Takuro Someya Contemporary Art
岡﨑乾二郎さんの新作個展にお伺いしました。
会場はTakuro Someya Contemporary Art(天王洲)です。

Takuro Someya Contemporary Art(TSCA)は、今回の展覧会より改装されておりました。これは、本展覧会作家の岡﨑乾二郎さんが設計した内装です。
以前伺った際の写真と比較してみると、大山エンリコイサムさんの個展時の景色とはガラッと変わっております。本展以降もこのまま使われるそうですが、岡崎さんの緻密な設計によって新しく生まれ変わったギャラリーのようになりました。

ホワイトキューブとは言えない、真っ白ではない壁は、微妙にグレーを含んだ色で、レイアウトも黄金比を取り入れているそうです。また、本展覧会で出展される作品も、このギャラリー空間を想定して制作された作品です。
岡﨑乾二郎 ゼロ・サムネイルシリーズ
岡﨑乾二郎さんの作品は、多くの美術館を中心にコレクションされていますが、瀬戸内国際芸術祭の際にベネッセハウス ミュージアムで展示されていた4つの「ゼロ・サムネイルシリーズ作品」が非常に印象的で、本展鑑賞の大きなモチベーションに繋がっておりました。

ゼロ・サムネイルシリーズは、0号やサムホールサイズの小さな抽象画作品シリーズです。
アクリルとキャンバスで描かれた作品は、1つずつ組み方の違うハンドメイドの木枠に収められています。


削り出しの木枠
木枠は、それぞれの作品ごとに形状や位置が異なっていて、キャンバスの裏側から木ネジで固定されています。
L字型で固定されている木枠は、接着されたものではなく、削り出しで作られています。



建築の要素を含む作品とも言えますね。
ギャラリー内の展示方法についても、展示位置を正確に決めているようです。ギャラリーの壁面にを良く見ると、小さな目印を見つけることが出来ます。空間へのこだわりが強い作家さんです。

特徴的な作品名
岡﨑乾二郎さんの作品は、別シリーズも含めて特徴的に命名されています。
作品が大きくなるにつれ、タイトルも長くなっていく関係になっており、前述したベネッセハウス ミュージアムで展示されていた大型作品のタイトルは次のようなものでした。
岡﨑乾二郎 展示作品 ベネッセハウス ミュージアム
《轟は聞こえても言葉を話すのは聞いたことがない。髭がのびても赤ん坊のように泣く。鬣を逆立て地上へごろごろ落ちていく、無知から生じた過ち。遠くから射かけ矢尻を残したのも知らず憐れみもないアヂスキタ。海辺の椰子を飲み尽くしてしまった焔カヒコネ。煙のようにみえる尻尾、ダラリとしたモノグサ。金色の鱗で被われた顔貌神々しさ目を奪われる。この鄙ぶりの土地を去り、愛する岸辺を逃れ、でも未来は探しに行かなくても繊毛をなびかせ畑の畝に並んでいる。花が咲いたら蜂たちもずっと上天気が続くのを願うはず。蜜でねっとりした蜂の巣に残るのはだれ?》
《賓として眺め聞いたものは(そら恐ろしいことでも)目新しく耳新しく、何も知らないから旅人は一切を受け入れる。そら彩り丘染めるアメノワカヒコ。過去に花を咲かせ石に枕して眠る。あなたは何者ですか?不意にワキ赤ツグミ、翼の力を失って海辺の草地めがけ石のように落下した。》サイズ:(H)210cm x (W)460cm x (D)7cm
マテリアル:アクリル、カンヴァス
制作年:2017
※左右の2点組作品
岡﨑乾二郎さんの奥様は、詩人のぱくきょんみさんです。作品名が詩的なのは、そういった環境もありそうです。
また、英訳にもこだわりを持っていらっしゃるようで、専門の翻訳家に依頼して、英語タイトルを付けていらっしゃるようです。
作品リストを見ると、タイトルが付いていない作品もありましたが、命名にはとても長い時間が掛かる作品もあるそうです。





特別展示
ギャラリーに展示された作品は、本展に向けて制作されたもので、あらかじめ決められた場所に収まるよう、展示位置などが正確に決められていました。
人気作家ゆえ、展示作品はほぼ完売という状況でしたが、直近で制作された作品を別室で見る機会に恵まれました。



作品は小さいサイズながらも力に見て溢れていて、長い時間ずっと見ていられるものでした。
アートバーゼルマイアミ2017に出展して以降、海外コレクターからも大きな注目を浴びている岡崎さん。作品価格も大きく上がっているそうです。
概要
岡﨑乾二郎
新作個展
会場:Takuro Someya Contemporary Art
会期:2019年7月9日(火)〜8月24日(土)
※夏季休廊:8月11日(日)〜8月19日(月)
TERRADA Art Complex 合同オープニング
7月13日(土)18時 – 20時
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