Nerhol「Tenjin, Mume, Nusa」太宰府天満宮 宝物殿
福岡県にある太宰府天満宮で開催されていたNerholの個展「Tenjin, Mume, Nusa」に伺いました。
会場は太宰府天満宮の宝物殿です。
飯田竜太と田中義久によるアーティストユニットNerhol(ネルホル)の展覧会「Tenjin, Mume, Nusa」。
「天神」さま、天神さまが好まれた「梅」、そして神事には欠かせない「麻」を冠した本展では、Nerholにより選定された太宰府天満宮収蔵の文化財もあわせて展示されています。
紙の起源が麻であることを知り、麻を巡って日本文化を捉え直したときに、麻の紙に立ち返るべきと考えた二人は、職人の協力を得て、麻の繊維で紙を漉き、その紙を細切りし、紙を撚って糸にし、それを織機で織り100%麻の紙のキャンバスをつくりました。この気が遠くなるほど手間のかかる行為が彼らにとって積層そのものと言います。
平織りもしくはジャカード織りの使い分けで表情が変わるキャンバスの表面を穴が開くほど擦り、削りとって、そこに膠を塗り重ねています。表面でキラキラ光るのは膠で、この古来の画材のなかでも天満宮に縁の深い牛の膠を使っています。
梅の学名「Prunus mume」の「mume」は、日本の古語「むめ」から取られています。
太宰府天満宮の御神木である「飛梅」の動画をコマ割りの画像にしてプリント、それを時系列に重ねて彫っています。鏤(のみ)とグラインダーで荒彫りし、カッターで紙の断面になっているものを取り払い、さらに鑢(やすり)で削ることで、梅花の白と、紙の白、光の白などの様々な白を混在させた結果、素材の紙が際立つ絵画的な表現となっています。
展示室入口の《Untitled (Alec Soth)》は8年前に発表された作品ですが、3分の間に連写した200枚の写真を積層し、カッターで細かく切り取り、写真として見せることに重きを置いていた当時の作品に比べて、本作からは数十枚の積層を削ることで表出する景色への二人の関心の移ろいが見て取れます。
概要
太宰府天満宮宝物殿企画展
Nerhol「Tenjin, Mume, Nusa」
会期:令和6年5月11日(土)~8月4日(日)
※7/15を除く月曜休館
開館時間:9時~16時30分(入館は16時まで)
会場:太宰府天満宮宝物殿 第2・企画展示室
主催:太宰府天満宮
企画協力:Yutaka Kikutake Gallery