サンシャワー 東南アジアの現代美術展@国立新美術館
ASEAN設立50周年。
東南アジアにおける1980年代以降の現代アートを、現地若手キュレーターを含む14名のキュレトリアル・チームで2年半も調査実施して企画された史上最大規模のアート展です。
森美術館でも同時開催されていましたが、国立新美術館しか行けませんでした、無念!
サンシャワー(天気雨)というタイトルが表現するように、表と裏というか、光と影というか、途上国が経済成長を遂げていく過程の中の有象無象が混在しているようで結構刺激的でした。表現を変えると、濃厚というか、アクが強いというか、ゆったりと見られない感じです。
生き様をえぐり取るような作品も見られました。特に政治的なメッセージを表現している作品など、重たい作品も多く、絵画のみならず映像やインスタレーションなど多彩な手法で展示されており、中身の濃い展示会となっていました。
政治色
なんと言っても政治的な色が濃い表現が平和な国「日本」に暮らす私たちには刺激的でした。
展示の前半に組み込まれていたので、冒頭から嫌な感じもしましたが、後半に比較的ゆったり見られる展示があったので救われました。避けて通れない展示なのでしょう。
映像作品
映像作品が多く見られたのも特徴的でした。
情報量が多く含まれる映像表現は、政治的なメッセージを最大化するのに適しているのでしょうか。
インスタ女子向けの企画も見え隠れしておりました。若い女性のお客さんも多かった気がします。
スラシー・クソンウォン
展示の最後に登場するのがスラシー・クソンウォンさんのインスタレーション。これはとっても面白い仕掛けでした。5トンもの糸だらけの部屋に金のネックレスが「9本」隠されていて、見つけた人には箱に入れてプレゼントしてくれるという企画です。
必死に探している来場者の姿を含めて1つの作品として完成されます。人間の欲望が目の前に繰り広げられるという生々しい表現です。実際皆さん結構必死に探していました(笑)。
糸の玉も結構探しづらくて、必死感を煽るような素材のチョイス。なかなか考えられていましたね。
同時開催されていた安藤忠雄展の大盛況っぷりからハシゴしてきたのですが、同じ国立新美術館でも来場者は雲泥の差。
東南アジアの現代アートは刺激的で、私たち日本人の平和な日常を改めて強く感じる形になりました。