た中でも最も強い力が宿っているような佇まいでした。

非常に素晴らしい企画でした!

概要

「時を超える:美の基準」
会場:京都 二条城・二の丸御殿台所・御清所
開催日:2019年8月31日~9月3日
時間:9:00~16:45 ※初日のみ〜17:45
※二条城の入城受付は午後4時まで
料金:無料(二条城入城料は,別途必要です。)
参加アーティスト:⻘⽊美歌・⼩林且典・須⽥悦弘・teamLab・名和晃平・⻄川勝⼈・ミヤケマイ・宮永愛⼦・向⼭喜章・白石由子