佐藤翠「Diaphanous petals」
佐藤翠さんの美術館初個展「Diaphanous petals」にお伺いしました。会場はポーラ美術館の「アトリウム ギャラリー」です。
本展のタイトルDiaphanous petalsは「透明な花びら」という意味で、展示6作品はすべて新作が用意されました。
佐藤翠さんは2017年にポーラ美術振興財団在外研修員として選ばれ、1年間フランスにて滞在していました。
代表作「クローゼットシリーズ」は、大学4年の修了作品からはじまりましたが、本展ではフランスの滞在中目にしたアパレルショップのショーウィンドウを描いた作品が中心です。
連作となった大作《Diaphanous pink window》は、いずれも同じショップの光景で、視点を変えて描かれています。
また、同じく発表された作品《Flōra》は、《Diaphanous pink window I》に描かれたドレスを中心に構成されています。
キャンパスの地が見えるように、透明な下地を塗ってから水分を多く含んだアクリル絵具で描きはじめ、途中から油絵具を使って制作されているそうです。光のきらめきや反射、ハレーションのような効果など、柔らかな作品の表情が伝わってきます。
大胆なストロークと滲んだ絵具の絵肌は、洋服やドレスに魂が宿っているようにも見えて、キャンバス全体から放たれるエネルギーを感じました。
大胆なストロークと滲んだ絵具の絵肌は、洋服やドレスに魂が宿っているようにも見えて、キャンバス全体から放たれるエネルギーを感じました。
≪Red sheer carpet≫ は、以前から続けているカーペットを描いたシリーズ作品です。
≪Paphiopedilums≫は、フランスのアトリエで静物画を研究した中で描かれた作品です。
アトリエでの制作は、複数作品が同時進行されており、抽象と具象を同時に描くことが佐藤さんのスタイルだそうです。
フランス渡航前は、抽象的な作品が多かったようですが、フランス滞在を通じて「具体的な描きたいモチーフが沢山あった」と話す通り、全体的に具象へ近づいた仕上がりになっています。
ポーラ美術館の1階ロビーに隣接した「アトリウム ギャラリー」は、ロビーを照らす自然光と佐藤翠さんの作品から放たれる光が重なり合い、鑑賞者に心地良い空間を提供しているようでした。
概要
佐藤翠
Diaphanous petals
会場:ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー
会期:2019年12月15日(日)~2020年4月5日(日)
時間:午前9時00分 ~ 午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:年中無休(展示替えのため臨時休館あり)
協力:小山登美夫ギャラリー