【合同展】布施琳太郎キュレーション「孤独の地図」@四谷未確認スタジオ

四谷未確認スタジオの展示にお伺いするのは5回目くらいになるでしょうか?
毎回入場料の「500円」をお支払いして、楽しませて頂いています。

今回お伺いした展覧会「孤独の地図」」は作家、布施琳太郎さんのキュレーションによって開催されています。

入場時に会場地図が配布されます。

布施さんの作品は写真に直接指を使って描く作品、手は一切使わず、スプレーだけで描かれた作品など、デジタルネイティブ時代に象徴的な作品制作が注目されます。

岩崎広大さんの作品は面白い視点で楽しめました。
カメラのレンズを小さなのぞき穴から被写体を撮影した作品です。

標本にプリントする作品もありました。こちらも岩崎さんの作品です。

cottolink feat.小御門早紀さんによる3Dモデリングの展開図の作

地図は文字よりも古い。しかしこのことは地図が文字よりも単純であることや、地図から進化して文字が生まれたことを意味するのではない。地図とは人間の世界認識を外部化するメディアかつインターフェイスである。それはシンプルな形態をしているが、そこには人間の複雑な思考が圧縮されている。

地図は単に目的地へと至るための道のりを図示するわけではない。地図には、それぞれの時代・地域・慣習によって異なる仕方で認識された世界の形態が表象される。例えば先史時代においては、住居や狩場などの複数の場所が人間社会の優先度や関心に応じて自由に拡大縮小されながら砂上や獣皮などに記述された。あるいは古代ギリシャにおいては、数学や天文学を用いて計測された地球が球体であるという結果によって、地図の形式が変化した。そして西洋中世においては世界はローマを中心とした平面として認識され直したのである。それぞれの地図を見ることは、それを利用する人間ごとに異なる世界の形態を、垣間見ることなのだ。

では今日、どんな地図を描くことができるのだろうか。

地図は、動的で有機的な世界を、静的な型の中に歪めて畳み込むことによって生成される。この企画では、今日の世界の形態を表象して地図化することに、足を踏み入れていると考えることができる作家の作品を集めた。これらの作品は展覧会のなかで併置され、1枚の地図へと再構成される。

こうしたプロセスの中で取り返されるのは、地図と人間の関係において根本的で、無視することのできない「孤独」という性質である。孤独とは自分が自分自身に話しかける時間だ。人間が地図を描くとき、あるいは見るとき、自分自身と世界を構成する諸対象は1つの地平に併置される。そこでは自身の知覚を身体から切り離し、世界の外部に仮設することが試みられる。これこそが孤独である。領土からの浮遊。つまり主観と客観のやりとりによる様々な境界の措定、他者とのコミニュケーション、過去と現在による未来の予期。そしてこれらの外部に仮設された人間の知覚は世界を認識し直すのだ。そのための仮設に向けて――孤独による芸術の生産ではなく、芸術による孤独の生産のために――「孤独の地図」はリリースされる。

布施琳太郎

5回も会場に通うと、色んなモノが見えて来ます。
今後の検討に期待するとして、本展を体験した気付きを以下に記しておきます。

なお、弊サイトは検索流入が圧倒的に多いのですが、本展や四谷未確認スタジオに興味があってアクセスしていただいた方は、以下の点にご留意頂けましたら幸いです。まだまだ若い作家さんたちが多いので温かい目で見ていただければと思います。

四谷未確認スタジオこれまでの展示と本展の印象を統合したま改善希望まとめ
  1. 500円の入場料は同一だが、展示内容にバラツキがある
  2. 作品リストMAPの用意があるが、記載漏れや記載不備がほぼ毎回ある
  3. モノを食べながら接客している関係者がいた(本展)
  4. プライスリストが無い(会期冒頭のため間に合わなかった)

もちろん今後、色んな変化を遂げていくことを期待しております。
※このまま緊張感なく惰性で続けて行って欲しくない。

概要

『孤独の地図』
会期:2018/12/1-12/16 木金土日のみ
時間:13:00-20:00
会場:四谷未確認スタジオ
入場券(地図):500円

企画/配置:布施琳太郎
作品:
布施琳太郎
永田康佑
岩崎広大
cottolink feat.小御門早紀
引用:最果タヒ
※アート支援メディアとして珍しく辛口な記事でした、スミマセン。