木彫、油絵、日本画、ドローイング
「木彫、油絵、日本画、ドローイング」という表現方法の異なる4人の作家による合同展にお伺いしました。会場は九段下の成山画廊です。
木彫は池島康輔、油絵は興梠優護、日本画は力(Riki)、ドローイングは金子英、それぞれの作品が、広くない画廊の空間に凝縮されていました。

成山画廊の入居する松岡九段ビル(2階205に入居)
池島康輔
池島康輔さんの彫刻は、ヤスリを使わないために、木肌の豊かな表情がそのまま味わえます。
シンプルに見えて、そこかしこに見えるディテールの細かさは、確かな技術力を感じます。
しかも、作品はそれぞれが自立できるように制作されているとのお話。
バランスを計算しながら、ここまでの作品を作り上げる腕前には脱帽です。

池島康輔さん展示作品

左:池島康輔《若獅子》cherry 2016年 右:池島康輔《玉梓》cherry 2014年

彩色された作品も美しかったです

手前:池島康輔《ルサンチマン/Ressntiment》Torreya 2018年 奥:池島康輔《朝/in the morning》cherry Japanese Cypress2016年
興梠優護
興梠優護さんは、アートフェア東京でも拝見していた作家さんで、優れたペインターという印象です。
新作は《/91》1点のみでしたが、流れるような筆の軌跡がぐぐっと迫って来るような勢いを感じました。良いですね!

興梠優護《/91》Oil on Canvas 2019年

左:興梠優護《/55》Oil on Canvas 2016年 右:興梠優護《/30》Oil on Canvas 2015年

興梠優護さん作品は額装無しの展示でした
力(Riki)
今回注目していたのが、若手作家の力さん、「リキ」と読みます。
初のコマーシャルギャラリーの展示となった今回の展示、画力の高さ、構成の巧さなど、完売も納得のクオリティでした。
最も印象的だった作品が蛇を描いた《Heart 1》。
額装が素晴らしくて、作品がさらに際立っているようです。

力(Riki)《Heart 1》2018年 Photo:Ryuji Tamaki
同じく、猫の作品も印象に残りました。
蛇の作品もそうですが、構図の取り方が面白くて、よく見ると空間が歪んでいるようにも感じます。
なんとも深い、そして上手い作品で、なんという若手作家だ!と言う印象でした。

力(Riki)《ミミ(Mimi)》2019年 Photo:Ryuji Tamaki

力(Riki)《Untitled》2018年 Photo:Ryuji Tamaki
次の2点のモチーフはなんでしょう・・・?
色んなことを想像しながら鑑賞してみましたが、ギャラリーの方に答え合わせを聞いてビックリ!なんと、お尻の穴なんだそうです。

力(Riki)《7》2019年 Photo:Ryuji Tamaki

展示風景 Photo:Ryuji Tamaki
完売ではありましたが、新作2点のが到着したばかりのタイミングに当たりました。
追加の新作でも、丁寧に額装した作品を展示するという、額装にこだわりを持つ成山画廊さんらしい作品の取り扱いです。

届いたばかりの作品2点。※写真の向きの通り、横向きの作品です。

良く見ると、背景には梵字が描かれています。

こちらも額のセンスが素晴らしいですね! Photo:Ryuji Tamaki
2020年には初の個展も開催予定との力さん。
今後の活躍が楽しみな作家さんです。
金子英
金子英さんの作品は、鉛筆で描かれています。
五木田さんを彷彿させるモノクロでスタイリッシュなイメージ展開ですが、手法は全く異なります。
切り取られて抽出して統合されたイメージは、全て鉛筆(グラファイト)で丁寧に描かれている作品です。

左:金子英《Untitled》2019年 右:金子英《Twice》2019年
版画のようにマットで額装しており、一瞬鉛筆で描かれたドローイングとは分かりませんでした。
鉛筆の動いているような痕跡を感じない硬質な第一印象のあと、ゾワゾワとする感覚が湧き出て来ました。
成山画廊で所蔵しているピエール・モリニエの作品が並んでいました。
センスの良さが爆発していて、こちらも表情が緩んできます。最高です。

左:金子英《Untitled》2019年 右:ピエール・モリニエ《Mon Cul》1965年

展示風景 Photo:Ryuji Tamaki
個性光る4人の作品が1つの空間に並び、濃厚な空気が漂っていました。
概要
木彫、油絵、日本画、ドローイング
会場:成山ギャラリー
会期:2019年6月20日〜8月10日
出展作家:力(Riki)、金子英(Ei Kaneko)、興梠優護(Yugo Kohrogi)、池島康輔(Kosuke Ikeshima)