【News】日本美術展史上最大の「フェルメール展」10月開催〜東京展は初公開作品含む9点が登場!

フェルメール展

「フェルメール展」が上野の森美術館と大阪市立美術館で、2018年から2019年にかけて開催されます。
当初予定された8点に加え、日本初公開作品となる「取り持ち女」を加えたヨハネス・フェルメールの作品合計9点が展示予定です(東京展・作品の入れ替えがあります)。

ヨハネス・フェルメール《牛乳を注ぐ女》1658年-1660年頃  アムステルダム国立美術館Rijksmuseum. Purchased with the support of the Vereniging Rembrandt, 1908

女性が牛乳を注ぐのに没頭している様子を描いている。注がれる牛乳以外のすべてが静寂に包まれ ている。フェルメールは単調な日常の所作を、「明るく照らされた室内に彫像のように立ち尽くす女 性」という印象的な絵画に仕立て上げた。フェルメールはまた、細かい粒子で構成される光が、物の表面をどううつろうのかを観察していた。

 

 

フェルメールは寡作の画家として知られ、現存する作品はわずか35点ともいわれていますが、「フェルメール展」では日本初公開を含む9点のフェルメール作品が展示予定です(東京展)。これは、2008年に東京都美術館で開催されました「フェルメール展」での7点を超す 国内過去最多の展示となります 。

東京展の4つの見どころ

2018年10月5日~2019年2月3日に開催となるフェルメール展(東京)は、大きく4つの見どころがあります。
1. 日本美術展史上最多のフェルメール作品9点が東京に集結
寡作で知られ現存作35点ともいわれるフェルメール作品が、欧米の主要美術館から特別に9点も貸し出されます。その中には、日本初公開の「ワイングラス」、「赤い帽子の娘」 も含まれます 。
2. 奇跡の「フェルメール・ルーム」
キャリアのほぼ全段階から選ばれた9点のフェルメール作品は、ひとつの部屋に展示されます。その名も「フェルメール・ルーム」。 フェルメール本人も目にしたことのないであろう奇跡の光景が広がります。
3.「日時指定入場制」と「音声ガイド全員無料」
大変な混雑が予想されるため、東京展では「日時指定入場制」を採用し、お客さまをご入場の際に、長 時間お待たせせずご覧いただく運営をめざします。また、来場者全員に音声ガイドを無料でご提供し、 より快適 に作品と向き合える、かつてない贅沢なひとときをおとどけします。
4. 17世紀オランダ絵画の傑作約50点
フェルメール だけではなく、ハブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンらオラン ダ同時代の絵画約50点を通して、17世紀オランダ絵画の広がりと独創性をご紹介します。

以下、東京展で展示予定の作品です。
教科書や画集で見たことがある作品をこの目で鑑賞出来る特別な機会です。楽しみですね!

ヨハネス・フェルメール《マルタとマリアの家のキリスト》1654-1655年頃 スコットランド・ナショナル・ギャラリーNational Galleries of Scotland, Edinburgh. Presented by the sons of W A Coats in memory of their father 1927

現存するフェルメール作品の中で、最も大きく、最初期作のひとつ。画中ではキリストが、家事を心 配するマルタをよそに、座ってキリストの教えを聞こうとするマリアを讃えている。光と影の戯れ、人物の特徴づけ、幅広で厚く絵の具をのせた筆さばきは、カラヴァッジオの影響下にあったユトレヒト派の画家からインスピレーションを受けたと考えられる。フェルメールにはめずらしい大きなサイズや主題から、特別な依頼を受けて制作されたものと推測される。

ヨハネス・フェルメール《手紙を書く婦人と召使い》1670-1671年頃  アイルランド・ナショナル・ギャラリー Presented, Sir Alfred and Lady Beit, 1987 (Beit Collection) Photo © National Gallery of Ireland, Dublin NGI.4535

幻想のような現実を描き出すことにおいて、フェルメール作品は、他に類を見ない芸術的なレベルに 到達した。描かれる人物はしばしば寡黙で動きが少なく、絵画に厳粛でミステリアスな雰囲気をもたらしている。この絵画はフェルメール後期の最も独創的な作品のひとつ。召使いの女性が窓の外を眺 めている間に女主人が手紙を書いている。床には、この時代のやりとりで使われたであろう赤い封印、 ストック状のシーリングワックス(封蝋)などが落ちている。

ヨハネス・フェルメール《ワイングラス》1661-1662年頃  ベルリン国立美術館 © Staatliche Museen zu Berlin, Gemäldegalerie / Jörg P. Anders ※日本初公開

初期から中期へさしかかる過渡期の作品。テーブルの上には楽譜、椅子には古楽器のリュートが置かれ た「愛」を暗示する室内で、黒い帽子の男性が女性にワインを勧めている。ワインを飲む女性の視線の先には半開きのステンドグラスの窓があり、その中央には馬具を持つ女性が描かれている。手綱を持つ女性は伝統的に「節制」を表すため、室内での色恋沙汰を戒める寓意と考えられている。

