【大回顧展!】乳白色の輝ける美しさに魅了!「没後50年 藤田嗣治展」@東京都美術館

没後50年 藤田嗣治展

2018年開催の展覧会で最も期待する企画「藤田嗣治展」に伺ってきました。会場は上野・東京都美術館です。

「没後50年」という節目の年に開催される本展覧会は、多くの点で過去に無い仕上がりを見せております。「史上最強の藤田嗣治展!」として歴史に刻まれていくことでしょう。以下にポイントを整理しました。

  1. 質・量ともに史上最大級の展覧会である
  2. 欧米の主要な美術館から多くの作品が来日
  3. 藤田の代名詞「乳白色の下地」による裸婦10点以上が一堂に会します
  4. 猫好きが喜ぶ「猫画」の数々
  5. 圧倒的なマチエール(絵肌)

以下にそれぞれのポイントについて記述していきたいと思います。

【1】質・量ともに史上最大級の展覧会である

 

画家・藤田嗣治(レオナール・フジタ、1886-1968)は、明治半ばの日本で生まれ、80年を超える人生の約半分をフランスで暮らし、晩年にはフランス国籍を取得しました。ゴッホを代表するように没後に評価された画家ではなく、早くから国際的に評価され、フランスに長く滞在したこともあって広く海外に作品が所蔵されている背景があります。

「没後50年展」と言うメモリアルイヤーを迎えるにあたり、日本はもとよりフランスを中心とした欧米の主要な美術館の協力を得て、重要な作品を含めて精選された作品「約120点!」が一堂に集まりました。まさに「画業の全貌を展覧」と言っても過言では無いでしょう。

「自画像」 1929年 東京国立近代美術館蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

代表作だけではなく、いままで見たことも無い作品も含めてボリュームがある展示でした。

「二人の少女」 1918年 油彩・カンヴァス プティ・パレ美術館(スイス・ジュネーヴ)蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

【2】欧米の主要な美術館から多くの作品が来日

 

本展覧会の監修を手掛けた美術史家の林洋子さんのお話しにもありましたが、「2013年から5年間かけて実現した。驚くべき打率で作品が集まった」と仰るように、パリのポンピドゥー・センター、パリ市立近代美術館、べルギー王立美術館、ジュネーヴのプティ・パレ美術館、アメリカのシカゴ美術館など、欧米の主要な美術館から約20点の代表作が集まりました。初来日作品も含まれており、お見事と言うほか無い成果を目の前にする事が出来ます。

© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 

「フルール河岸 ノートル=ダム大聖堂」1950年 油彩・カンヴァス ポンピドゥーセンター(フランス・パリ)蔵  © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

本展覧会は、「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」「作戦記録画(戦争画)」などのテーマを設けて、最新の研究成果も盛り込みながら藤田芸術をとらえ直そうとする試みです。モチーフや描き方が異なる様々な表現の引き出しを楽しむ事が出来ました。

「礼拝」1962-1963 油彩・カンヴァス パリ市立近代美術館(フランス)蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 

【3】「乳白色の下地」による裸婦10点以上が集結!

 

藤田の代名詞ともいえる「乳白色の下地」による裸婦画が10点以上も集まっています。
数年前に修復を終えた大原美術館の「舞踏会の前」や、東京国立近代美術館の「五人の裸婦」など国内の代表作に加え、ポンピドゥー・センターやプティ・パレ美術館など海外からも、「乳白色の下地」による裸婦、なかでも最盛期1920年代の作品が集います。

2006年春、東京国立近代美術館で行われた藤田嗣治展の図録で表紙にもなった「タピスリーの裸婦」もしっかりと展示されていました。

「タピスリーの裸婦」1923年 油彩・カンヴァス 京都国立近代美術館蔵© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

乳白色の作品はもちろん裸婦以外にも沢山ありますが、その色を鮮やかに見せる役割の1つ「細くて柔らかい黒い線」にも魅了されました。写真では伝わらないエモーショナルなタッチは是非肉眼でしっかりと体感して頂きたいと思います。

【4】猫好きが喜ぶ「猫画」の数々

展示作品を拝見して、改めて「猫好き藤田」を感じるところがありました。猫をもチーフに取り入れた作品は数多くあり、猫自体を愛でる作品もあれば、時に比喩的に取り入れている作品も含まれていて印象的でした。

© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

「争闘(猫)」1940年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵 © Fomdation Foujita/ADAGP,Paris&JASPAR,Tokyo,2017 E2833

【5】圧倒的なマチエール(絵肌)

展覧会での醍醐味は、なんと言っても「間近で作品を見られる」ことです。そして藤田作品の場合は、乳白色の肌色を作るときに「ベビーパウダーを使う」エピソードがあるように、非常に繊細な絵肌であり、グッとくる何かを感じるエネルギーが含まれているようです。

© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

「エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像」1922年 油彩・カンヴァス シカゴ美術館蔵 © Foundation Foujita/ADAPAGP,Paris&JASPAR,Tokyo,2017 E2833 ※日本初出品

衣装の青色に含まれる白い斑は、良く見ると絵の具が良い感じに割れていて、自然な模様に見えるような計算を感じました。

「エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像・部分」© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

是非とも見て頂きたいのは「生の乳白色作品」。とっても綺麗で女性の肌がそのまま生き移ったかのようです。

© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 

「カフェ」 1949年 油彩・カンヴァス ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)蔵 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

まとめ

どの作品も素晴らしく、展覧会全体を構成する会場の空気が濃密で、心が作品に奪われていくような感覚でした。まさに力が入った渾身の展覧会で、藤田嗣治の画業に相応しい完成度です。藤田嗣治ファンはもちろん、多くの方にオススメする本年度筆頭に位置付けられる美術展では無いでしょうか。

会場出口にはフォトスポットが用意されていました。しりあがり寿さんの可愛らしいイラストで現実に引き戻されるような感覚が起こりました。

「尻上がり寿」さんのイラストが味わい深いフォトスポット

おまけ

 

時間があれば、上野公園内の国立西洋美術館にまで足を運びたいです。
常設展で藤田作品「坐る女」を見ることが出来ます。

入場料500円で他の作品も観覧できますよ。

 

概要

没後50年 藤田嗣治展
会場:東京都美術館 ※京都開催有り。
会期:2018/7/31(火)~10/8(月・祝)
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
金曜は9:30~20:00 ※ただし、8月の金曜は 9:30~21:00
休館日 月、9/18(火)、25(火)
※ただし、8/13(月)、9/17(月・祝)、24(月・休)、10/1(月)、8(月・祝)は開室
観覧料(団体料金) 一般 1600円(1400円)、大学生・専門学校生 1300円(1100円)、高校生 800円(600円)、65歳以上 1000円(800円)

展示リスト一覧(PDF)