絹谷幸二さんと言えばカラフルな富士山の作品がイメージに浮かぶ作家さんですが、北海道立近代美術館で開催された展覧会はそういったイメージよりも別の一面が強く印象に残るものでした。
本展は絵画作品だけでなく、素描や陶芸、ガラス作品、映像作品に至るまで、絹谷幸二さんの多彩な活動の全貌に迫ろうとするものです。
絹谷幸二さんと言えば富士山をモチーフにした作品です。期待に違わず展示されていましたが、展示点数は限られたものでした。
富士山の作品以外で印象的だったのは、作品の中に文字を入れたり、社会的な問題を表現したりするメッセージ性ある作品でした。撮影可能場所が限定的でしたのでご紹介することには限りがありますが、意外な印象を持ちました。
特殊な技法を使った作品制作や、社会的なテーマをモチーフに入れたりと、富士山のイメージとは異なる展示作品に意外性を感じました。また、カラフルな彩りの作品ばかりでない奥行きある展示になりました。素描を見ると素直で無駄のない線に魅力を感じました。
「平治物語絵巻」に敬意を表して描かれたのが《オマージュ 平治物語絵巻》。
左右の二つの画面から成り、左の《喝》には蔵王権現、右《空》には阿弥陀如来が空に浮かんでいます。
7つの龍神が並んだ作品はお見事でした。
以下、作品の部分的なマチエールをご覧下さい。画材は「ミクストメディア」とされていますが、岩絵の具や箔などを使っていますが、比較的ザラザラとしたマチエールです。
娘の絹谷香奈子さんと共作した作品《生命輝く》も展示されていました。
氷点下の札幌市内は冷たい空気が肌を突き刺すようで、東京から来た筆者にはなかなかタフなコンディションでしたが、絹谷幸二さんの画業の奥深さを感じることが出来ました。
概要
絹谷幸二
「色彩とイメージの旅」
会場:北海道立近代美術館
会期:2018年12月8日(土)~ 2019年1月27日(日)
開催時間:09:30~17:00
※月曜休館(ただし12/24、1/14は開館)、12/25、12/29〜1/3、1/15休館
※入場は16:30まで