【個展】日常視点からの気づきと脱却〜岩崎貴宏「Layer and Folding」GINZA ATRIUM (銀座 蔦屋書店 )

岩崎貴宏「Layer and Folding」

岩崎貴弘さんの個展「Layer and Folding」に伺ってきました。会場はGINZASIX内にある蔦屋書店のスペース「GINZA ATRIUM」です。

会場はGINZA SIX6階「蔦屋書店」内のGINZA ATRIUM

岩崎貴弘さんの個展はおそらく2017年10月のURANOさんで開催されたこちらの個展以来です。https://burart.jp/2017/11/takahiro-iwasaki-2017/

OUT OF DISORDER(アウト・オブ・ディスオーダー)

会場内に大きく展開されているのはOUT OF DISORDER(Frame)シリーズの5作品《Layer and Folding》です。

会場の広いスペースにそびえ立つ作品は主に日用品を使った作品で、地層のような黒色のレイヤーが重なった上に鉄塔と電線が建っており、フレームで囲われています。
屏風のように組まれた作品は立体作品でありながらも絵画的なフォルムを感じました。

レイヤーは柔らかい素材が使用されていました。

ワイヤーで作られた鉄塔

毛布のような素材。不安定な地盤を想起させます。

黒色の綿棒が異様な空間を演出しています

TECTONIC MODEL(テクトニック・モデル)

蔦屋書店のスペースと言うことで展示されているのがTECTONIC MODELシリーズ作品です。
書籍の栞紐(スピン)をほどいてクレーンを組み立てるという離れ業。書籍自体を建造物に見立てているような作品です。

左:《テクトニック・モデル(苔のむすまで)》 右:《テクトニック・モデル(震美術論)》

作品価格は50万円〜60万円です。なかなか手が出ない価格ですが、販売済み作品もありました。

《テクトニック・モデル(Kopfkissenbuch Sei Shonagon)》

左:《テクトニック・モデル(神秘日本)》 右:《テクトニック・モデル(本)》

読み古された本が栞紐を使って自己主張しているように見えて来ます。
生活の中にあるものを作品化することで、私たちが見逃している日常の生活視点を呼び起こしてくれるようです。

《テクトニック・モデル(History of Art in Japan)》

《テクトニック・モデル(Hiroshige,One Hundred Famous Views of Edo)》

本展とは離れますが、2018年12月に開催されたペチャクチャナイトに出演された際、岩崎貴宏さんご本人による制作作品についての解説がありました。参考まで掲載しておきます。

まとめ

銀座のど真ん中で郊外の情景を見せる作品の展示を行っていたり、私たちが日常的に触れている対象物を使って作品化している痛快さがありました。
私たちが見ている視点に対する挑戦のような岩崎さんのスタイルは、ベネチアビエンナーレへの参加をきっかけに世界的な活動に繋がっています。
本展は継続しているシリーズ作品の展示でしたが、新しい作品にも期待したいところです。
今後の活動を楽しみにしております。

概要

GINZA ART EXHIBITION:
岩崎貴宏 個展「Layer and Folding」
会期 2018年12月27日~2019年1月14日
会場 銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM(GINZA SIX)
開館時間 10:00~22:30
休館日 GINZA SIXに準ずる
観覧料 無料