ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ(仮称)
「箱のアーティスト」として知られるジョゼフ・コーネルの展覧会「ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ(仮称)」が来年3月からDIC川村記念美術館で開催されます。
DIC川村記念美術館はコーネルの箱作品7点とコラージュ9点を所蔵し、国内では有数のコーネルコレクションを誇っており、1992年から93年には神奈川県立近代美術館、滋賀県立近代美術館、大原美術館とともに、回顧展「ジョゼフ・コーネル展」を開催しました。
今回の開催は同館では2010年の「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎」展以来のコーネル展となるわけですが、同館が誇るコーネルのコレクションに加えて、国内の美術館および個人所蔵のコーネル作品が一堂に集結し、代表作の「箱シリーズ」作品やコラージュのほか、映像作品やコーネルがレイアウトを手がけた雑誌等の印刷物、写真や手紙、日記等の関連資料も合わせて展示される網羅的な内容になる予定です。
箱作品は有名ですが、映像作品を作るアーティストとは知りませんでした。興味深い展覧会で注目していきたいと思います。
ジョゼフ・コーネルとは?
ジョゼフ・コーネルは、1903年にニューヨーク州ナイアックに生まれ、6人家族の長男として育ちます。
若くして父を病で失ったため、17歳の頃からマンハッタンに通勤し、布地の仲買やテキスタイルデザインの仕事などをしながら、家計を支えました。
1929年に家族とともにニューヨーク市クイーンズ区のユートピア・パークウェイに移り住むと、69歳で亡くなるまでこの地で暮らします。コーネルはこの自宅の地下室をアトリエとして、家族が寝静まった後の夜中から明け方にかけて、作品制作に打ち込んだと言われています。
コーネルが作品制作を始めるのは1930年代。31年にマンハッタンのジュリアン・レヴィ・ギャラリーで、ヨーロッパのシュルレアリストたちの作品を見たことがきっかけとなります。初期はおもにコラージュを手がけますが、やがて独創的な「箱」の形状を取り入れた作品に行き着きます。それは、マンハッタンの古書店や骨董品店で見つけてきたお気に入りの小物を手製の木箱におさめたものでした。
コーネルが最も意欲的に制作に取り組んだ40年代から50年代には、箱作品のテーマが絞られてゆくとともに、シリーズ化が進みます。このように「箱のアーティスト」として最もよく知られるコーネルですが、60年代から晩年に至るまでは、コラージュが再びその仕事の中心になります。
また、コーネルは実験映画の作家としても知られており、30年代から30年以上にわたって、20本程度の映像作品の監督や編集に関わっています。
コーネルの日本での知名度はそれほど高いとはいえませんが、草間彌生を愛したアーティストの中でも特別な存在が、ジョゼフ・コーネルだったとも語られています。
以下、出品予定作品の一部をご紹介致します。
出品作品(予定)
主に国内の美術館が所蔵する箱(及びオブジェ)・コラージュから精選した作品約30点、 映像作品10~15点、DIC川村記念美術館所蔵の箱・コラージュ16点、及び雑誌・写真等の関連資料など
概要
ジョゼフ・コーネル展
コラージュ&モンタージュ(仮称)
会場:DIC川村記念美術館
会期:2019年3月23日(土)-6月16日(日)
開館時間:午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜(ただし4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
主催:DIC株式会社