【企画展】「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」@国立新美術館

オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展

東京・六本木の国立新美術館で開催中の「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」にお伺いしてきました。

国立新美術館は乃木坂駅から直接繋がっているアクセスが嬉しいですね。

同時に開催している東山魁夷展は混雑しているようですが、こちらのピエール・ボナール展はそれほどでも無く、日本ではイマイチ知名度が低くメジャー感が無いことも一因かも知れません。 事前のPRが見どころとして推していたポイントは下記の5つでした。

  1. オルセー美術館のボナール・コレクションが一挙来日!約30点の絵画は初来日
  2. 「日本かぶれのナビ」と呼ばれたボナールの日本美術への傾倒ぶりを紹介
  3. 見ることのプロセスを絵画化した「視神経の冒険」に迫る
  4. ボナールのミューズ、謎多き女性マルトが展覧会を彩る
  5. ボナールの愛した犬や猫があちこちに登場

実際に鑑賞して筆者が印象に残ったのは、以下の3点です。

【1】日本美術への傾倒

入場してすぐの展示場所では「日本かぶれのナビ」を第1章として、日本を意識した作品が並んでしました。
確かに「日本かぶれ」であることで、日本美術を強く意識した作品を多く展示されていました。

ピエール・ボナール《庭の女性たち》1890-91年 デトランプ、カンヴァスで裏打ちされた紙(4点組装飾パネル) 160.5×48cm(各) オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d’Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

【2】猫が色々登場してくる

猫と4匹の犬を飼っていたボナールは、生涯で残した2,300点あまりの絵画のうち700点ほどに動物を描き込んでいたそうです。それもあって、色んな絵画作品に沢山の猫が登場していました。

無理矢理登場させているような感じはそれほど無く、自然な状態で登場していたので良かったのですが、正直言って、出過ぎ感はありました・・・(笑。

ピエール・ボナール《黄昏(クロッケーの試合)》1892年 油彩、カンヴァス 130.5×162.2cm オルセー美術館  © RMN-Grand Palais (musée d’Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

ピエール・ボナール《白い猫》1894年 油彩、厚紙 51.9×33.5cm オルセー美術館  © RMN-Grand Palais (musée d’Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

ピエール・ボナール《猫と女性 あるいは 餌をねだる猫》1912年頃 油彩、カンヴァス 78×77.5cm  オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d’Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

【3】グラフィックアートの才能

絵画だけでなく、リトグラフや写真など活動の幅は広かったようです。現代でも通じるデザイン性は、当時どのように受け入れられたのでしょう。素晴らしい作品です。

ピエール・ボナール《フランス=シャンパーニュ》1891年 多色刷りリトグラフ 78×50cm  川崎市市民ミュージアム

絵画体験「AIT」

会場の出口付近に「AIT」という実写映像の空間体験をする会場が設営されていました。
これは、ピエール・ボナールの作品の中から6点の絵画を厳選し、画家が作品を描いた同じ場所で360度撮影を行い、「描かれなかった風景の実写映像」をプロジェクションマッピングによって360度で映し出すものです。
「描かれることのなかった風景」を鑑賞することができれば、「画家の視界」を体験している状態になり、
なぜその風景の中から画家がその場所を切り取ったのかを体感できるのではないか、と言う取組です。
筆者はあまりピンときませんでしたが、最近の展覧会では色んな取組にチャレンジしていて好感が持てます。

  まとめ   

日本では、超有名作が無い作家ということが不幸にも知名度を押し下げていますが、実際の作品は強い個性に満ちていて、人間味のある作品が多かったです。

・事前にイメージしていたよりも、かなり猫が色んな作品に登場していたこと
・裸婦像の絵画が多く展示されていたこと(女性の影が至る所に感じられました)
・グラフィックアーティストとしての才能を感じたこと
・意欲的に「巨大な作品」を展示していたこと

・・・など、筆者にとっては、見どころの多い展覧会でした。

概要

「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」
会期 2018年9月26日~12月17日
会場 国立新美術館 企画展示室1E
住所 東京都港区六本木7-22-2
開館時間 10:00~18:00 (金土~20:00、9月28日、29日〜21:00)※入場は閉館の30分前まで
休館日 火曜日
観覧料 一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円 / 中学生以下無料
11月14日〜11月26日は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)。