【個展】岡﨑乾二郎「而今而後 ジコンジゴ」東京都現代美術館

岡﨑乾二郎「而今而後 ジコンジゴ」東京都現代美術館

日本を代表する造形作家・岡﨑乾二郎さんの集大成的な展覧会「而今而後 ジコンジゴ」を東京都現代美術館で鑑賞しました。

岡﨑乾二郎さんは、日本の現代美術のなかでもユニークな位置に立つ作家であり、造形・理論・教育・批評のすべてを横断する稀有な存在です。

本展は、その広範な実践の集大成でありながら、「回顧」ではなく、未来へと開かれた創造の現在形を体験できる展示です。

1階 | 2020年までの仕事

1階フロアの展示は、岡﨑乾二郎さんの造形と絵画の初期から現在への発展をたどるゾーンとして、様々な作品が時系列順に展示構成されていました。

洋服の型紙(ドイツ雑誌『burda』)に着想を得た造形が紹介され、人体の線を立体に転写する岡﨑さんのユニークな造形思考が実感できます

洋裁誌付録の型紙と、そこから選び出した線のドローイング、ドローイングの線を反映したマケット
展示風景〜あかさかみつけシリーズ
《17時27分》1987年
展示風景
《Blue Slope》1989年
《くしゃみ(心を口の中にいれておく)》2010年
展示風景

2階 | interlude

2階フロアでは、2021年の脳梗塞入院中に描かれた絵画や、それに関連する作品が展示されていました。

《頭の上を何かが》2021-2022年

作品《頭のうえを何かが》は、岡﨑乾二郎さんが2021年に脳梗塞で倒れた直後から、入院中、リハビリの途上で描かれたドローイングです。発症から約1ヶ月後、ようやく右手に麻痺からの動きが戻り始めたタイミングで、差し入れられた太い色鉛筆を握って描きはじめたそうで、時間の経過と共に作品が変化していく様子が印象的でした。

3階 | 2022年からの仕事

3階フロアでは、新作・近作が中心に展開されていました。

ここでは、岡﨑乾二郎さんが大きな病を経て迎えた創作の転機以降の表現世界が、極めて密度高く提示されていました。とにかく作品数に圧倒されます。

展示風景
展示風景
《To the air which we below call clear and transparent——the pure heaven——‘what a difference the east wind does make to some people!’——It is the sun, with its coppery glow, sent forth no rays while our earth lay wrapped in an orange-colored mist.The rainbow spread from the dark through the blue air. She heard the song of the birds but dreamt nothing about going out to the wide world.It never entered her mind. The scent of apple orchards was charming, she seemed to taste its sweetness.》2024年
展示風景
《物質の隔たり、魂の繫がり》2020年

写真のように、従来より一段とスケールアップした巨大な立体作品が数多く展示されていました。粘土原型を高精細スキャンし拡大複製されたこれらは、圧倒的な存在感を放っていました。

展示風景
展示風景
《Heaven’s Path Dim —Threads Rise to Light, Lines Seek the Deep》2025年

さいごに、館内のミュージアムショップ「NADiff contemporary」脇には、小規模ながらも趣向が凝らされた展示スペースが設けられていました。

展示風景

 

概要

展覧会名|岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here
会  期|2025年4月29日(火・祝) -7月21日(月・祝)
開館時間|10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日|月曜日(5月5日、7月21日は開館)、5月7日
会  場|東京都現代美術館 企画展示室 1F/3F
観覧料|一般2,000円/大学生・専門学校生・65 歳以上1,400円/中高生800円 小学生以下無料
主  催|東京都現代美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
問 合 せ|03-5245-4111(代表)

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