【Reborn‑Art Festival 2019】持田敦子《浮く家》島の空き家を浮かせる 網地島エリア

Reborn‑Art Festival 2019

今回が2回目の開催となる、宮城県の牡鹿(おしか)半島と石巻市街地を舞台とする祭典「Reborn‑Art Festival 2019(RAF2019 )」。単なるアートフェスにとどまらず、音楽や食も楽しめるお祭りです。

RAF2019は、7つのエリアに分かれ展開されています。
その一つが「網地島(あじしま)エリア」です。

今回初めて登場する網地島は、牡鹿半島から船で15分、人口約400名、周囲20キロの小さな島です。
この島は、手つかずの雄大な自然と、南方系の穏やかな雰囲気から東北のハワイと呼ばれてきました。

網地島エリア

網地島エリアのキュレーターは、和多利恵津子・和多利浩一夫妻で、テーマは「ネクスト・ユートピア」です。

牡鹿半島南西沖に浮かぶ島には、北側の網地と南側の長渡、二つの浜があります。
黒潮の影響で温暖な気候のため暖帯性植物が群生し、リゾート地としても人気です。
東北有数の透明度を誇る網地白浜海水浴場は毎夏多くの海水浴客でにぎわいます。石巻もしくは鮎川から船で渡ります。

持田敦子

持田敦子さんは、既存の空間や建物に、壁面や階段などの仮設性と異物感の強い要素を挿入し空間の意味や質を変容させることを得意とするアーティストです。
最近では《T家の転回》がCAF賞2018にて齋藤精一賞を受賞しており、注目が集まる作家さんです。

作品解説する持田敦子さん

網地島では過疎化や震災によって持ち主を失った空き家が多く、それを「宙に浮いた家」と考え、その中のひとつの家を実際に浮かせました。家を浮かせる、という発想が面白く、実際に形にするって凄いですね。

こちらが実際に浮かした家です。真ん中の切断面より左側が浮いているのが確認出来ます。

内部から鑑賞出来ますが、浮かしている構造を確認する事が出来ます。

「昔そこに住んでいた人や、その子どもの、伴侶の、妹の、だれかが、その家を継いでいるはずではあるが、彼らがその家に帰ることはない。
家は宙に浮いている。
地に足がつかず、まるで幽霊のように、見慣れたのっぺらぼうの顔を通りに向けながら」(持田敦子)

家の土台部分です

家の内部は畳も敷かれ(歪んでいる)、家具などが普通に置かれていました。

持ち主の家族と思われる写真も飾られていました。

屋内は通行可能なエリアが決められています。

ついつい覗き込んでしまいます。

家屋の外側からも鑑賞出来ます。

浮く家の関連ドローイングは2開のスペースに展示。

古めかしい照明機具です

持ち主の分からない空き家問題は、東京近郊の大都市でもますます増えていくことでしょう。
宙に浮く家は、私たちの近くにも存在するのかも知れません。

概要

Reborn-Art Festival 2019
会期:2019年8月3⽇(⼟)〜~9月29日(⽇) <58⽇間>
会場:牡鹿半島、網地島、石巻市街地、松島湾 (⽯巻市、塩竈市、東松島市、松島町、女川町)
※⽔曜⽇休祭予定<8⽉14日(⽔)およびイベント開催⽇は除く。> ※網地島エリアは8月20⽇(火)より開催
主催:Reborn‑Art Festival実⾏行委員会、APバンク
共催:宮城県、⽯巻市、塩竈市、東松島市、松島町、⼥川町、株式会社河北新報社、東日本旅客鉄道株式会社 仙台⽀支社、ヤフー株式会社
平成30年度文化庁 国際文化芸術発信拠点形成事業
協賛:株式会社木下グループ、キリン株式会社、住友林業株式会社、株式会社TSUTAYA、株式会社Tポイント・ジャパン
株式会社環境ステーション
連携事業:あいちトリエンナーレ2019、三陸防災復興プロジェクト2019、瀬戸内国際芸術祭2019