西川茂「under construction or destruction 2020 Tokyo」
西川茂さんの個展「under construction or destruction 2020 Tokyo」にお伺いしました。会場はGallery OUT of PLACE TOKIOです。
開催日初日の2020年5月8日に伺いました。新型コロナウィルスによる「緊急事態宣言」の中で開催された個展でした。
Gallery OUT of PLACE TOKIOでの個展は約2年ぶりの開催です。前回の模様は以下より参照ください。
西川茂さんの描く≪Sealed House≫シリーズは、街中で見かける養生シートで覆われた建設中或いは解体中の建物をモチーフに、都市風景の「破壊と再生」を主題に独特の筆致と色彩で描いた油彩作品を紹介しています。
今回発表するメイン作品「Sealed House -New National Stadium-」は、
先に記した白紙に戻されたザハ・ハディドによる想像上の新国立競技場のデザインを背景に、新たに建設され今後日本の一つのアイコンになるであろう現実の新国立競技場の建設途上を描いたものである。
それを描こうとしたのは、まさにこの現実と想像上の二つの国立競技場の姿が、
新たに生まれ(亡くなり)記憶に刻まれ(忘却され)る我々の存在そのものの象徴となることに気づいたからである。
二つの国立競技場は、私がこの5、6年続けてきたシリーズの中心のコンセプトに最もふさわしいモチーフであることを、
そして自身の画家としてのアイデンティティに、深く突き刺さるモチーフであることを、今更ながらに確信している。西川茂(Shigeru Nishikawa)
Sealed House 130-new town-は群像図が形になった作品で、近所の宅地開発現場を描いた作品です。
散歩をして、こうした建設中、解体中のシートで覆われた建物を写真に撮っているが、歩き慣れた土地であっても唐突に現れる更地にドキッとする事がある。
度々通っているのに、そしてこんなに大きな更地であるのに、前に何があったのかが思い出せないのだ。
そして直ぐに新しい住宅地なり、大型店舗なりに姿を変えていく。
そうして、かつてのその場所を忘れた事さえ忘れてしまい、その場所に馴染んでいく。
新しい街の記憶であり、かつての街の忘却。
簡単に更新されてしまう。西川茂(Shigeru Nishikawa)
ギャラリーGallery OUT of PLACE TOKIO」では、バックヤードにも展示がある場合が多くあります。本展でも何作品か拝見することが出来ました。
新型コロナウィルスによる緊急事態宣言の中で鑑賞した西川茂さんの個展でしたが、≪Sealed House≫シリーズの作品は、今まで以上に深く心に届く鑑賞体験となりました。
概要
西川茂「under construction or destruction 2020 Tokyo」
会場:Gallery OUT of PLACE TOKIO
期間:2020年5月8日(金)〜2020年6月7日(日)
開廊時間:12:00 〜 19:00(木〜日曜日)
休廊日:月・火・水曜日
5月4日政府より「緊急事態宣言」が5月31日まで延長されると発表がありました。
Gallery OUT of PLACE TOKIOでは、5月8日(金)12:00より予定通り展覧会を開始いたしますが、 緊急事態宣言の延長に基づき、15日(金)までは以下の日程で展覧会をオープンします。
・5月8日(金)12:00〜19:00
・5月9日(土)10日(日)11日(月)臨時休廊
・5月12日(火)〜5月15日(金)13:00〜18:00