監視
覗き見の一方で「監視」という切り口の作品も印象的でした。
同じような部屋が何室もモニター投影されている企画。自分が看守にでもなったかのような設定です。人は誰1人入ってきませんが、各部屋をついつい比較してしまいました。
微妙に部屋の角度が変わっているのが作者の狙いでしょうね。
中庭
中庭の仕掛けは美術館を出たあとに分かりました。
この作品は中庭を除く自分が向こうの窓にも投写されるという仕組みです。このトリックは三角形の箱が実現するという種明かしがありましたが、不思議で見入ってしまいました。
試着室
マジックミラー的な仕掛けの試着室は、自分の視覚への疑念が随所で襲いかかるトリックです。分かっていてもついつい手で確かめてしまう習性が笑えました。
この目で見ているものは確かなのに、不安が感じると別の器官〜触覚〜に頼ってしまう自分に、作者の術中にハマっているようで可笑しかったです。
美容院
美容院の鏡を使った作品です。美容院の椅子に座ると鏡には自分が映し出されず、向かい合った他の鑑賞者とバッタリ対面する仕掛けです。ここまで「鏡に慣れてしまっている」鑑賞者を欺く作品でした。
平面作品
立体作品、映像作品が多い中、平面作品でも視覚に挑戦した作品がありました。下記写真は対になっていて、似たような作品が向かい合わせになっていました。
世界の車窓から
某番組のタイトルのような映像作品。列車の車窓から見える景色が次々と変化していく作品です。日本・東京と思われる映像も流れますが、いつの間にか海外の都市に変化していくというテンポの良い作品です。
模型作品
最後のゾーンでは模型作品が多く出品されていました。
ご存知スイミングプールの企画も。
建物
床に横たわった建物の壁面に寝転がると、その姿が鏡に映し出されるという作品。インスタ映えを意識したトリックアートです。鏡に映し出された自分が建物にぶら下がったように映し出され、それがコミカルに伝わっていくという作品です。
まとめ
立体作品中心で、鑑賞者が自ら体験する参加型のアート展覧会でした。
レアンドロ・エルリッヒの作品は単純に驚かせるというようなトリックの妙を魅せると言うよりも、参加者同士の関わりを作ったり、コミュニケーションを円滑に醸成していくようなアプローチです。
同時に、鑑賞者の視覚を刺激しながら、見ることのリアル(真実)に疑問を問いかけられます。実際に鏡が多く採用された作品によって、来場者は自らの姿を確認することの多い時間です。自分の姿を確認していくことで、本当の自分が何者か?ということへも言及しているようで怖くなります。帰り道にそんなことを考えながら、家路につきました。
概要
レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル
会期:2017年11月18日(土)〜2018年4月1日(日) ※会期中無休
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
開館時間:10:00〜22:00 (最終入館 21:30)
※火曜日のみ、17:00まで(最終入館 16:30)
料金:一般 1,800円、学生(高校・大学生) 1,200円、子供(4歳ー中学生) 600円、シニア(65歳以上) 1,500円