宮永愛子 「漕法」
宮永愛子さんの個展 「漕法(そうほう)」にお伺いしました。会場は高松市美術館です。
本展では、瀬戸内の景色やそこで暮らしてきた人々が積み重ねる時間をテーマに、代表的なシリーズである《手紙》や《life》、澄んだ音色を奏でる石「サヌカイト」を素材とする新作インスタレーションなどが展示されていました。
宮永愛子さんは、素材にナフタリンを使っている作品で有名な美術作家です。
本展でも代表的な作品が沢山展示されていました。
氷のようにも見える作品が暗所で展示されている光景は、夏の展覧会に相応しく、涼を与えてくれました。
会場で宮永愛子さんにお話を伺うことが出来ました。
透明な樹脂の中で白くモチーフをかたどっているのは、ナフタリンの結晶です。
下の写真にある椅子の作品には、背面部分に小さな穴が開けられていて、作品のキャプションシールで塞がれていました。
このシールを剥がしてしまうと、結晶化しているナフタリンが気化し、白いモチーフはすこしずつ消え、樹脂のケースだけが残るということになります。つまり、時間の経過とともに変化しうるモチーフなのです。
新作インスタレーション
本展の後半に展示されているのが、讃岐名石「サヌカイト」を用いた新作インスタレーションです。
サヌカイトとは叩くとカーンと美しい音色で高く澄んだ音を響かせるため、カンカン石とも呼ばれます。
今後も含めて、この石が採取される高松でしか展示されない作品になりそうです。
展覧会タイトル「漕法」は、舟を漕ぐ方法を意味します。
私たちを取り巻く社会は揺らぎながら、激しく変化を続ける時代になりました。
会場近くに広がる瀬戸内の海を感じながら、自身の人生を重ね、思いを巡らせる時間が続いていきました。
概要
宮永愛子
「漕法」
会場:高松市美術館
会期:2019年7月17日〜9月1日
時間:9:30〜19:00(日曜のみ17:00まで)※入室は閉館30分前まで
※休館日:月曜日(8/12は開館)
料金:一般 1,000円、大学生 500円、高校生以下 無料
※瀬戸内国際芸術祭2019作品鑑賞パスポートを提示すると、通常入場料金の2割引。