【初個展】井村一登「mirrorrim」日本橋三越本店 コンテンポラリーギャラリー

井村一登「mirrorrim」

井村一登(Kazuto Imura)さんは京都市立芸術大学卒業後、2017年に東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻を修了した作家です。

初個展となる本展では、鏡の歴史を独自に解釈し、鏡としてこれまで使用されてきた様々な素材・技法を再構成した8シリーズの作品が展示されていました。

展示風景

本展のタイトル「mirrorrim」は、mirror(鏡)とrim(縁)を組み合わせた造語です。鏡に縁取られた人と像の展示です。

鏡の歴史とルッキズムについて研究する井村さん、鏡として存在するあらゆる素材、技法を分解、再構成し「自分が映らない」鏡を制作しています。

精神分析家ジャック・ラカンの理論である鏡像段階論によれば、鏡に映した自身の像、または他者を見ることで身体は一体であることを知ることは自己認識の入り口であるという。自身という存在のみではそれは得ることができず、像や他者との比較から身体的統一性を獲得する。

客観的に、あるいは俯瞰で考察するという行為も、脳内に自身の像を映し、他者と比較することで可能になる。ルッキズムや人を動かす負の感情は常に比較、つまり相対性によって生じる。

私は、鏡を構成する素材と技法を研究し、それを独自に変化させ、自身が映らない鏡を制作している。それは一時的に比較を放棄させ、自身を絶対的だと認識する装置である。

井村一登

 

《spherical mirage building》シリーズ

《spherical mirage building No.5》2021年 アクリルミラー、ガラスミラー、ステンレスミラー、LED 30×30×16cm

展示風景

《wall-ordered ellipsoid》2021年 ガラスミラー、LED 35.8×67.8×14.4cm

《wall-ordered underscore》2021年 ガラスミラー、LED 33.4×33.4×9,2cm

マジックミラー塗装を施した以下の作品も印象的でした。

《mirror in the rough 7969g》2020年 ガラス塊、塗料 26.6×16.8×20.5cm

《box ordered signal》2021年 アクリルミラー、LED 75.7×15.7×15.7cm

《box ordered signal》※Detail

《box_ordered400》 2020年 アクリル鏡、LED 40×40×16cm

展示風景〜奥:《narcissu telescope》水、アルミ皿 Φ 100×33

コンセプトの軸が明確で、作品のイメージが独創的で、力強い作品を見ることが出来ました。

概要

井村一登(Kazuto Imura)
「mirrorrim」

会場:日本橋三越本店 本館6階 コンテンポラリーギャラリー
会期:2021年6月1日(火) ~ 2021年6月7日(月)※6月5日(土)、6日(日)は休業
時間:10:00〜19:00 ※最終日は午後5時終了