ヨハネス・フェルメール《手紙を書く女》1665年頃  ワシントン・ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art, Washington, Gift of Harry Waldron Havemeyer and Horace Havemeyer, Jr., in memory of their father, Horace Havemeyer, 1962.10.1

17世紀のオランダでは郵便制度の発達に伴い手紙でのやり取りが 盛んに行われた。フェルメールも手紙をテーマに6点の作品を描いている。毛皮付きの黄色い上着姿の女性は、机に向かい羽ペンを走らせている真っ最中である。ふと筆を休めた彼女は、絵の前に立つ我々を見つめるかのようにこちらに顔 を向ける。穏やかな光の中で優しく微笑む女性。耳元の真珠のイヤリングに光の粒が輝く。当時、人々が憧れ、親しんだ手紙をめぐる情景を、フェルメールは美しい女性像を通じて描き出している。

ヨハネス・フェルメール 《赤い帽子の娘》1665-1666年頃  ワシントン・ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art, Washington, Andrew W. Mellon Collection, 1937.1.53 ※12月20日(木)まで展示 ※日本初公開

真っ赤な帽子をかぶり、振り向くようにこちらに視線を向ける女性。帽子に遮られ、彼女の顔のほとんどは影に覆われているが、左頬は明るく照らし出されている。耳元の真珠、瞳や鼻先にも光の粒が描き込まれ、少し開いた口元はつややかに輝く。背景にタペストリーが掛かる薄暗い部屋の中に存在感たっぷりに浮かび上がる女性の姿。細部にわたる緻密な描写や絶妙な配色など、フェルメールの 卓越した筆さばきを随所に見つけることができる。

ヨハネス・フェルメール《リュートを調弦する女》1662-1663年頃  メトロポリタン美術館Lent by the Metropolitan Museum of Art, Bequest of Collis P. Huntington, 1900 (25.110.24). Image copyright © The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NY

薄暗い室内に一人腰掛ける女性はリュートを抱え、弦をかき鳴らす。左手でペグをつまみ、音階を整えている。遠く窓の方に視線を向ける様子は見る者の想像力をかき立てる。窓越しに何かを見つめているのか、それとも耳を澄まし、音を追うことに注力しているのか。机の上には楽譜らしきものが重なる ように置かれ、壁には、ときに絵の中で、愛する人が遠い彼方にいることを示唆する地図が描き込まれている。

ヨハネス・フェルメール《真珠の首飾りの女》1662-1665年頃 ベルリン国立美術館 © Staatliche Museen zu Berlin, Gemäldegalerie / Christoph Schmidt

黄色いカーテンがふわりと掛かる窓辺からやわらかな光がさしこむ。室内に立ちすくむ女性は真珠の 首飾りを結ぼうとリボンを手に、壁にかかる小さな鏡を見つめている。かすかにほころぶ口元と宙を 見るような甘い眼差し。身支度にいそしむ女性が見せるふとした表情をフェルメールは静寂の中に描 き出している。机の上には白粉をはたくブラシや銀色の器が並び、光に照らされる白い壁を中心に据える斬新な構図は画家の空間表現へのこだわりを物語る。

大阪展

なお、東京展の後に開催される大阪展は2019年2月16日~5月12日開催予定です。大阪展にしか展示されない作品がありますので、完全制覇されたい方は要チェックですね。

ヨハネス・フェルメール《恋文》1669-1670年頃  アムステルダム国立美術館Rijksmuseum. Purchased with the support of the Vereniging Rembrandt, 1893  ※大阪展のみ展示

概要

展覧会名:フェルメール展
会 場:上野の森美術館 ※大阪展は2019年2月16日~5月12日開催予定
会期:2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日) ※12月13日(木)は休館。
開館時間:9時半~20 時半(入館は閉館 30 分前まで、開館・閉館時間が異なる日もあり)
日時指定入場制:待ち時間緩和を目的とし、入場時間を6つの時間帯に分けた前売日時指定券(当日日時指定券料金は+200 円)での入場を原則としており、当日日時指定券は前売販売に余 裕があった時間枠のみ販売。
一般 2500 円、大学・高校生 1800 円、中学・小学生 1000 円、未就学児は無料
主 催:産経新聞社、フジテレビジョン、博報堂 DY メディアパートナーズ、上野の森美術館
後 援: オランダ王国大使館
企 画:財団ハタステフティング
特別協賛:大和ハウス工業株式会社、ノーリツ鋼機株式会社
協 賛:第一生命グループ、株式会社リコー
特別協力:NISSHA株式会社
協 力:ANA、KLMオランダ航空、日本貨物航空、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン