絵画のゆくえ2019〜FACE受賞作家展
新進作家公募コンクールとして定着している「FACE展」。
本展は2019年FACE展の直前に開催された展覧会で、過去の受賞作家の「今」を展示する試みの企画展です。
こうした「受賞後」をフォローする取り組みは、賞を与えて終わり、ということではなくて、作家を継続的に支援している取り組みで素晴らしいですね。
本展は11人の作家による絵画展です。
以下、筆者の主観でコメントしました。
遠藤 美香
大きな版画作品。大きさの勝利。作品内のモチーフが解き放たれているような自由さがある。
唐仁原 希
キャンバス内の空気を支配してコントロールしている。立体の紙作品クオリティが素晴らしい。
耽美系のカテゴリには収めたくない作家さん。今後が楽しみ。
三鑰 彩音
徹底的に自分の才能を突き進んでいる。美人で綺麗な女性画は安定した支持を集めるだろう。次、が見てみたい作家さん。
松田 麗香
私たちの社会に目を移しても同じように、ストライプの線が線では無いことに気がつくと自分の視覚や意識を疑う。
しかし、筆者はストライプが好きなので、本作品も楽しんでみることが出来た。線の良さがある。
青木 恵美子
キャンバスを土台にした立体作品。立体作品が平面に置き換えられたとも考えられる。もはや平面も立体もカテゴライズする必要は無いのかも知れない。
大石 奈穂
柔らかで質感の優しい油彩。物質感はあるけれど、油絵の具の香りがしないような無機質感も共存する。
石橋 暢之
ボールペンがでありながら濃淡をコントロールしている。隠された技術が溢れ出るような作品。
杉田 悠介
「間」を描かせたら随一ではなかろうか。
間こそ全て。小さいからこそ存在が確認出来る。作品を求めてみたい作家。
仙石 裕美
構図の勝利ではなかろうか。構図の重要性を問いかける作品の数々。色彩感覚にも脱帽
阿部 操
全身を映し出す肖像画って、あまり見ないよなぁ・・・という気づきがある。現代女性に共感するようなモチーフの数々はファッショナブル。
井上 ゆかり
風景画のモチーフは実在するのだろうか?記憶のどこかにあるような風景は、誰もが想い出すような共通項があるのかも知れない。
本展の出品作は合計で60作品。
いずれも作品のレベルは高かったと思いますが、配布されているリストではほとんどが「作家蔵」というクレジットでした。
譲り渡された作品は60作品中わずかに「3作品」。
サイズの大きな作品が多かったものの、美術館やコレクターなどに渡ることで作家としての認知が上がるものです。
美術館内での商取引は難しいとしても、作家が制作を続けていけられるような取り組みがあれば、なお良かったと思いました。
概要
会期:2019年1月12日(土)~2月17日(日)
休館日:月曜日(ただし1月14日、2月11日は開館、翌火曜日も開館)
会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
開館時間:午前10時-午後6時
※入館は午後5時30分まで
観覧料:600円 ※高校生以下:無料
出展作家:遠藤美香、唐仁原希、松田麗香、青木恵美子、石橋暢之、三鑰彩音、大石奈穂、杉田悠介、仙石裕美、阿部操、井上ゆかり