KUAD ANNUAL 2020
京都造形大学の選ばれし学生による企画展「KUAD ANNUAL 2020」に伺いました。今回のテーマは「フィールドワーク」です。
本展は、京都造形大学による企画で、片岡真実教授(森美術館館長)がキュレーションする展覧会です。
出展者は学部3年生以上から選ばれ、12人と3組の学部生・院生の作品が展示されました。
[片岡真実教授による展覧会ステートメント]
フィールドワークからどんな世界が見えたのか?
フィールドワークがいかにアートになるのか?今日、現代アートと呼ばれるものは、多様化する「世界」を俯瞰し、そこに投影された過去を再考し、さらに未来を考える総合的な領域として拡張しています。メディアや図画工作的なテクニックの問題に限定されず、現代アートはあらゆる分野と接続しながら、「世界」を学ぶガイドブックでもあります。したがってアーティストは、自らの内面を見つめるだけでなく、自分の立ち位置と他者、現在と過去、とりわけ語られない歴史などを相対化させ、人類や地球の未来のために総合的な叡知を伝えていかなければならないのです。
「KUAD ANNUAL 2020 」では、「世界の教科書としての現代アート」を「フィールドワーク」という視点から探ります。フィールドワークは、多様な分野で採用される研究方法で、自ら対象となる場所に赴き、参加、観察、記述するものです。本展ではそれを、自らの体験と観察、他者との対話等によって私たちが生きている現代世界を学ぶ機会として捉えています。参加アーティスト15名(組)が多様な関心からフィールドワークを進め、そこから見えてきた世界をいかに芸術作品として転換したのか、ご高覧いただければ幸いです。
片岡真実
太田桃香「山でダンス」
本展で注目したのが学部4年生で選ばれた太田桃香さん。
テーマとなった「フィールドワーク」に合致したテーマで絵画を制作するペインターです。
支持体はパネルやキャンバス、段ボールなどを問わず、油絵の具やペンキで描いています。
海に近い場所にある静岡県出身の太田さんは、京都造形大学の油画科に通う中、三方を山で囲まれた京都盆地の環境に影響され、「山」をテーマに絵画制作を行っている作家です。
展示方法は、鑑賞者が追体験出来るように山々をイメージできるように作品配置されていました。
好きな作家は「ラウル・デ・カイザー(Raoul De Keyser)」と話す太田桃香さん、それぞれの作品に応じてたくさんの緑色を使い、空間を演出していました。
新型コロナウィルスの影響で、上野公園界隈の人手は少なく、本展の鑑賞者も閑散としていました。
タイミング良く在廊されていた太田桃香さんにいろいろな話を聞くことが出来ました。
こちらの矢継ぎ早の質問に対して、言葉を選びながらも制作のコンセプトや手法について、よどみなく的確に答えて頂きました。自作についての説明をキチンと言語化出来る学生作家さんは意外に少ないと思います。
本展開始の直前に「愛知県芸の大学院に合格」して、プロ作家の道へ真っ直ぐに進むことを選んだようです。
今後の作品にも注目していきたいと思います。
概要
KUAD ANNUAL 2020 フィールドワーク
世界の教科書としての現代アート
会場:東京都美術館 1階 第2・第3展示室
期:2020年2月23日(日)〜2月26日(水)
時間:9:30 〜 17:30(入場は午後5時まで)
関連在学生:石黒健一、太田桃香、風間大槻、梶原瑞生、川上春奈、孫天宇、高田美乃莉、人見詩央里、本田莉子、山本奎、 山本友梨香、吉田彩華、201 artects.(内納耀平、椿野成身)New Villagescape(石田雄琉、岩元彩菜、岡田美巴耶、清水真奈、羽田野葵、藤川美空、義村凌央、山口竜輝、山月智浩、吉増比何里)、大学院グローバルゼミ(Leia Barela Roach、Nicholas Locke、塚本淳、Liu Yenting)