【スラッシュキルトArtist】NAKED QUILTの集大成個展「不器用大富ごう」@懐美館

NAKEDの集大成個展「不器用大富ごう」

 

スラッシュキルトアーティスト「NAKED QUILT」さんの集大成個展「不器用大富ごう」にお伺いしてきました。会場は代官山のギャラリー「懐美館」です。

「NAKED QUILT」とは、スラッシュキルト作品をハンドメイドで制作するアーティスト児玉晃野(コダマアキノ)さんが展開するブランドです。

 

不器用大富ごう-ぶきようだいふごう
なまじ不器用であるために、あちこちに手を出さず(まだしてないけどこれから)大成する(ように頑張る)こと。
対義語-器用貧乏 (出典:NAKED QUILT)

スラッシュキルト

「スラッシュキルト」とは、布を重ね、縫い、ミシン目の間をカットして起毛させることによって生まれる生地の風合いが特徴の制作手法です。複雑な色合いを表現することと同時に、起毛させることによって優しい質感を生むことにも繋がっています。

生地の選択と組み合わせによって絶妙な表情が生まれます。

今回の個展「不器用大富ごう」では、スラッシュキルトの技法を使った様々な種類の作品が展示されていました。

立体作品「HIT/ME/GO/COOL」

会場に入ってまず目を引くのが大型の立体作品「HIT/ME/GO/COOL」です。「人身御供(ひとみごくう)」をテーマに制作されたスラッシュキルト作品です。

部位ごとにスラッシュキルトの様々な技法を使って制作されたピエロの作品ですが、様々な技法を駆使して「複雑な感情」を表現。全身に塗られた白いペンキ色は「正義」と見立て、人身御供というネガティブな慣習の中で扱われる人間の複雑な心理や心の揺れ動きについて、ポジティブに解釈しているような作品です。「NAKED QUILT」が作る作品の世界観を象徴しているように見えます。

大型タペストリー作品「NAKED」

次に目に入ってくる作品は「HIT/ME/GO/COOL」の後方、壁一面に掲出されている巨大なスラッシュキルト作品「NAKED」です。

ブランド名を冠した作品タイトルにもある通り、児玉さんの想いに満ちた作品です。コンテストのエントリー作品にも使っているという作品ですが、沢山の色が目に飛び込んできてサイズ感も含めて圧倒的な存在感を放っていました。

人間の良い面やネガティブな一面を、一つ一つの生地として切り取って形にしており、それらを縫い合わせて全体として調和の取れた美しい色合いを実現。人間同士の向き合いとも重ね合わせているようなコンセプチャルな作品ですね。

「NAKED×HIT/ME/GO/COOL」の共演

作品

会場内で展示されていた作品群の一部を掲載しました。スラッシュキルトが持つ風合いや質感を写真で表現することは難しいかも知れませんが、ご覧下さい。

クッションカバー

ポーチ

バッグ

ぬいぐるみ

ミニバッグ

日本ヴォーグ社「キルトジャパン夏号」の巻頭バッグ特集より

児玉晃野

「NAKED」は児玉晃野さんが一人で運営するブランドです。大学で造形芸術を学び、ほとんど独学でご自身のスラッシュキルトスタイルを完成させました。

一つ一つをハンドメイドで制作している関係上、なかなかネット通販などに展開出来ないようです。主にイベントに出展して展示販売を繰り返しているようで、精力的に全国を飛び回っていらっしゃいます。活動をはじめて約1年半が経過しており、本個展にも多くのファンがいらっしゃっていました。

気さくに話し掛けてくれる児玉さん。「NAKED」ファンが沢山来場していました。

まとめ

スラッシュキルト作品は縫製品や工業品のように、同一の製品が作られることはありません。一つ一つが別の表情を持つ完全なオリジナルの作品として完成されます。それは、時に作家の意思とは少し違う方向に導かれることもあるようですが、そこにスラッシュキルトを楽しむ大きな醍醐味があります。

生地の切断面から除く様々な生地の表情と柔らかな触感は、デジタル社会の中で生活を送る私たちの心に優しく触れてくれる大きな存在感を感じます。

 

概要

NAKED「不器用大富ごう」
場所:代官山懐美館
会期日程:2018年6/25(月)-7/1(日)
時間:12-20時(初日16-20時、最終日は18時まで)

手書きのサインもオシャレでした。

 

2023年12月4日修正
※ブランド名表記を変更しました。