吉岡俊直「可塑性のある情景 Plastic Scenes」
版画家、吉岡俊直さんの個展「可塑性のある情景 Plastic Scenes」にお伺いしました。会場はアーツ千代田3331の2階「Gallery OUT of PLACE TOKIO」です。
会場に入って直感的に感じることは、作品は何か特殊な技法で作られているらしい、と言うことです。
作品を見ると3D的なオブジェクトが見られますが、3Dプリンタで作られたようにも感じます。一体どういった技法なのでしょうか?これは誰でも疑問に感じることと思います。
いつも優しく対応して頂けるギャラリーの方に伺いましたが、おおよそ以下のような工程で作られるようです。※筆者の理解不足でしたらどなたかご指摘下さい。
- モチーフとなる写真を撮影する
- 同一の構図を、角度を変えて写真を何枚も撮影する。※ギャラリストの方からはおよそ30枚と伺いました(作品にもよる)。
- 撮影した写真をPC上で3D化する
- 3D化されたデータをPC内でさらにデフォルメ処理など加工していく
- 加工した3Dデータを2Dの平面画像に書き出す
- 書き出された平面画像を使ってシルクスクリーン印刷でプリント
- 支持体はゴム板を使い、カラー数は白(反射光部分)を含めて4色重ねて印刷
この技法を少し調べてみましたが、「photogrammetry(フォトグラメトリ)」という写真測量、写真を使った3次元データ取得技術とのこと。次に紹介する画像処理と同様の技法です(写真画像が合計110枚の事例ですので、かなり子細にデータ処理されています)。
写真110枚くらい、解析時間13分くらい。これすごいんとちゃいます? pic.twitter.com/UScFKGnj9L
— ますく@肩こり頭痛 (@mask_3dcg) February 21, 2018
なぜ黒いゴム板を使うのか?カラーはなぜ緑なのか?と言うことについては、作家さんの好みと発色の出やすさなどを考えてのことだそうで、確かに黒と緑色の相性が良く、作品の世界が言いようのない質感を醸し出しています。
加工によって溶けるような味付けをしていて、これが良い感じなんですよね。エモいす。
まとめ
現在は、京都市立芸術大学で指導に当たりながら作家活動をされているそうです。この技法からまた新たな作品が作られることにも惹かれますね。注目していきたいと思います。
概要
吉岡俊直
「可塑性のある情景 Plastic Scenes」
会期 2018年8月17日~9月9日
会場 Gallery OUT of PLACE TOKIO
住所 東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 207号室
電話 03-6803-0248
開館時間 12:00~19:00
休館日 月曜日、火曜日、水曜日
観覧料 無料